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映画・演劇のレビュー

『五目少女』

2024-09-26 20:43:26 | 映画
ペク・スンファ監督。2017年作品。58分という上映時間は長編劇映画としてはかなり短いけど堂々たる作品である。元囲碁の天才、イ・パドゥク(=囲碁という意味らしい。囲碁をするために生まれてきた!)は幼いころからその才能を発揮して成長した。だけど1度の挫折から囲碁ができなくなる。今は碁会所でバイトする日々。演じるパク・セワンがキュートでかわいい。お供の小学生とふたりで、起死回生、五目並べに挑む。 軽 . . . 本文を読む
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『森の中のレストラン』

2024-09-25 22:55:00 | 映画
今日本ではこんな感じの映画がたくさん作られて公開されている。自主映画に毛が生えたような長編劇映画が量産されて誰にも知られないまま消えていく。もちろんその中には傑作だって隠れている(かもしれない。)誰かが発見することで日の目を見ることもあるだろうけど、ほとんどは見るに値しないか、わざわざ見るたびに疲れてしまうものばかり。Amazonプライムではそんな膨大な素人もどきの映画が配信されている。 これは . . . 本文を読む
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『マッシブ・タレント』

2024-09-25 22:41:00 | 映画
偉大な俳優、ニコラス・ケイジ。数々の傑作映画に出て素晴らしい演技を見せた名優。と、書いたっていいけど、失笑を買うことだろう。今は断ることなく90分程度のB級映画を量産している。だけどニコラスは凄い。こんな映画を自分から作ってしまう。自虐ネタを使ってここまで遊ぶ尽くすのは普通じゃない。しかもただのB級ではない。かなりの大作仕様で、これだけの仕掛けを用意できるって凄い。自らのキャリアを使って笑いをとり . . . 本文を読む
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『ぼくのお日さま』

2024-09-25 05:29:00 | 映画
こんな小さな話でいい。この若い監督は自分がやりたいものに誠実に向かう。小さく収めようとするんじゃない。小さな世界を大切にするんだ。90分という上映時間もそう。スクリーンサイズにスタンダード・サイズを選んだのも。もちろん登場人物の少なさも。これは『僕はイエス様が嫌い』で第66回サンセバスチャン国際映画祭の最優秀新人監督賞を受賞した奥山大史が今回も監督・脚本・撮影・編集を手がけ、池松壮亮を主演に迎えて . . . 本文を読む
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『あまろっく』

2024-09-22 15:56:00 | 映画
鶴瓶と中条あやみが歳の差夫婦を演じるヒューマンコメディ映画、だと思ったからこれは見たくないと思った。それって、なんだかあざとい。しかも尼崎を舞台にしたご当地映画というのもなんだかなぁと思うし。  だけど映画は見てみるまでわからない。まるで想像とは違う作品だった。だいたいなかなか鶴瓶は出ないし(若い頃を演じるのは駿河太郎ではなく、松尾諭!)しかも登場したら、すぐに死ぬ。まさかの30分くら . . . 本文を読む
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『ぼくが生きてる、ふたつの世界』

2024-09-21 22:15:00 | 映画
呉美保監督9年振りの新作。おかえりなさい。結婚、出産を経て、ようやくの復帰となる。だけど、まだ幼い子どもたちを抱えての映画作りは大変だったとは思うけど、こうして彼女の映画が見れるのはうれしい。長編劇映画の世界に彼女が帰ってきた。改めて、おかえりなさい。傑作『そこのみにて光り輝く』でブレイクして『きみはいい子』を撮った後、9年。長いか、短いか。これは聴覚障害を抱えた夫婦から生まれてきた男の子(吉沢亮 . . . 本文を読む
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『ナインティーン 19』

2024-09-20 13:32:00 | 映画
2021年の韓国映画。偶然Amazonプライム・ビデオでこれを見つけた。簡単なあらすじを見て、「なんじゃこれは!」と思い見ることにした。こんなストーリーの映画がどういうふうに描かれるのか、と気になる。この日本版タイトルのそっけなさも気になった。まるで説明にはなってない。映画はセンセーショナルな設定なのに映画自体もそっけない。冒頭のスケッチのような描写はまるで明るい青春映画みたい。監督はウ・ギョンヒ . . . 本文を読む
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『パリタクシー』

