習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

虚空旅団『アトリエのある背中』

2017-12-24 21:54:48 | 演劇
  ラストでしっかりとエンドマーク(「完」とか「終」)が出るような芝居だった。緞帳を下ろしたのも、その意図ゆえであろう。もちろんここが小劇場ではなく、ホールでの公演(八尾プリズム小ホール)だったから可能なのだが。見事にとてもわかりやすい終わり方で、「あぁ、芝居を見たよな、」という気分にさせてくれる。もやもやとしたものが残らない。   冒頭のナレーションで登場人物の紹介をするところからして、確 . . . 本文を読む
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12月の読書

2017-12-24 21:51:42 | その他
   実はDVD以上に小説の方が12月はたくさん読んでいる。この1ヶ月で20冊くらい読んだ。ここには書いてないけど、傑作揃いだ。でも、書く時間がないから、放置したまま。ねじめ正一『ナックルな三人』とか、朝比奈あすか『人間タワー』なんていう凄いのや、小路幸也も『東京カウガール』や『マイ・ディア・ポリスマン』だけではなく、『花歌はうたう』も読んでいる。   柚木麻子の傑作『さらさら流る』(彼女の . . . 本文を読む
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小嶋陽太郎『ぼくらはその日まで』

2017-12-24 21:49:40 | その他
  これは児童文学の範疇に入れてもいいような小説なのだろう。このサラリとしたタッチが素晴らしい。シリーズの2作目らしいが、これを最初に読んでよかった。1冊目の中1のエピソードからだと、こんなにも衝撃的ではなかったはず。中学2年生がこんなにも子供のままで居られるという奇蹟を、こんなにも当然のこととして描かれると、なんだかうれしくなる。彼らなら来年も(中3だ!)このままで、いるかもしれない、と期待さ . . . 本文を読む
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不透明『愛と混在』

2017-12-24 21:47:00 | 演劇
  劇団不透明の旗揚げ公演。作、演出の河上和紀さんは確かなビジョンを持ち、こういう芝居を作る。あざといけど、嫌いじゃない。これは、ちょっとトンがった10代なら必ず通る道だ。自らの方法論に酔う。普通じゃないことをしたいと思う。誰もやらないようなことを。(でも、もうみんなやってるけど。)   寺山修司の時代なら、恥ずかしくて出来ないけど、今は誰もあまりこういうのはやらないから、新鮮なのかもしれな . . . 本文を読む
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『ゾウを撫でる』

2017-12-24 21:44:52 | 映画
  佐々部清監督はこういう映画についてのお話が好きだ。映画自体が好きだから、そうなるのだろうけど、トリュフォーじゃないんだから、そんなテーマで1本の映画はなかなか作れないはず。世知辛い時代だからよけいに。なのに、彼は堂々とこんな地味な題材で1本の映画を作り上げてしまう。(2013年の作品で、実は4年間お蔵入りしていた。ようやく今年になって公開できたらしい。よかった!)   映画撮影とか、撮影 . . . 本文を読む
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『光』

2017-12-21 19:51:59 | 映画
  河瀬直美監督作品である。この6月公開された。先日見た『光』とは別作品。同じタイトルの全く別映画が、11月に公開されているのは先日書いた。というか、その映画の感想を先に書いて、この映画のことを今日まで置いてけぼりにしていたのだが。たまたま同じタイトルになっただけで、両者を比較する必要はまるでないが、作品としては大森立嗣の映画よりもこちらの方が僕は好きだ。   河瀨監督のこの作品は、視覚障が . . . 本文を読む
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12月のDVD

2017-12-21 19:45:14 | 映画
   調子に乗って、この10日ほどで10本の映画をDVDで見た。見たかったのは『光』と『ヘブンズ・ストーリー』だけど、TSUTAYAが準新作100円、新作200円のセールをしていたのが、原因で他の映画もたくさん借りてしまった。   今年のベストワンである石井裕也の『夜空はいつでも最高密度の青色だ』も、DVDになったからもう一度見た。劇場で見ているから、もういいのだけど、ついついもう一度見てし . . . 本文を読む
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くじら企画『サヨナフ』

2017-12-20 18:51:12 | 演劇
  新キャストになり、なんと主人公が変わって、一新した再演、というわけではない。くじら企画は再演ではなく、「再現」だから。今回、主人公の永山則夫を秋月雁が演じた。少年時代を森川万里。意表を突くキャスティングではなく、すでに既視感がある。初演も再演も風太郎、川田陽子が演じた。なのに、今回のふたりがまるで違和感なく収まる。そこがくじら企画らしい。オリジナルを大切に守る。大竹野なら、どうするか、ではな . . . 本文を読む
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渋谷ニコルソンズ 『クレイジーレイン』

