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映画・演劇のレビュー

プロトテアトル『狐の声が聞こえてから』

2014-04-29 21:31:06 | 演劇
 こういう若手劇団を応援したい。そんなウイングフィールドの願いが伝わる芝居だ。だから僕もこの集団を支持する。いい芝居を見た。なんだかとても清々しい。もちろん、たまたま、彼らはウイングを公演場所に選んだだけなのかもしれない。だが、こういう彼らをバックアップすることで、関西の演劇の底上げが可能になる。今、必要なのは、おもしろい芝居ではない。本気で芝居と向き合い、表現としての演劇の可能性を信じる行為だ。 . . . 本文を読む
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重松清『赤ヘル1975』

2014-04-29 21:29:51 | その他
 広島が優勝した年、中学1年になった少年が広島に転校してきた。また、ここでも、数か月を過ごして、転校していく。これまでも何度となく繰り返してきたことだ。小学生から中学生へと移行していく時期。ほんの少し大人になった。中学はその当時ですら珍しい丸刈りを強要する学校。仕方なく、頭を丸める。  1975年の広島での春から秋まで、シーズンの始まりから終わりまでの日々をカープの躍進と、少年たちの熱狂。それぞ . . . 本文を読む
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『WOOD JOB(ウッ・ジョブ)! 神去なぁなぁ日常』

2014-04-24 22:14:55 | 映画
 矢口史靖監督最新作。なんと初の原作もので、あの三浦しをんの傑作『神去なぁなぁ日常』の映画化。いつものようにコミカルなタッチで、「林業」を描く。だが、ただのコメディーではない。都会暮らしの高校を卒業したばかりの若者が、たまたま手に取ったチラシを(そこにかわいい女の子の写真が写りこんでいた)通して、和歌山の田舎へとやってきて、林業に従事することになる。研修生としての1年間を通して、彼がここで生きてい . . . 本文を読む
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『L・DK』

2014-04-24 21:46:02 | 映画
 「ザ・少女マンガ」としか言いようのないような世界がここには展開していく。ここには何のひねりも気負いもない。全身少女漫画の世界だ。お約束のような展開を一切逸脱しない。見ていて恥ずかしくなるような展開を臆面もなく見せる。一昨年の『今日、恋をはじめます』もこんな感じだったけど、ここまで、全面的に少女漫画の王道を行く展開ではなかった。やりすぎというよりも、基本に忠実すぎて反対に驚きだった。そこは『ひみつ . . . 本文を読む
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baghdad cafe'『リターン☆プラネット on stage』

2014-04-24 21:33:49 | 演劇
 実に思い切ったことをする。一応は入れ子型の芝居のようになっているようなのだが、これがどこまで劇中劇なのかどうかすら曖昧なまま、話は進んでいくのだ。体裁としては、最初は撮影所を舞台にしたバックステージものとして始まる。ここは倒産寸前の映画会社の撮影所。時代劇専用のスタジオ。でも、もう時代劇なんかどこも作らない。スタ子主演の映画が撮影中。だが、撮影所は閉鎖されることになる。初めての主演映画なのに、中 . . . 本文を読む
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和田竜『村上海賊の娘』

2014-04-24 21:30:22 | その他
 今年の本屋大賞を受賞するのは至難の業になる(10作品のうち8冊を読んでいた。しかも、それぞれの小説のレベルが高い!)と思ったけど、たまたま読んでなかったこの小説が大賞を取ったと知って、じゃぁ、お手並み拝見という感じで読み始めた。なかなか話が始まらないし、ようやく70ページになってヒロインである姫が出てきてので、面白くなるぞ、とドキドキしたのに、一向にエンジンがかからない。それでも期待して200ペ . . . 本文を読む
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柚木麻子『終点のあの子』

2014-04-18 21:09:00 | その他
『ランチのアッコちゃん』の柚木麻子のデビュー作を読む。遡って読んだ『嘆きの美女』も同じパターンの傑作だったから、この人は最初からこれだけの力量を持っていたのか、と思ったが、そうではなかった。このデビュー作を見て、安心した。彼女もまた、普通の作家なのだ。  この暗くて重い小説(それを否定するのではない。そこに、ほっとするのだ。)からスタートして、あれだけの軽妙な作品に至る。しかも、短期間で、である . . . 本文を読む
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『朝食、昼食、そして夕食』

