Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

アイム・オール・ユアーズI(Je suis à vous tout de suite)

2017年02月07日 | フランス映画祭

今月13日までwebにて開催中!!
フランス映画にたっぷり浸れるマイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル2017(MyFFF)にて
http://www.myfrenchfilmfestival.com/ja/
長編「アイム・オール・ユアーズI(Je suis à vous tout de suite)」を鑑賞。

コメディ、だよね?
明るくてテンポよくてエロいけど、それだけじゃなくって、かなり複雑。

主人公は、いつも背中がぱっくり開いたドレスやミニスカートを好んで身につけるアナ。
父はアルジェリア人でイスラム教徒なのだが、フランス生まれの彼女はいわゆる禁欲的ではない。
困っている人を放っておけず、慰めるために自らの体を差し出すことも厭わない。
というか、他の方法を知らない。嫌と言えず、すべてが相手の言いなりの彼女。

そもそも両親ともに、お人好しの家庭で育った。食材店を営む父は客の要望にすべて応えようと奮闘し、
母は近所の人たちの心理カウンセラーを無料で引き受ける。
「ノン」を習わず育ったアナは、体を求められても断れなかった。
むしろ、それが誰かの慰めになることを知り、そこに自らの価値を見出そうとする。
アナの弟はそんな姉に反発し、よりイスラム教徒らしく、アルジェリア人らしくあろうと傾倒していき
姉弟は確執を深めていく。生死を左右する腎臓の提供を拒むほどに。

ちょ、盛り込みすぎ! 何が正解なのか、わからなくなるよ。
アナが他人にすべてを差し出しながらも、自らの人生に納得しているようにみえるところが余計に
混乱させられる。

自分の生き方を納得させるものが、その人のアイデンティティーになるのかな。
多くの人は「その人がそれでいいなら」と思うだろう。
自分に真剣に向き合ってくれる人を大切にしなければね。