習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『メン・イン・ブラック3』

2012-06-30 22:22:32 | 映画
 ばかばかしい映画である。そんなこと、見る前から、ちゃんとわかっている。観客もそれを望んでいるし。疲れているときには、小難しい映画ではなく、こういうスカッとさせてくれる映画がうれしい。派手で、楽しくて、ちょっとほろっとさせてくれて、映画の王道をいくハリウッド娯楽大作。必要なところに、ちゃんと大予算を注ぎ込む。無駄なお金の使い方はしない。ちゃんと湯水のように使って、楽しませる。正しい映画なのだ。 . . . 本文を読む
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ジャブジャブサーキット『死ぬための友達』

2012-06-30 10:02:17 | 演劇
 この刺激的なタイトルそのまんまのお話で、あまりに直球すぎて、それにも驚く。死ぬ前に何をするのか。こんな時代に生き、あと少しで死んでしまうことがわかったとき、自分に何が出来るのか、何がしたいのか、それが明確になる。もう失うものはない。では、得たいものはあるのか。それがこの作品のテーマとなる。  もちろん表面的にはいつも通り、おだやかな話の展開を見せる。はせさんらしい。感情的だったり、激しいやりと . . . 本文を読む
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窪美澄『晴天の迷いクジラ』

2012-06-30 09:43:03 | その他
 これも挫折を巡る物語で、先の『オン・ザ・ライン』同様、こっちもとことん暗い。この作者の前作『ふがいない僕は空を見た』はとても刺激的で挑発的な作品だったが、今回はあまりにオーソドックスで、読み続けるのが、かなりきつかった。つまらないというのではない。主人公の3人のそれぞれのドラマが、あまりにハードで、むきあうには、スタミナがなかったからだ。  自分も今、いろんなことでボロボロの状態にあるから、現 . . . 本文を読む
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朽木祥『オン・ザ・ライン』

2012-06-30 09:18:22 | その他
なんでこんなところで韓流ドラマみたいに交通事故を起こすのだ、とちょっと憤慨した。2部構成の小説だ。ちょうど前半の最後で事故が起きる。これはあきらかに作者の仕掛けたものだ。でも、それはあまりにあざとい。しかし、ラストまで読んで、この作者の意図はしっかりと伝わってきた。 これは、挫折についての物語なのだ。大きな挫折を通して、人はどんなふうに立ち直っていくのか、というのがテーマ。だから、あのわざと . . . 本文を読む
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『外事警察』『グレイブ・エンカウンターズ』『貞子3D』

2012-06-30 09:15:16 | 映画
 先週から今週にかけてかなりたくさんの映画を見た。1本ずつ書くには時間がないから、今回はまとめて3本、簡単に書いて置く。 『外事警察』 映画の前半はとてもよくできている。緊張感があり、おもしろい。だが、後半、核の起爆装置を巡る部分で、なんかそれまでの話が意味をなさないくらいに、スケールの小さな話になるのはなぜか。だいたいそれを小さな貿易会社の事務所の中に隠していくとか、ありえない。しかも、隠し場 . . . 本文を読む
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青年団『月の岬』

2012-06-28 23:16:35 | 演劇
 この緊張感がなんとも心地よい。内田淳子がすばらしい。この作品から彼女をはずすことは出来ないのだ、と改めて感じさせられる。初演からずっと彼女は変わらない。彼女の一挙手一投足に見とれてしまう。ここには特別なことは何もしない。ただ、ふつうに日常生活を過ごすだけなのに、それがこんなにもスリリングなのは、この作品の魅力だ。ストーリーの仕掛けではない。ありのままの人の営みの中から醸し出されてくるものが、ここ . . . 本文を読む
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『ミッドナイト・イン・パリ』

2012-06-26 23:22:22 | 映画
 このウディ・アレンの最新作は、とてもわかりやすくて、楽しい映画だ。まるで登場人物である彼らと一緒に、今、パリの街角を旅する気分にさせられる。名所観光案内のような映画で、ふつうならそういうのってつまらない、と思うはずなのだが、ウディ・アレンの手にかかればそれさえ楽しい。先日見た『ホタルノヒカリ』とはまるで違う。この2本を並べて語るのは映画の質が違うのだから、もちろん較べる方がおかしいのだろうが、そ . . . 本文を読む
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劇団往来『あした天使になぁれ』

