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正規分布

2020年07月07日 | 命の生き方
どんなに科学が発展しても、どんなに医学が発達しても…、人の寿命には限りがあって、いつかその「生」が終わる事を知っていながら、全力疾走をするという矛盾を生きています。「本当に理にかなったものは美しい」。数学的な美しさ…と言うものがトテモ魅力的に見えるのは、私だけでしょうか。

正規分布と言われる分布曲線は、美しく左右対称のカーブを描きます。人の一生も、それを阻む要素がもしなければ、美しい正規分布を描くのが、当然なのかもしれません。

何もできない赤ん坊が、身体的にも知識的にも精神的にも、急速に成長していくカーブは、頂点が過ぎれば、全てが衰えて行くカーブを描いて当たり前なのだと、そう思います。それが、最も美しい曲線なのですから。それなのに、私たちは、ピークを過ぎて突然そこで0に回帰したい…という強い欲望に捨てきれません。何もできない事が武器である赤ん坊に対して、大人のそれは武器とは程遠いからです。いっそ芥川龍之介の小説に出て来る河童のように、生まれた時には老人で、年を取るほど若返る一生であれば…もっと生き易いのかも知れません。

若い時と同様に行かなくなっていく懸念を周囲に振りまきながらも、どうすれば美しい分布曲線の下りカーブを左右対称にせずに済むのか。「人間は何のために生きるのか」と言った、かつての「書生」が必ず通って来た青臭い葛藤を、他人事のようにスルーしてはいけないのだろうと、何となく思います。

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