ペンギンの憂鬱

日々のうだうだ~読書と映画と酒と料理~

森に眠る魚/角田光代

2011-12-03 | 読書
東京の文教地区の町で出会った5人の母親。
育児を通してしだいに心を許しあうが、いつしかその関係性は変容していた。
―あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。
そうだ、終わらせなきゃ。
心の声は幾重にもせめぎあい、壊れた日々の亀裂へと追いつめられてゆく。
(「BOOK」データベースより)

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すごいっ!!!
久しぶりに、すごい角田さんキタ
母親達の心の変貌を見事に描き出していて、ぐいぐいと引き込まれていく。
どうやったらこういう素晴らしい表現で迫れるんだろう・・・

同じ年代の子供を持つ母親5人がふとしたことで出会い、
気の合う”ママ友”を得られたことに喜び、はしゃぐ。

「この人たちとなら(中略)『ママ友』なんて一時的なつながり
 でもない、もっと長いつきあいができるのではないか。
 誰かの母とか、誰かの妻ではなく、自分自身として」

しかし子供の受験をきっかけに、やがて価値観のズレを感じ始め
関係性が微妙に歪みはじめる。

嫉妬し、疑い、依存し、軽蔑し、そしてそんな自分に罪悪感を覚え
じわじわと精神的に追い詰められていく様子には、震えました

テーマとしては特別なことでもないんだけど
ストーリーの構成がすごくて、曲に例えるなら
まるで「ボレロ」のような(分かり難いか!?

最終章の手前で、主人公達はついに名前を失くし「彼女」と表現され
最高潮を迎えるあたり、私の頭の中では、ボレロのエンディングが
壮大なスケールで流れてました!
・・・ちょっと、言いすぎか

いや~。「八日目の蝉」も良かったけど、母子小説という括りでは
ダンゼンこっちが好きかな。


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