2012-06-26 23:06:03 | 演劇
 2時間40分の大作である。でも、この時期の往来の円形劇場公演はいつも3時間近い大作ばかりなので、驚かない。それよりも、今回、題材があまりに、日常的なもので、このスケッチを大作仕立てにするのは、ちょっとしんどかったようだ。映画と連携した企画で、この小さな話をミュージカル仕立てにする。でも、歌って踊るのではなく、いきなりマイク持って歌い出すのだ。上演時間が長くなったのは、その歌謡ショー・スタイルが原 . . . 本文を読む
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THE 2VS2『おはこ』

2012-06-26 22:55:45 | 演劇
 これで僕は3回目となるTHE 2VS2作品。先の2作品とはタッチが変わり、新展開を見せてくれる。劇団名に今回から「The」を入れたのは、伊達じゃない。18回公演で切り開く新境地は、今までのバラエティーに富んだ作品から、ある種の統一感を持ったものへの変貌だ。全体のトーンが、とてもブラックな感じになった。ちゃんとしたオチがないものもある。その気味悪さがとてもいい。  いつもながらの捻りは健在だが、 . . . 本文を読む
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『ホタルノヒカリ』

2012-06-26 22:48:03 | 映画
 相変わらずのヒットTVドラマの安易な映画化である。こんなものばかりをTV局は作っている。しかも、そこそこヒットするし、すぐに自分の局でオンエアー出来るから、制作費はいらないのと同じで、安上がり。需要があるから、作られるのだろうし、見に来たTVシリーズのファンは、これでも満足するのなら、僕は何も言わないけど、このお話だけはあんまりではないか。  今回はローマを舞台にしてのドタバタ騒ぎだ。『ローマ . . . 本文を読む
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ショウダウン『メビウス』

2012-06-26 22:23:02 | 演劇
 前作『月下人魚』がとてもよかったから、続いてこんなにも早く新作が見られてうれしい。しかも、同じ船場サザンシアターだ。この小空間を見事に生かした1人芝居だった前作に続く本作は、なんと2人芝居だ。ひとりから、ふたりへ。その小さな前進もうれしい。欲張るのではなく、身の丈に合わせた芝居を作ろうとする姿勢がいい。もちろん、今まで大人数の大がかりな作品も多数作ってきたのだろうが、今は、こういう小さな芝居を目 . . . 本文を読む
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林英世ひとり語り『雨あがる』

2012-06-24 22:15:51 | 演劇
 山本周五郎の世界を、見事に朗読劇として、立ち上げた。最初は自分の頭で世界を組み立てるのが、難しく、なかなか乗れなかったのだが、ストーリーが進んでいき、しかも自分も集中すると、どんどん話の中に入り込める。しかも、林さんのパフォーマンスに引き込まれる。これって、朗読というよりも、落語に近い。というか、これは、やはり世界一小さな演劇なのだ。ひとり芝居として、認識したほうが正しいのではないか。しかも、彼 . . . 本文を読む
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『私が、生きる肌』

2012-06-24 21:36:38 | 映画
 アルモドバルの新作にアントニオ・バンデラスが戻ってきた。これを期待しないような映画ファンはいないだろう。わくわくしながらスクリーンに向かう。相変わらず変態的な話だが、途中から、少し首をひねらざる得なくなる。見ながら、なんか違う、と思う。違和感ばかりが募る。妻の死、娘の発狂、度重なる不幸の中で、彼は復讐を兼ねて、ひとりの男を誘拐する。でも、この地点で問題大ありではないか。なんですか? 「復讐を兼ね . . . 本文を読む
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『幸せのキセキ』

2012-06-24 21:18:07 | 映画
 キャメロン・クロウ監督の新作。こういうハートウォーミングを作らせたなら、彼はとてもうまい。今回も、こんなにも嘘くさい話(でも、実話をモデルにしている!)なのに、乗せられてしまう。生きる希望をなくしてしまった家族が、再生していく物語なのだが、なんでそれが動物園?なの、と思わせる。でも、その意外性がこの作品にリアルを付与するのだから、なんか不思議だ。ありえない、を可能にしていくことで、このキセキ(そ . . . 本文を読む
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『一枚のめぐり逢い』

2012-06-19 21:11:17 | 映画
 特別取りたてて褒めるような映画ではない。でも、こういうアメリカ映画が、僕は好きだ。いかにもアメリカ映画が大好きなパターンのお話だ。あまりに予定調和過ぎて、なんだがなぁ、とも確かに思う。  しかし、こういうハートウォーミングを、きちんと作った時、ただの甘いだけの映画ではなく、それは「生きる勇気」を与えてくれるものとなる。今年のお正月映画で、今ちょうどレンタルが始まった『リアルスティ-ル』も、よく . . . 本文を読む
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