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映画・演劇のレビュー

『キックアス』

2011-06-29 22:07:19 | 映画
 ニコラス・ケイジがバットマンを演りたかっただけではないか、と思わせるくらいにこの映画のビッグ・ダディーはバットマンそのものだ。しかも、なかなかかっこいい。こういう中年バットマンが見たかった、と思わせる。彼こそがこの映画の主人公である。公開時にはヒット・ガールを演じたクロエ・グレース・モレッツちゃんばかりが、注目されたが、そんな掃いて棄てる程あるありきたりな言説はここでは一切語らない。  彼女が . . . 本文を読む
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劇団往来『ママはダンスを踊らない』

2011-06-29 21:59:27 | 演劇
 春演では、毎年大作が続いた往来が、今年は少し軽めのシチュエーション・コメディーに挑む。1幕ものというのもうれしい。小味で、適度にスパイスが効いたキレのいい作品を期待したのだが、会場は今回もOBP円形ホールである。難しい。結果は残念だが、僕の期待通りにはいかなかった。作品自体は相変わらずの大作仕立てで、なんとも大味なものとなってしまったようだ。題材と方法とがうまく噛み合っていないのだ。  おかま . . . 本文を読む
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『仁 JIN』

2011-06-29 21:17:19 | その他
今回の第2章が放送されてその第1話を見たとき、これはよくないな、と思った。その後もそこで示された方向性は修正されないまま、話が進んでいく。途中で見切りをつけようか、と何度も思ったのだが、それでも止めなかったのは、これが僕にとって20年振りくらいに見る連続ドラマだったからだ。それに昨年末に見た第1章がとても面白く、この作品に過剰な期待をしてしまったこともある。  今回、気に入らなかったのは、主人 . . . 本文を読む
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伊吹有喜『四十九日のレシピ』

2011-06-29 21:14:52 | その他
 前半は、下手な文章なので読みにくかった。これではストーリーに入り込めないのだ。つまらないからやめようか、とも思うが、途中で止めるのは癪だから読み続けた。そうしているうちに作者が言いたいことがはっきりしてきた。そうくれば、ラストまでなかなか面白く読めた。よかった。  父親と娘。妻を失い茫然としたまま、何をどうしたらいいのかわからない父。義理の母だが、自分をずっと誰よりも大事に育ててくれた母を失い . . . 本文を読む
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劇団大阪『フオルモサ!』

2011-06-27 22:06:23 | 演劇
力の籠もった大作である。ダブルキャスト(全員がそうなっている!)2ヴァージョンで描く劇団大阪渾身の力作『フオルモサ!』は、日本の統治下の台湾を舞台にして、日本が初めて手に入れた外地の植民地をどう支配するかが描かれる。そこに暮らすたくさんの山岳民族を平定し、彼らに快適な文明を与えるという使命感が、現実の武力行使による支配の中で描かれる。 だがそれを重々しい歴史劇としてではなく、ひとりの偏屈な民 . . . 本文を読む
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A級MissingLink「限定解除、今は何も語れない」

2011-06-27 21:56:10 | 演劇
3年連続、3度目のトライアウトである。A級MissingLinkが、このスタイルを取り始めてから、今まで以上に彼らの作品を見る楽しみが増してきた。それはただ単純に同じ作品が期間を開けて2回見られるということだけではない。試演会で提示されたものが、どんな形で進化を遂げ、どれくらい別の作品に仕上がっていくのかが、赤裸々に目撃できるからである。そのことが、こんなにもうれしい。2作品はいつも全く別の顔を . . . 本文を読む
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朝吹真理子『きことわ』

2011-06-27 21:38:24 | その他
『流跡』を読んだとき、こういうのは嫌い、と思ったけど、同じタッチなのに、今回のこの芥川賞受賞作品は、そのベースとなるお話自体の魅力もあり、それなりにおもしろく読めた。彼女の突き放したような文体も今回は嫌いではなかった。だが、読みにくいのは前回通りだし、ここから伝えた気ことも明確ではない。 15歳の永遠子と7歳の少女であった貴子が、25年の歳月を経て再会し、かつて一緒に夏を過ごした葉山の別荘に . . . 本文を読む
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『127時間』

