Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

ノルウェイの森(映画)

2011年01月17日 | 2010年代 邦
大雪の中、観てきました。
映画は混沌としていて、途中何度も、こころまで凍えそうになりました。

ノルウェイの森
2010年 日本
監督: トラン・アン・ユン
出演:松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子、高良健吾、霧島れいか、玉山鉄二


まさか村上春樹の小説が映画になるなんて思いもしなかったけれど
いろいろと考えさせられる作品に仕上がっていました。

物語は、主人公ワタナベが親友のキズキを自殺で失い、
キズキの恋人だった直子に再会するところから始まります。
2人は週末ごとに会うようになりますが、直子は心を病んで
病院に入院してしまいます・・。

淡々とした台詞と映像でぐいぐいと物語がすすんでいき
キャストは浮いているかのよう。
この世界のルールについては自明のことのように語られない。

そうして、見終わった後、深い喪失感に襲われました。
わたしたちは誰も、多かれ少なかれ、いろんなものや人を失いながら
生きてきたんだということを、思い出したのです。

「直子」が原作では不透明で曖昧な印象があったのですが、
映画では彼女の輪郭がはっきりと浮き出ていてきました。

直子がまとう「死」の匂いにも、ワタナベ君が選んで来た「生」の道に
対しても強く惹かれ、共感しました。
愛する人を喪ったら、わたしも生きてはいられないだろうと思います。
きっと、もう同じようには。