オン・ザ・ロード(原題:On the Road)
2012年 フランス=イギリス=アメリカ=ブラジル
監督:ウォルター・サレス
製作:ナタナエル・カルミッツ、シャルル・ジリベール、レベッカ・イェルダム
製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ、ジェリー・リーダー
脚本:ホセ・リベーラ
出演:サム・ライリー、ギャレット・ヘドランド、クリステン・スチュワート、
キルスティン・ダンスト、ヴィゴ・モーテンセン、エイミー・アダムス、
トム・スターリッジ、アリシー・ブラガ、エリザベス・モス、ダニー・モーガン
メリールウ メリールウ
君はどうして国中を巡っている?
エド、もらったばかりの女房は
どこへやったんだ?
サル、そこに君の欲しいものは
あるのかい?
みんなして、くすくすと笑う。
ディーンは、みんなの視線を受けて満足げに微笑むだろう。
彼に不安はない。モラルもマナーもへったくれもない。
その場かぎりの愛を、自由を、貪り尽くすディーン。
極端な熱情に惹きつけられたサルは、
自ら望んで、放浪を続ける暮しに身を委ねる。
ビート・ジェネレーションを代表する作家ジャック・ケルアックの自伝的小説
「路上」の映画化、というか「路上」の余韻の映像化だろうか。
すべてはノスタルジックで、泡のような儚さも感じる。
だって、この作品を観た若者たちがこぞって路上へと飛び出すだろうか。
あり金をつかんでブラジルへ押し寄せるだろうか。
シカゴは赤く燃えているだろうか。
否、そんな時代は、もはや遠い彼方にある。
失われた過去が、さらに離れていくのを黙って見送るだけ。
だからこそ、変わらないままのディーンが一人取り残されていく姿は
胸をかきむしられるように切ない。