2011-06-24 22:12:43 | 映画
お正月マレーシアに遊び行ったとき、偶然映画館でこの映画の予告編を見た。驚いたね。だって、とてもじゃないけど、まともな映画には見えなかったからだ。それは、日本ヴァージョンのような感動を売りにしたものとはまるで違い、なんだか訳のわからないとんでもない代物に見えた。あの衝撃は忘れない。その時見た映画よりも、この予告の方がずっと印象に残っている。冗談のような映画に見えた。まぁ、実物を見てもそんな感じなの . . . 本文を読む
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沢木耕太郎『あなたがいる場所』

2011-06-24 22:07:37 | その他
なんと沢木さんの短編小説集である。これは沢木さんが書く初めての小説らしい。全体は9つの作品からなる。作者の意図通りのとても読みやすい作品になっている。大人でも子供でも、理解できる。それは簡単な話だから、ということではないのは当然だ。ここに描かれる気持ちは、誰もが心当たりのあることばかりで、だから、子供でも大人でもわかるというのである。  各エピソードは長さにばらつきがあるのも沢木さんらしい。編 . . . 本文を読む
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『星守る犬』

2011-06-24 22:06:39 | 映画
原作コミックは30分程度で一気に読めたのに、映画は2時間以上ある。それって何か? 特別原作を膨らませて、オリジナルストーリーとしてまとめたわけではない。どちらかというとストーリー自体は原作にとても忠実である。追加したエピソードはたぶんそれほど多くはないはずだ。(もう半年以上前に読んだので、細かいことは覚えてないのだが)  では、なぜ、こんなことになったのだろうか、と考えると、思い当たるのは主人 . . . 本文を読む
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『アンダルシア』

2011-06-23 23:16:28 | 映画
 『アマルフィー』に続いて織田裕二演じる外交官黒田の活躍を描くシリーズ第2作だ。今年1月にはTVシリーズにもなった。相変わらずTV局は商売が上手い。ちゃんとTVと映画を連動させ高視聴率と大ヒットを同時に狙う。映画からTVへ、そして再び映画というパターンは『海猿』と同じだ。だから、というわけではあるまいが≪ミスター海猿≫伊藤英明が出ている。  今回の舞台はスペインのアンダルシア。そこを中心としてヨ . . . 本文を読む
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江國香織『抱擁、あるいはライスに塩を』

2011-06-23 22:51:42 | その他
 3世代100年にわたる「風変わりな家族」の物語が時系列をバラバラにしてコラージュされ綴られていく。1982年秋に始まり、68年春に戻る。その後、全く無作為といえるくらいにさりげなく時を行き来し、この家族と彼らを巡る人々の様々なエピソードが視点を変えて長短取り混ぜ23編、描かれていくことになる。  一番古いエピソードである1960年からラストでは2006年まで、トータル23のエピソードが600ペ . . . 本文を読む
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『ぼくのエリ 200歳の少女』

2011-06-23 22:45:08 | 映画
こういうバンパイアものはめずらしい。これはホラーではない。ひとりの孤独な少年と、少女が、心を寄せ合いひとつになるまでの物語だ。 北欧の閉ざされた空気の中で、ひっそりと延々の時間を生きる少女。彼女をみつめて、彼女と共にこの世界から孤絶してもいいと願うことになる少年。誰かを好きになるって、とても孤独なことなのかもしれない。そりゃあみんなに祝福されて、幸せに生きる恋人たちもいるだろう。だけど、みん . . . 本文を読む
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青年団『革命日記』

2011-06-22 23:17:56 | 演劇
 今のご時世に革命家なんて、存在するのか? こんなファンタジーのような出来事を平田オリザはいつものタッチで綴っていく。僕にとってはファンタジーでも、彼らとっては、これはとてもリアルな日常なのだ。ノンポリの僕はこういう人たちと全く関わりがないが、今もこんな人たちはこの国にはたくさんいて、人知れずふつうの人々に紛れ込んで、秘かに潜伏しているのかもしれない。  彼らは暴力的なテロ組織ではない。しかし、 . . . 本文を読む
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あみゅーず・とらいあんぐる『「女と男のしゃば・ダバ・だぁ~足音の向こうに』

2011-06-22 23:06:05 | 演劇
なんと今年で19年目。最初の年からもうそんなにもの歳月が経った。来年には20周年を迎えることになる。そんな当たり前のことに驚く。今回の作品は男(あるいは女)の不在を巡る物語。とてもさりげない。この肩の力の抜けかたが19年続いた理由であろう。いつも同じスタイルで、その都度集められたメンバーもほぼ固定。スタッフの方も完全に毎回同じ。 条あけみさんと笠嶋千恵美さんの2人が作り上げる女と男の物語はど . . . 本文を読む
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