2024-09-18 11:37:28 | 映画
これを今日たまたま見たのだが、主人公の女性がなんと92歳だった。(演じたシャンソン歌手リーヌ・ルノーは撮影した時94歳だったらしい!)昨夜から読んでいる谷川俊太郎も92歳だ。偶然の一致だけど少し驚く。92歳でも元気に生きている人はいる。関係ないけど、僕は一応80歳までは生きる予定だ。だからあと15年しかない。ぼんやりしている場合ではない。 彼女はこの日介護施設に入居する。これまでひとりで生きてき . . . 本文を読む
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『デリヴァランス 悪霊の家』

2024-09-14 21:17:00 | 映画
リー・ダニエルズ監督が挑むホラー映画である。だからただの怖がらせるだけのホラーではない。これはフリードキンの『エクソシスト』に挑む作品だ。実際に起きた出来事を取り上げて作った。ある家族が体験した出来事。引越した家には悪霊がいる。彼らが家族を侵食していく。まさかの暴力はこの母親がもともと持っていたものなのか。何かが憑依したからなのか。地下室には何かがある。だけどそこには行きたくない。やけに蝿が多い。 . . . 本文を読む
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『スオミの話をしよう』

2024-09-13 15:51:00 | 映画
三谷幸喜が『記憶にございません!』以来5年ぶりで久々に手がけた映画。もちろん彼の監督・脚本作品。長澤まさみが主演。彼女演じるスオミを巡る5人の男たちのドラマ。主人公が行方不明(誘拐された?)で、なかなか出てこない。男たちは彼女を探して右往左往する。いかにも三谷幸喜が好きそうな話。彼らがそれぞれに語る謎の女スオミはまるで別人。本当のスオミは? と、そんな感じのお話なのだが。今回は最初からなんだか安物 . . . 本文を読む
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『赦し』

2024-09-12 17:22:00 | 映画
これは痛い映画だ。こういう映画を敢えて作ろうとする意気込みは買う。だけどなんか詰めが甘い気がする。だいたい犯人が殺人を犯した動機をどうして一切話さなかったのか。その訳が描かれないのは納得しない。7年後、被害者の母親に直接会った後、虐めについて法廷で語る。この心境の変化を説得力のあるドラマとして成り立たせるだけの力が欲しい。  彼女を同級生を殺すというところにまで追い詰めたものはなんだっ . . . 本文を読む
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『ナミビアの砂漠』

2024-09-11 16:40:00 | 映画
2024年・第77回カンヌ国際映画祭の監督週間で国際映画批評家連盟賞を受賞した話題の作品。まだ20代の山中瑶子が監督・脚本を手がけ、今年『あんのこと』から連投で河合優実が主演した最新作がようやく公開された。実に刺激的な映画だとは思う。思うけど、思うほどは面白くはない。というか,よくわからない。前半部分はなんだろこれって思いながら見ていたけど、鼻ピアスくらいから理解不能になっていく。たぶん本人にもわ . . . 本文を読む
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『あなたの顔の前で』

2024-09-10 19:11:00 | 映画
こんなドラマチックな展開になっているホン・サンス映画って珍しいことではないか。もちろん最初はいつもと同じ感じで妹との朝のモーニングから散歩なのだけど、後半監督とのランチのシーンで一気にまさかの展開になる。余命半年告白には驚き。   アメリカから連絡もなくいきなり帰って来た姉(イ・へヨン)が主人公。妹のところに泊まった翌朝から始まるたった一日の話。   朝、目覚める。妹を . . . 本文を読む
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『静かなるドン 第4章』

2024-09-08 16:43:00 | 映画
劇場版第二作の後篇。2部作を4本に分けて配信した。前作にはガッカリしたから、もう見ないつもりだったけど、せっかく配信がスタートしたし、劇場版『静かなるドン2』二部作も公開されるから見るだけならタダだから見た。予想通り全くダメだった。   どうしてこんな作り方をするのだろうか。これで大多数のファンは喜んでるのか? 僕には理解出来ない。ストーリーの安易さはもちろん、こんなにもテンポの悪い . . . 本文を読む
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『夏目アラタの結婚』

2024-09-07 19:40:00 | 映画
これはなんだかやばそうな映画だ。予告編を見てまるで『羊たちの沈黙』の逆バージョンじゃないか、と思う。監獄の面会場所で狂気の収監者と向き合う男女という図式を見て。殺人犯の女に突き動かされる男。彼は獄中の彼女と結婚する。堤幸彦監督だからあまり期待はしなかったけど、特異な設定に心惹かれる。これもまた漫画原作。まるで『羊たちの沈黙』とは繋がらない映画だったけど、連続殺人犯の品川ピエロ(真珠)を演じた黒島結 . . . 本文を読む
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