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映画・演劇のレビュー

2024年上半期 演劇ベストテン

2024-07-11 07:09:00 | 演劇
今年は久しぶりに(と言っても3年振りだが)3ヶ月だけどフルタイムで働いたから、芝居の本数が減った。4月からは週3にしても増えない。公演案内の連絡も大幅に減少して、見たい芝居も少ないからか?そんな中、久しぶりの武田操美と小石久美子のマシュマロテント『蛇含草ホテル』が素晴らしかった。ただ、今年は6月までたったの34本しか見ていない。その中でのベストワン。だけど簡単にベストテンが選べるくらいにクオリティ . . . 本文を読む
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演劇集団⭐︎邂逅『藤裏葉』

2024-07-07 15:00:00 | 演劇
今年も邂逅は春演に参加する。しかもコロナ禍で延期になっていた作品に満を持して挑む。これは4年前に上演されるはずだった。ようやく日の目を見ることになった。実に華やかな舞台である。十二単ではなく、着物でさえないオリジナルの衣装で着物の艶やかさ、鮮やかさ、華やかさを表現する。さらにはミュージカル・スタイルで歌と踊りが全編を彩る。お話は『裏・源氏物語』とでも呼ぶべき内容で、頭中将が主人公。もちろん中村多喜 . . . 本文を読む
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G-フォレスタ『誰もが自分を殺人犯だと言う』

2024-07-02 06:17:00 | 演劇
このタイトルは面白い。身内を守るための行為だが、必ずしも単純ではない。それぞれの思惑が交錯して、まさかの結論に辿り着く。7年ぶりの再演である。劇団が本格的にミステリに移行した頃の作品。初演はなんと10年以上前で、だから今回は再再演。作、演出の丸尾さんにとってはこれは自家薬籠中のもの。だから安心して見ていられる。(もちろんいつもだって安心してるけど)細部までしっかり作ってある。だけどそれはリアルとい . . . 本文を読む
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環夢離『第10惑星の婚約者』

2024-07-01 18:08:00 | 演劇
これは若い学生劇団の公演だ。藤井寺市の市民会館小ホールというマイナーな空間で上演される。春演参加作品なので見せてもらえた。そうじゃなくては、関係者じゃないとこんな芝居があることさえ知らないまま終わるはず。 土曜日の朝からの公演というのも珍しい。こんな僻地(!)で休日の早朝から芝居を見るなんてなんだか新鮮。初めてのところだったから時間に余裕をもって行った。開場前に着き、ロビーで読書しながら待つ。僕 . . . 本文を読む
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劇団息吹『花がたな』『陳情・なにわ編』

2024-06-30 21:49:00 | 演劇
久々となる息吹の春演参加作品。短編と中編の2本立て。それぞれ木田さんと大坊さんという劇団の重鎮が主役を演じる。2作とも狂言を題材にしたシンプルな作品である。 『花がたな』は若い役者ふたりとのコラボ。(ひとりは現役高校生!)初々しいふたりと向き合う木田昌秀はとても若々しく老人を演じた。ぬけ作演じる寒川紘暉との掛け合いが楽しい。また、寒川紘暉と彼の妹である寒川結月との兄妹による掛け合いはなんだかかわ . . . 本文を読む
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劇団往来『赤いハートと蒼い月』

2024-06-29 07:54:00 | 演劇
往来の代表作とも言える一篇。久々の再演となる。でも僕はもう3回以上見ている。今回、劇団往来創立40周年作品としての再演だ。2006年の初演から見ているし、僕が在籍していた高校でも生徒に見せている。気分的にはセリフの三分の一くらいが中国語である。これは大変な芝居だ。主人公の耀子をはじめとして視覚障害者の役がキャストのほとんどを占める。90年代、中国天津を舞台にした音楽劇。視覚障害者のための日本語学校 . . . 本文を読む
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劇団太陽族『トリビュート1/3』

2024-06-28 22:40:00 | 演劇
3月の『戻り道に惑う』に続いて太陽族が2作品連続でウイングフィールドに登場した。これは今回の再演大博覧會参加作品。タイトルの「1/3」というのは、今回の参加作品は『トリビュート』の中の3分の1だからだ。オリジナルは30分ほどの短編作品だったと思うが、それを長編化して再演博に挑む。3話からの短編集(4話だったかも?)の1本を80分の長編として再演するってことだ。こんな大胆な形での再演博への参加って、 . . . 本文を読む
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トレモロ『Port-見えない町の話をしよう-』

