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会見拒否

2021年06月01日 | 社会派らぼ
テニスの大坂なおみ選手が、全仏オープン1回戦に勝利。コート上でのインタビューに応じた後、試合後の会見は拒否しました。これに対し、約165万円の罰金が課されました。更に会見拒否を続ければ、多額の罰金及び出場停止もあり得るという見解が示されていましたが、大坂選手が2回戦を棄権すると発表しています。

大坂選手と言えば、元々は日米二重国籍。その後日本国籍を選択。全米オープン、全豪オープンの優勝者でもある女子テニスの第一人者です。これまでも、黒人差別への抗議活動のため、試合棄権を発表したり、犠牲者の名前を付けたマスクをして試合に臨んだり…、自身の考えを体現することをためらわない選手です。

今回の会見拒否宣言に対しては、否定的な意見も多いようです。現在はスポーツキャスターである松岡修造氏も「表に出て真意を説明して欲しい」としています。が、既に「アスリートの心の健康状態が無視されているような気がしている」といった事を訴えており、彼女の意図は明白であるような気がします。

これまで、様々なスポーツ選手は試合の後、記者会見に応じて来ました。悔しい敗戦を喫した後であっても、健気に唇を噛みしめて記者会見に応じている姿を私たちは何度も見ています。その言動は「気丈に応じた」などと報道され、ある意味で選手の好感度アップに一役買った場合も多々あります。

が、スポーツ選手は、類稀な才能であればあるほど、その世界に徹していただき、私たちは彼らの活躍に拍手を贈るだけで十分では無いかと私は思います。イヤ、プロ選手と言うのは、それで報酬を得ているわけだから、そうした会見に応じるべきであるとする主張は間違ってはいないのかもしれませんが、払われる報酬は「佳い試合」に対してのものであり、その人となりは雲の中であっても良いのかもしれません。しばしば「知る権利」と言う言葉が使われます。スポーツ選手のみでなく、犯罪に巻き込まれた人や犯人の身内、芸能人のプライバシーなどにずかずか踏み込むマスコミは、社会がそれらを「知る」事を欲していると言います。が、人には「知る権利」以外に、そのような報道自体に目をつぶる「知らされない権利」、更には当事者の「知られない権利」も存在するのではないでしょうか。

会見に応じなければならない、それは義務だとする組織や今の社会は、今回の彼女の意図を今一度、十分に考え直してみる必要はあるように思います。人はそんなには強くありません。様々な心の葛藤を知りたい…のであれば、まずは取材する側が取材される側の信頼を得なければならないのではないでしょうか。本音などと言うものは、いきなり向けられたマイクに対しては誰も語りません。言う方も聞く方も「きれいごと」のやり取りに終わるだけで、それを聞いて留飲を下げる事に、さした価値は見出しません。本当の思いは、ご本人の中に大切にしまっておけばよい…と私は思います。

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2 コメント

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なおみさん待ってます (やすむぅ)
2021-06-07 23:33:34
ぱそらぼさんの素早いエールに感謝しています。私が、なおみさんと周囲の対応に対して言いたかったことを、なんかもやもや抱えていた気持ちを、らぼさんは、ズバリ、いえ、それ以上にはっきり、くっきり言葉にしてくださったからです。

自分に人一倍、いえ、誰も課していないようなハードなトレーニングを経て今日の彼女があると推察しています。しかも、深い思慮を重ねながら、勇気を振り絞って行動していたのだと…

こんな真剣な生き方をする人が生きやすい、自然体でいられる社会にしたいものです。

らぼさん、いつもありがとう!
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こちらこそありがとう! (らぼ)
2021-06-08 16:39:19
今回ばかりは、なおみ選手に批判的な意見が多く、擁護するのは少数派のような感触もあったのですが、やすむぅさんも同様な想いを抱かれていたと思うと、ちょっぴり心強い感があります。

マイクを向けて、それに答えろ…と言うのは、いつでも少々乱暴なような気がします。

先日鬼籍に入られた田村正和さんは、「俳優というのはたとえていえば、真白なキャンバスでなくちゃいけない」と言われて、プライベートを一切売り物にされませんでした。その心意気や良し…と、プライベート切り売り状態の現実を前に思います。
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