60歳は微妙な年齢だ。以前なら退職する年齢だったが、今ではまだ現役続行を余儀なくされる。だけど再任用とかいう扱いで給与は大幅減。だけど仕事自体は変わらない。そんな我々と同じ、マルティネスはそんな60歳。ただ彼は退職ではなく、クビ。チラシや紹介記事には60歳を前面に押し出していたが、映画の中ではほとんど語られない。一応定年退職扱いみたいだが、本人には突然知らされたみたいだ。だから寝耳に水。後任の男が . . . 本文を読む
大阪アジアン映画祭、芳泉文化財団協賛企画の作品を2本半見た。仕事の関係で『ラブポーション』という中編作品は後半の30分しか見れなかったからだ。学生の作った自主映画臭がプンプンする甘い作りの映画で、あまり好きじゃない。可愛い意匠が嘘くさいと思わせたのはマズいだろう。僕は乗れなかった。次の短編、片峯綾乃監督『ここに海を作る』は期待していたけど、さすがに16分では提示したいイメージだけで終わってしまった . . . 本文を読む
大阪アジアン映画祭、コンペティション参加作品。さまざまな映画祭(トロント、ベルリン)でも評判になった作品らしいが、あまり感心しない。フィリピンはカトリックの国で今も中絶は禁止されているので、中絶闇業者が横行しているみたい。映画は体操オリンピック候補の高校生の妊娠を描く。突然の妊娠でパニックになりなんとかして堕胎しようとするけど上手くいかない。そんな彼女が右往左往する姿を描く。相手の男子生徒は酷い奴 . . . 本文を読む
大阪アジアン映画祭が始まっている。今年は3月に続いて8月にも開催されている。大阪で万博が行われている関係で連動企画としてイレギュラーな開催となった。(だから、来年はない)これはそんな映画の1本。タイのホラー映画で、タイでは有名なお話で何度もドラマ化されているらしい。今回初めての映画化で本国では大ヒットしたみたいだ。こういう娯楽映画をたくさんの観客が支持するのか、と感心した。あり得ないような話だけど . . . 本文を読む
横浜聡子最新作はとてもヘンテコな映画。ダラダラと2時間20分もあるけど、オチはない。一応短編連作スタイル、だけどあまり各エピソードの独立性はないから、それぞれのエピソードにはタイトルが付いているけど普通の長編。決して単調ではない。日常をダラダラ描いているだけなのに、全く退屈させない。ずっと面白くてスクリーンからは目が離せない。ある夏の出来事。中学2年の夏休み。自称アーチスト奏介は、客観的に見てかな . . . 本文を読む
予告編からも想像出来たが、やはりこれはあまりに変な映画だった。だいたい公用語がペルシャ語(と、フランス語)になったとあるカナダの町って何? その前提からしてわけがわからない。登場する人たちもヘンテコな人ばかり。わけがわからない見せ方(カメラワーク)を駆使する監督(マシュー・ランキン)は自らもメインキャストのひとりを演じている。七面鳥にメガネを奪われた少年に腹を立てた先生って何? お話はこの先生が遅 . . . 本文を読む
成瀬巳喜男、昭和26年作品。たぶん40年くらい前に見ているはず。だけど忘れていたからほぼ初見状態。先日見た『放浪記』は全くの初見だったが、本作は一応2度目。なんとなくいい映画だった気がするし、傑作と誉れ高い作品だが、あまり乗れなかった。これなら『放浪記』の方がいい。高峰秀子はガンガン離婚して男を変えていたのに、原節子は離婚しない。成瀬巳喜男はラストを離婚にするはずだったのに東宝からクレームが来て脚 . . . 本文を読む