2017-12-19 21:59:13 | 演劇
  70分ほどの小さな芝居である。4人の役者たちが狭い舞台で暑苦しい。だが、そこがこの作品の魅力でもある。船場サザンシアターというちょっとおしゃれな空間と見事ミス・マッチした。(ミスじゃないけど)   警察の張り込み捜査。4人の刑事たちが過ごす夜の時間。バカバカしいけど、見ていて楽しい。作、演出の木下半太さんはこういうシチュエーションコメディが得意だ。今回も実に悠々たるタッチで、この男だらけ . . . 本文を読む
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劇団きづがわ『愛と死を抱きしめて』

2017-12-19 21:57:12 | 演劇
  これはとても暖かい芝居だ。甘い話ではない。厳しい話だ。直接は描かないけど、明らかに福島の原発事故を描いている。3場からなるお話自体は、64年、69年、71年という昔の話だ。山崎貴監督の『3丁目の夕日』と同じ頃の福島の話なのだ。だが、ここにはあの心地よいノスタルジアはない。   いや、心地よさ、という意味ではこれは負けてない。ここに集う人たちの群像劇で、みんながみんなとても優しい。主人公の . . . 本文を読む
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『トレジャー オトナタチの贈り物。』

2017-12-19 21:53:03 | 映画
 こんな変な映画を見るのは久々のことだ。めったに日本では公開のないル-マニア映画。終わった瞬間、これで終わりなのかと本気で腹が立った。なんじゃこれは!と怒りの鉄拳。ヒューマンコメディのはずなのに、まるで笑えないし、暖かい気分にもさせてくれない。このテンションの低さは大概だ。89分しかない映画なのに、いつまでたっても、クスリとも笑えない。だんだん凍り付く勢いだ。終盤はただただ穴を掘っているばかりだし . . . 本文を読む
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ハネオロシ『失笑(笑)』

2017-12-19 21:49:52 | 演劇
  2時間50分の大作。(途中休憩10分含む)正統的2部構成で、1部のラストで、ここからお話が始まる、みたいな煽りもある。サーカス団の話と現実世界が交錯して、二つの世界に同じ人物がいて、それを主人公のユカリ(本当ならこの役もダブルで演じる予定だったらしい)以外は別人が演じる。並行世界が重なり合い、一つの世界を形作る。   これだけの大作を若いスタッフ、キャストが見事に作り上げたことに感動した . . . 本文を読む
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『DESTINY 鎌倉ものがたり』

2017-12-16 21:10:04 | 映画
  今年も山崎貴監督が東宝のお正月映画を牽引する。昨年の『海賊と呼ばれた男』は原作のスケールをそのまま再現しようとして失敗していたが、今回はスケールの小さな作品としてこのファンタジーを再現しようとして、また、失敗している。失敗続きの彼の連投を目撃して、時代のエースは大変だな、と改めて思う。期待が大きいから、ガッカリも大きい。普通の人なら、気にもとめないところが彼なら叩かれる。(それだけハードルが . . . 本文を読む
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オリゴ党『グラスナイフ』

2017-12-16 21:07:57 | 演劇
  オリゴ党25周年記念企画の最後を飾るのは、なんとプロデュース公演である。演出をいつもの岩橋さんからあまのあきこにバトンタッチして、オリゴ党の代表作でもある『グラスナイフ』を再演する。しかも、キャストは劇団員ではなく外部の女性たちを中心にして構成する。劇団員の男性陣はいつもの芝居で、脇にまわる。女性陣は客演に混じる。ただし、中心となるのは若手劇団員である田中樹だ。これは女の子たちのお話。   . . . 本文を読む
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演~EN~ 『logbook』

2017-12-16 21:02:01 | 演劇
  テラヤマって誰だ? そんな人、知らない、という若い人たちが、演じることでテラヤマに触れる。彼の言葉の持つ力によって、自分を解放していく。テラヤマは自分たち自身だ。叫び、発するテラヤマの声が彼らにも、観客にも届く。   寺山修司の誕生から死までの47年間を彼の言葉により綴っていくのだが、これは寺山修司の伝記なんかじゃない。   テラヤマの入門書であるだけではなく、僕たち大人世代はこの作 . . . 本文を読む
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