2024-06-22 14:59:00 | 演劇
2018年に神戸アートビレッジセンターでリーディング公演として上演された階の久野奈美による作品をトレモロの早坂彩が演出して再演。再演大博覧会だけど、本格演劇作品としてこの台本の公演はこれが初演となる。4話からなるオムニバス・スタイルの70分。とても濃密で、爽やかな作品に仕上がっている。久野さんの脚本を早坂さんが適切な距離感を持って描いた。だけど、その距離感がこんなにも心地よい。神戸という街の100 . . . 本文を読む
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空の驛舎『かえりみちの木』

2024-06-17 14:11:00 | 演劇
ウイング再演大博覧會の3作品目。初演のアイホールからウイングフィールドに劇場が変わり、台本もかなりの改変がある。当然だろう。時が経ち、人も劇場のサイズも変わったことは大きい。新しい『かえりみちの木』は前回とは違う。舞台中央にあった大木は,今回は上手になる。しかも舞台上で見えているのは(舞台に可視化するのは)全体の4分の1だけだ。しかも、地上から数メートル。彼らが見ている神木の全体はこのウイングの空 . . . 本文を読む
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劇団大阪women's『貧乏物語』

2024-06-14 23:22:00 | 演劇
昭和9年末、勾留中の河上肇の留守宅。6人の女たちのある日の物語。2幕はさらにその3日後。これは主人不在の河上家の女たちのお話。2幕2時間10分。途中10分の休憩を挟んで、堂々とした芝居。オーソドックスで完璧。老舗である劇団大阪だから可能な芝居を、狭いけどホームである谷町劇場という空間を最大限に生かして作り上げた佳作。   この作品を僕はこれまでに2度、劇団息吹、そして昨年のきづがわの . . . 本文を読む
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態変『ヴォイツェク』

2024-06-08 20:02:00 | 演劇
ウイング再演大博覧会の2作品目となる作品である。今回が3度目の公演となる。ゲオルク・ビュヒナーの原作を態変世界にアレンジして再構成した不条理劇。12のシーンから構成された物語。もちろんいつものように台詞はない。描かれる内容も象徴的な次元に止まる。ここから明確なストーリーを摘み取ることに意味はない。ただこの残酷なドラマのカケラを感じるだけでいい。娼婦マリーとヴォイツェクのドラマをストーリーではなく、 . . . 本文を読む
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金蘭座はらから倶楽部『鈍獣』

2024-06-02 09:27:00 | 演劇
久しぶりの金蘭座公演だが、これは以前のメンバーでの公演ではなく、この7、8年前の金蘭会高校のメンバーが立ち上げた企画。演出はもちろん山本篤先生。勇退されてから初めての芝居になる。2部構成、休憩の10分を挟んで2時間40分の大作だ。宮藤官九郎によるオヤジたちの話である台本を金蘭だから女の子たちで演じた。  山本先生はこの台本を金蘭テイストに仕立てて、見事に自家薬籠中のモノにしている。冒頭 . . . 本文を読む
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くじら企画(シン・クジラ計画)『流浪の手記』

2024-05-25 18:49:00 | 演劇
ウイング再演大博覧會2024参加作品。今回の再演博のトップバッターを飾る。くじら企画の進化形、「シン・クジラ計画」の第二弾。大竹野正典が亡くなってからもう15年になる。今回取り上げる作品は出版された『大竹野正典劇集成』には収録されなかった作品である。地味なストーリー展開で少しわかりにくいかもしれない。そんな作品を後藤小寿枝演出で取り上げた。深沢七郎(フカサワヒチロー)の無為の放浪を描く。ヒチローは . . . 本文を読む
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大阪新撰組『誰ソ彼』

2024-05-21 07:45:00 | 演劇
昨年に引き続いて座長である南田吉信の新作が上演された。今回も3話からなるオムニバス・スタイルの連作長編。学校を舞台にしたSFホラー・スタイルの作品。完全に前作の流れを組むスピンオフ作品というか、続編。設定は同じだが、今回は前作よりタッチが軽い。シックスという超能力保持者が蔓延る世界。ダブルという超能力に、もちろん前作で描かれたサードもあるし、だいたい人口の90%が超能力保持者だから、そんなのは超能 . . . 本文を読む
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アートひかり『From2011.』『ねずみ狩り』

2024-05-19 15:55:00 | 演劇
昨年に引き続き、今年も春演に参加されたアートひかりによる公演。今回は短編と中編の2本立てである。幕間と公演後にはそれぞれの作品のアフタートークがある。演出の仲田さんとゲストによる作品解題。作者や翻訳家を呼んで一緒に作品自体を語る。(残念だが今回小池美重さんは事情があって来阪が出来なかったけど)  『FROM2011』は、「ごめんなさい、」「大丈夫だから。」を繰り返すラストシーンがインパ . . . 本文を読む
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