蒼ざめた馬の “一人ブラブラ、儚く、はてしなく”

山とスキー、車と旅、そして一人の生活

豪雨でも窪地は池にならず

2019-09-03 14:03:15 | 信州安曇野での出来事

安曇野の森に建つ、我が山小屋は中房川の扇状地で、大まか平坦なのだが、所々窪地がある。

 ‘15年7月、初めて来た時は、アカマツとクヌギが生えているだけの森。どこに窪みがあるか判らない。

 アカマツは虫に喰われ、いずれ倒れるから伐採すべし、というトレンドがあるようで、この地も、売り主の費用負担で伐採することになっており、それが終わって、‘16年6月、地元工務店と具体的な打ち合わせを始めた頃、窪地が現れた。

 ‘16年8月、基礎工事が始まって、伐採された木々は敷地の南西側から窪地にかけて積み置かれた。

 株と幹の処分は、別途費用が掛かると言われ、自分でやる事にして、‘16年10月、株と幹は積み置かれたまま工事は進んだ。

実は、小屋を建てることによって伐採される木々が、その後どうなるのか、何となく気になっていた。

この小屋は、ワタクシがこれから子育てをする為のモノではないし、ここ安曇野のアチコチに点在している双体道祖神の様に、子育てが終わった老夫婦が仲睦まじく、余生を過ごす為のモノでもない。
この小屋は、ワタクシが冬、雪山に直ぐ行く為のモノであり、いずれはワタクシがここで孤独死する為のモノだ。

そんなフザケた目的により伐り斃された木々が、無機的に処分されていいのか、事務的に焼却炉に放り込まれていいのか?
なにか意味ある利用法はないのか?

売り主負担で伐採するアカマツの処分は、ワタクシがやる事にして、その費用を購入価格から差し引てい貰い、伐採方法を含め庭師サンと相談した。アカマツと言えど、むやみに伐りたくはなかった。
色々お話ししたが、結局は根元からバッサリ伐るしかない、そう庭師のお爺サンから説得された。

それでは、伐った松の幹はどの様に使えばいいのか。
薪ストーブとか薪炊き風呂釜の燃料として利用する、そう言う案が真っ先に浮かぶ。しかし、我が地から適時に薪が得られるわけはなく、また薪割作業が、体力的にいつまで出来るのか、という問題がある。神戸・布引谷で薪を割って風呂を沸かしていたのは、もう10年も前の事だ。
結局、薪ストーブも薪炊き風呂釜もヤメ。
そもそも薪ストーブは、チョロチョロ燃やし続けるモノだそうで、ワタクシの様に朝、雪山へ行くから消して、夕方戻って来て点ける、という使い方では、充分な暖房効果が得られないそうだ。
そもそも、薪ストーブとはログハウスとセットで、カントリーな生活を送る
オッシャレ~な人達が必要とするアイテムだと思う。
安曇野に住みだした最初の冬、斧の柄が折れたので、
薪屋さんに探しに行ったが、モノはなく、店を出ると、SUVに乗ったオッシャレ~なマダムが、薪を買いに来ていた。そくな雰囲気はワタクシにはない。

そして、庭師のお爺サンに一般的にどうするのか訊いてみた。「松の幹は、パルプ原料としてタダで引き取ってくれますよ」、お爺さんは素っ気なく応えた。確かにバルブ原料は針葉樹だ、ナルホド。
「スイマセン、それじゃそうして下さい。お騒がせしました」、結局、庭師のお爺さんは極フツーの仕事をすることになった。

しかしクヌギは処分費用が掛かる、と工務店から言われた。
ワタクシはそれを少しずつ解体し、燃やすしかないと思った。どうせ雪が降るまですることはないし、神戸・布引谷で使っていた斧もあるし。

ただ有難いことに、工務店の工事担当者が、何かの用途がないなら、自宅の薪ストーブで燃やしたいので貰えないか、と言ってきた。彼は同僚とクヌギの幹を玉切りにし、2トン車に積んで帰った。2トン車1台分で2軒の薪ストーブ1ヶ月の燃料になるそうだ。
残ったのはアカマツとクヌギの切株だけとなった。

5月の終わりに引っ越しが完了し、ワタクシは直ぐ切株の処理を始めた。
ナンセ切株を処理しないと、何か落ち着かない。とにかく株を処理し、庭をスッキリしないと落ち着かないのだ。

 処理作業は順調に進み、‘17年10月、窪地の手前まで片付いた。

 窪地の底に埋まっている株を掘り出そうとしていたら、隣人の杣人・Мさんがバールを担いで来て、アッと言う間に掘り出してくれた。

その時Mさんが、「この窪地、これからどうするズラ?」と訊いてきた。
Mさん宅の庭は、雑草をキレイに刈り取り、山から集めて来たコケを貼り付け、日本庭園風にされている。日本庭園には池がふさわしい。
「オレなら池にするなぁ」、「しかしここ、水捌けすごくイイんでしょ、水溜まりますか?」、水はナンボでも湧いて出るから流し続ければイイ、そんな話をしたが、流し続けるにしても底に石を敷き詰めたり、手っ取り早いのはシートを敷けばイイのだが、この地にそんな化学製品を使って人工物など、作ったりしたくはない。

 結局そのままになっているが、8/19夕方、短時間の大雨でナント、池が出来た。今まで見たことのない光景、何か不気味だったが、自然の池なら悪い気はしない。

 しかし、30分程で消えてしまった。この水捌けには感心した。

Мさんには悪いが、やはりここに池はいらない。