2014-04-18 21:06:30 | 映画
劇場未公開(だと思ったが、調べたらちゃんと公開されてました!)のスペイン映画。なのだが、これがなかなかの拾い物で、こういう映画が世の中にはきっとたくさん埋もれていることだろう。18人の男女が出てくる。(のだと思う)原題は『18COMIDAS』だから。3章からなる。もちろん、朝食、昼食、夕食だ。1日のお話で、彼らの3つの食事の風景を描く。 短い描写で細切れに彼らの食事を背景にしたドラマが描かれ . . . 本文を読む
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ミジンコターボ『ほらふき王女バートリー』

2014-04-18 21:04:27 | 演劇
 これでミジンコターボはなくなる。これは、今まで10年間の活動の最後を飾る作品だ。そして片岡百萬両が、今までやってきたことの総決算でもある。ここから先に彼が進むためには、この「劇団」という体制が反対に足枷になると感じたのか。それとも、体制を維持していくことが困難になったのか、その辺の事情はわからないけど、片岡さんが(もちろん、劇団員のみんなも、だ!)今以上の新しい地平を目指すために今回の解散がきっ . . . 本文を読む
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市川朔久子『よるの美容院』

2014-04-18 21:01:34 | その他
 なんだか、センスのないタイトルだ。これでは松坂慶子の『夜の診察室』みたいで、怪しい。もちろん、これはそんな小説ではないけど。でも、まるで内容を魅力的には表現していない。わからないではないけど、なんかこれでは単純すぎてつまらない。もちろん、小説が、ではなくてタイトルが、ではあるけど。  事故を目撃したショック(友人が目の前で車に撥ねられる)で言葉を失ってしまった少女が、「ひるま美容院」に預けられ . . . 本文を読む
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『刀のアイデンティティ』

2014-04-18 20:56:53 | 映画
だいたいこのタイトルからして、なんだか普通のアクションではない。DVDでのタイトルは『ソード・アイデンティティー』で、こちらのほうが武侠映画っぽいけど、まぁ、同じだ。これは昨年大阪アジアン映画祭で上映された時のタイトルである。こちらのほうが好きなので、ここではこれを使ったけど、劇場で観たのではなく、今回、DVDで見た。 別に小難しい映画ではないのだけど、普通じゃない。テンポがおかしいのだ。派 . . . 本文を読む
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原田ひ香『彼女の家計簿』

2014-04-14 22:37:38 | その他
これは凄すぎる。あまり期待しないで読み始めたからかもしれないけど、そのお話の中にどんどん引き込まれた。シングルマザーの里里のところに古い家計簿が送られてくる。それは彼女の祖母の家計簿だ。それを発見した女性は水商売や風俗をしていた女性の自立を応援するNPOの代表をしている晴美。最初は里里の母親である朋子のもとに送られたのだが、朋子が里里のもとに転送した。そこには女性が自分自身として生きるのが困難だっ . . . 本文を読む
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『テイク・ディス・ワルツ』

2014-04-13 21:13:15 | 映画
 なんて寂しい。人は結局ひとりぼっちなのか。愛する人と結婚して幸せに暮らしているはずなのに、実は、わかりあえない。世の中には自分のことをちゃんとわかってくれる人がいる。まだ、出会ってないだけなのだ。なんて、思うわけもない。夢見る頃を過ぎても、夢見ていたいなんて、もう思わないし。現実は夢のようには美しいわけではない。そんなこと誰もが知っていることだ。だが、この映画の彼女は出逢ってしまう。  本当か . . . 本文を読む
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『チャイルドコール 呼声』

2014-04-13 21:12:40 | 映画
 どこに向かって話が進んでいくのか。着地点が見えない映画だ。彼女がなぜ、こんな風になったのか。その出会いによってどう変わって行くのか。ホラーすれすれで話は展開していくのだが、とてもリアルで、誰もがこんな風になる可能性はある。とても身近な問題でそれも怖い。  ノルウェーの鬼才と呼ばれているらしいポール・シュレットアウネ監督作品。彼の作品は今まで日本には入ってきていなかったが、昨年この作品と『隣人』 . . . 本文を読む
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奥田亜希子『左目に映る星』

2014-04-13 20:39:44 | その他
 すばる文芸賞を受賞する小説はいつも普通じゃない。本間洋平の『家族ゲーム』の時代から変わらない。この作品もご多分に漏れない異常さで、読みながらドキドキする。恋愛小説なのだが、彼女の考え方や感じ方が普通じゃない。表面的には普通に生きている。だが、そのこだわり方普通じゃない。11歳のときに好きだった少年の面影を26歳の今も追いかけている。あの頃の「吉住くん」を永遠に愛するから、誰とも恋愛は出来ない。も . . . 本文を読む
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