最後の時
2011-11-29 | 実父
11/29
Takの祈り
父が重篤な状態に陥った。
ついにこの時がきた。
覚悟はできている。
私は、父とのこの世での最後の日々を、悔いなく過ごすことができたと思っている。
すでに黄疸が出ている父は、酸素マスクをつけて一生懸命自発呼吸をしている。
家族と本人の以前からの希望で、人工呼吸、心臓マッサージなどの措置はしない、
本人が1人で病室にいるときに、もしも呼吸や心臓が停止してしまった場合、病院はその責任は負わないという、再度の承諾書にサインがされた。
父の場合、死に至る直接的な原因の予測としては、大量の吐血によるショックか、敗血症による全身状態の悪化→血圧の低下…とのことだったか、、
ヒロコさんから手短に説明を聞いたとき、「痛くないの?」と、そればかりが気になってしまって、細かいことは覚えていない。
肝臓がんは、痛みが他の癌ほど強くない。ただ、最後まで意識があり、こん睡状態になることは殆どないとのことだった。
今日から、また24時間、ヒロコさんと弟と私で、交代で付き添うことになった。
今日は、アルバイトのあと病院に直行して、父を見舞ったあと、JINさんのマンションの処分を少し手伝った。
JINさんを車椅子に乗せて自宅まで運び、今月一杯で処分される部屋から、必要最小限の荷物を取って、携帯電話の支払いをするのに付き合った。
たったこれだけのことだけれど、JINさんにとっては重労働で、かなり疲労も激しく、
痛みも出てきたようだった。
Takの教会の牧師先生がJINさんのところに来てくださり、
洗礼の準備に入るためのお話に、私も付き添った。
それから、また父の部屋に戻ったとき、看護師さんが全身状態を調べに来てくださったが、
話しかけても息をしているだけで反応の無い父の胸を看護師さんがつねったとき、父は顔をしかめた。
意識状態を確認しているらしい。
意識もあるし、耳も聞こえているらしい。
まもなく主治医の先生も往診に来てくださり、尿も出なくなり、全身状態は悪化していることが伝えられた。
家に帰ってから、Takに今日のことを伝えて、
「これからじーちゃんのお見舞いにいくから。これが生きてるじーちゃんに会える最後かもしれないから。
Takは、じーちゃんにちゃんとお話してあげて。」
…そして、Takは、お祈りの文章を書いた。
「おじいちゃんの顔は黄色くなって、息もハァハァ苦しそうで、Takは、おじいちゃんを見たらビビりまくるかもしれないけど、勇気をもってね。」
Takは、父の手を握って、
「じいちゃん…」と、話しかけた。
天の神さま
じいちゃんの熱や苦しみを取り除いてください。
少しでも楽にしてあげてください。
ぼくのところにいつもいてくれるように、
じいちゃんのそばにいて、守ってください。
…(とかなんとか、、、)
アーメン
父は、こん睡状態ではないのだ。Takの祈りが聞こえていた筈だ。
「お父さん、今夜は、ヒロコさんがずっと朝まで一緒にいてくれるよ。よかったね。
だいじょうぶ、安心してね。じゃあ、また明日来るからね。」
私も父の手を握って、おやすみなさいを言って、部屋を出た。
それが、父との最後だった。
Takの祈り
父が重篤な状態に陥った。
ついにこの時がきた。
覚悟はできている。
私は、父とのこの世での最後の日々を、悔いなく過ごすことができたと思っている。
すでに黄疸が出ている父は、酸素マスクをつけて一生懸命自発呼吸をしている。
家族と本人の以前からの希望で、人工呼吸、心臓マッサージなどの措置はしない、
本人が1人で病室にいるときに、もしも呼吸や心臓が停止してしまった場合、病院はその責任は負わないという、再度の承諾書にサインがされた。
父の場合、死に至る直接的な原因の予測としては、大量の吐血によるショックか、敗血症による全身状態の悪化→血圧の低下…とのことだったか、、
ヒロコさんから手短に説明を聞いたとき、「痛くないの?」と、そればかりが気になってしまって、細かいことは覚えていない。
肝臓がんは、痛みが他の癌ほど強くない。ただ、最後まで意識があり、こん睡状態になることは殆どないとのことだった。
今日から、また24時間、ヒロコさんと弟と私で、交代で付き添うことになった。
今日は、アルバイトのあと病院に直行して、父を見舞ったあと、JINさんのマンションの処分を少し手伝った。
JINさんを車椅子に乗せて自宅まで運び、今月一杯で処分される部屋から、必要最小限の荷物を取って、携帯電話の支払いをするのに付き合った。
たったこれだけのことだけれど、JINさんにとっては重労働で、かなり疲労も激しく、
痛みも出てきたようだった。
Takの教会の牧師先生がJINさんのところに来てくださり、
洗礼の準備に入るためのお話に、私も付き添った。
それから、また父の部屋に戻ったとき、看護師さんが全身状態を調べに来てくださったが、
話しかけても息をしているだけで反応の無い父の胸を看護師さんがつねったとき、父は顔をしかめた。
意識状態を確認しているらしい。
意識もあるし、耳も聞こえているらしい。
まもなく主治医の先生も往診に来てくださり、尿も出なくなり、全身状態は悪化していることが伝えられた。
家に帰ってから、Takに今日のことを伝えて、
「これからじーちゃんのお見舞いにいくから。これが生きてるじーちゃんに会える最後かもしれないから。
Takは、じーちゃんにちゃんとお話してあげて。」
…そして、Takは、お祈りの文章を書いた。
「おじいちゃんの顔は黄色くなって、息もハァハァ苦しそうで、Takは、おじいちゃんを見たらビビりまくるかもしれないけど、勇気をもってね。」
Takは、父の手を握って、
「じいちゃん…」と、話しかけた。
天の神さま
じいちゃんの熱や苦しみを取り除いてください。
少しでも楽にしてあげてください。
ぼくのところにいつもいてくれるように、
じいちゃんのそばにいて、守ってください。
…(とかなんとか、、、)
アーメン
父は、こん睡状態ではないのだ。Takの祈りが聞こえていた筈だ。
「お父さん、今夜は、ヒロコさんがずっと朝まで一緒にいてくれるよ。よかったね。
だいじょうぶ、安心してね。じゃあ、また明日来るからね。」
私も父の手を握って、おやすみなさいを言って、部屋を出た。
それが、父との最後だった。