アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

時間がおいしい

2024年06月18日 | Weblog
 車椅子生活者ですから、通院以外には外出しません。それなのに、コロナに罹患。すぐに肺炎になり、不覚にも入院しました。
 入院しても、「強い倦怠感、味覚異常、関節痛、嗅覚異常」が、なかなか改善されませんでした。食事は、ほとんど食べられなくなりました。噛むのも辛い状態。


「口から食べなければ回復が遅くなりますから、食べて下さい」
 このセリフ、医師、看護師、理学療法士さんたちから、何度も聞かされました。 
 しかし、頑張っても、提供された食事の5%ほどを食べるのがやっとでした。
 入院から数日経って、私のベッドが、病院の栄養士、調理員たち5人に囲まれました。
「私たちは、心を込めて作ってるんですょ」
「どうして食べないんですか?」
 食事をしない私を気遣ってか、理由を問いただしに来てくださったのでした。それにしても、5人も動員して!
 「なぜ食べられないのか?」、本人すら「わからなかった」のです。応えようがありませんでした。
 翌朝の朝食は、「気をつかってくださったんだなあ」と、思われるメニュー。入院患者は、およそ300人もおられるのに、私一人のための特別メニュー。ご期待に応え、少しでも多く食べようしました。しかし、10%がいいところでした。申し訳ないのですが、食べられなかったのです。

 自力では、ベッドから車椅子への移乗すらできませんでしたが、コロナの治療が終わり2週間の入院で退院できました。
 退院して、我が家で食事しました。なんと!ごく普通に食べることができました。
 退院して病院の食事と自宅での食事の大きな違いに気づきました。
 家庭での食事は、「ゆっくり時間をかけて食べられます」。せかされないので、安心して食べられます。
 「食事は、時間だ」と、確信しました。
 味も大事、美しさも大事、分量も大事であることは、もちろんです。それら以上に、「時間」が大事。
 今、たっぷり時間をかけて食べています。食事が美味しくて楽しいです。


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