天才スピヴェット(原題:L'extravagant voyage du jeune et prodigieux T.S. Spivet)
2013年 フランス=カナダ
監督・製作総指揮:ジャン=ピエール・ジュネ
脚本:ジャン=ピエール・ジュネ、ギョーム・ローラン
出演:カイル・キャトレット、ヘレナ・ボナム・カーター、カラム・キース・レニー、ニーアム・ウィルソン、ジェイコブ・デイビーズ、
ジュディ・デイビス、ドミニク・ピノン
10歳の天才少年スピヴェットは、科学賞の受賞スピーチをするため
モンタナからワシントンD.C.を目指し、家族には黙って一人家を出る。
信号機を赤に塗りつぶして、貨物列車をとめ、無理矢理に飛び乗る無謀っぷりに
わくわくさせられっぱなしの旅。
家族から離れ、知らない世界に飛び込んだスピヴェットは、
去年亡くなった双子の弟・レントンの死をはじめて受け止めようとしていく。
天才児が独自のアイデアを駆使して大冒険のロードムービーとくれば、ほうほう大好物ダナ~と
劇場に観に行ったけど、どよーーーんと落ち込んでしまった。
あまりに、あまりに・・・
変わり者ばかりの家族の中で
無邪気な「子どもらしい、子ども」であるレントンが、とにかく可愛いから。
双子の片割れであり、誰からも愛されるべき存在だったレントン。
スピヴェットは失ったものが大き過ぎるし、背負ったものも辛過ぎる。
そうだった、ジャン=ピエール・ジュネ監督がこっそり掘ってる落とし穴は、
思っていた以上に深くて這い上がってこれない時があるのだ。
(もちろん落とし穴なんかに、はまらないで
彩り鮮やかなキュートな世界を堪能している人が大半なのは承知の助)
時間が経っていくのにまかせて、レントンの役回りをもらい受けることもできただろうに
スピヴェットは執拗に人間観察を続けるし、愛を求めている。
これからだ、彼がもっと死に向き合っていくのは、これからなんだと思う。
これは、スピヴェット少年のはじめての家出の物語。
この先、何度でも彼は嘘をつくだろう、家出をするだろう。
繰り返して繰り返して成長していくんだと思う。
キミが選んだのは、イバラの道。
がんばって大人になるんだよ。