Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

バッファロー'66

2017年03月22日 | 1990年代 米

バッファロー'66(原題:Buffalo '66)

1998年 アメリカ
監督:ヴィンセント・ギャロ
製作:クリス・ハンレイ
製作総指揮:マイケル・パセオネック、ジェフ・サックマン
脚本:ヴィンセント・ギャロ、アリソン・バグノール
出演:ヴィンセント・ギャロ、クリスティーナ・リッチ、 ベン・ギャザラ、アンジェリカ・ヒューストン
撮影:ランス・アコード
編集:カーティス・クレイトン
音楽;ヴィンセント・ギャロ

なんつー俺様な映画か!と唖然とする。
主人公ビリーは「おしっこがしたくてたまらない男」で、あちこちでトイレを借りようとするも断られて、
せっかく見つけたトイレでは隣の男にブチ切れて、おしっこが出てこなくなってしまってカッカした頭で
周りに当たり散らし、目についた少女を脅して拉致して、両親の前で妻のフリをするよう強要する!

非道だ、ほんとに非道い。しかし拉致といっても、車の運転さえ出来ないビリー。言葉で脅すだけのビリー。
実家のドアも叩けないビリー。
しかししかし、とことんダメダメなビリーを少女は受け入れ、両親の前で褒めそやし、次第に惚れ込んでいく・・・。

この歪みはなんだ。ビリーも少女もビリーの両親もズレまくっている。
独特のカメラワークがさらに世界を混沌とさせる。

そもそも映画タイトルの「バッファロー'66」は、母親が大ファンのアメフトチームであるバッファローが
最後に優勝した1966年からきている。その優勝試合の最中に産まれたビリーは、未だに母親から試合が
見れなかったと文句を言われる。母親は息子になんの興味もないのだ。

その自分に無関心な両親に対し、ムショに入っていたことを隠すばかりか、政府の要職についていて
可愛い嫁さんももらって幸せだなんてポーズをとらずにはいられないなんて、なんて健気で、無意味なんだろう。
ここに少女の恋心が介入していくことで、最低なダメさ加減が愛おしくなっていくから不思議。