戦後80年のこの夏公開された戦争映画。以前は戦争大作は夏の定番だったけど、最近ではあまりなかった。今年久々に気合いの入った作品が並ぶ。だけど、この映画はお盆からの公開なのに不入りから上映回数は2週目から大幅減。残念でならない。若い観客にアピールするための作品なのに。ということで夏の終わり、上映終了前に劇場に行くことにした。これはよくある(あった)オールスター大作というより、幾分地味な作品だ。潤沢な . . . 本文を読む
池田千尋監督最新作。『放課後インソムニア』に続く作品である。人気漫画の映画化らしい。一応は香港九龍を舞台にしたラブロマンス。だけど思いっきり変な話。記憶をすべて保存しておけるシステムができた世界。取り壊された九龍城塞の代わりに生まれた第2九龍城塞を舞台にした映画だけど、香港ではなく、台湾で撮影されている。そして映画はこの城塞から一歩も出ない。ここから出たら消えてしまうから。香港なのにほとんど日本語 . . . 本文を読む
これは凄い映画だ。女たちはただひたすらに料理を作る。そして男たちはそれを食べる。ただそれだけ。ほとんど科白もない。ジュリエット・ビノシュとブノワ・マジメルが主演する。トラン・アン・ユン監督の傑作。こんなにも寡黙で、美しい映画はなかなかない。夏の柔らかい陽射しの中、彼女たちは料理する。客人に振る舞う。言葉なんか要らない。さまざまな素材を使って時間をかけて丁寧に仕上げていく。ここまでするのか、と感嘆し . . . 本文を読む
川村元気の監督、原作だと思ったらゲームの映画化で、ノベライズで川村が小説化したみたい。脚本は自分では書いていないと思ったら平瀬謙太朗と共同で、書いている。しかも脚本協力二宮和也って? これはこれまでの彼の小説とはまるで違う。久々の二宮和也主演作品。95分と短い。地下鉄の駅構内から出られなくなった男の話。まるで安部公房の不条理劇みたいな内容。ホラーではないが、わけがわからない世界に迷い込む。わけがわ . . . 本文を読む
『16日間の真実』というサブタイトルが付く。なんだか安直過ぎた。だからあまり食指はそそられない映画だったけど、友だちと会うまでの時間潰しのために見た。選択枝はこれともう1本。究極の選択。昨年傑作『ソウルの春』を見ていたから、同じ事件の前編になる出来事が描かれることに心惹かれて見ることにしたが、失敗した。あまり面白くない。1979年、10.26韓国での大統領暗殺事件。その直後の裁判が描かれる。フィク . . . 本文を読む
こんな映画を待っていた。これは懐かしい昔ながらの古いタイプの日本映画だ。そして、ここには特別なことは何もない。だからいい。(あの花火大会は特別だけど)『あの日のオルガン』を撮った平松恵美子監督作品による最新作。岡山県倉敷市、美観地区(とてもいいところだ。有名な観光地だけど、静かで)を舞台にした2人の高校生たちと彼らが大好きな同級生の女の子、そして彼女の自閉症スペクトラムの兄、彼ら4人のひと夏の日々 . . . 本文を読む
夏休みの子ども向けアニメーション映画だと舐めてかかったらビックリする。これはまさかの映画だ。こんな大胆な映画を平気で作って公開する。だけど(もちろん)全く人は入らないから公開2週目から早くも朝イチのみの上映。しかもお客は僕ひとりだった。人魚姫のお話だけど、彼女がまさか、、、だけど、そんな彼女がこんなにも愛しくて。人はまず外見から判断する。見た目は大事だけど、それが一番ではないこともわかっている。だ . . . 本文を読む
キアヌ・リーブス主演の『ジョン・ウィック』シリーズ、スピンオフ作品。父親を殺された復讐に燃える女性スナイパーが主人公になる。あまりに単純な展開に啞然とする。ここまでお話がなくていいの? 最初から最後までアクションシーンのつるべ打ち。お話はない。ジョン・ウィックの世界観をそのまま引き継いで、そこに父の後を継いで殺し屋になった彼女が組織を裏切っても復讐を遂げようとするのだが、説得力ゼロの展開。父の死か . . . 本文を読む