~Agiato で Agitato に~

再開後約20年になるピアノを通して、地域やほかの世代とつながっていきたいと考えています。

打ち込まれるレガート

2005年12月18日 21時16分33秒 | ピアノ
夕方、フジ子・へミングのお母さんに焦点を当てた番組を放送していた。

フジ子・へミングについては、彼女の生涯・演奏、それぞれについて繰り返し放送されてきたので、あらためてここで触れるまでもない。
40数分間のオンエア中、私が新しく知り得た情報は、フジ子さんのお母さんが、大月インキという有名な会社のご令嬢であり、当時大変珍しかった海外留学を果たされたかたであり、
またお父さんであったスウェーデン人男性は、バウハウスで学ばれた当時ドイツでは新進気鋭のアーチストであった、ということである。
また、フジ子さんがベルリンやウィーンで暮らしておられた部屋などが当時の姿のまま残っている映像を見ると、ヨーロッパで一人ピアノに向かうことの過酷さがリアルにこちらに迫ってきた。

演奏では、彼女のレパートリーで今回はじめて聴いた曲があった。
ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」。

こんな演奏はかつて聴いたことがない。
この演奏が、彼女の解釈からくるものなのか、個性からくるものなのか、それとも聴力の問題からくるものなのか、それはわからない。
美しい弱音でレガートに弾かれる有名なあの調べが、一音一音まるで弔いの鐘のように、打ち込まれるように、鳴らされる。
正しい演奏なのかどうなのか、という問題を考える力すら奪われてしまう。ただ聴くのみ。

フジ子・へミングはクラシックファン以外のファンも多くつかんだといわれている。演奏の好き嫌いは別問題として、そのあたりのことは冷静に考えてみる必要があるのかもしれない。
ミスがあっても多少ひずんでいても、それまでクラシックのピアノ曲を聴いたことのない人間までをもリピーターにしてしまう演奏。もちろん、フジ子さんは長い長い間、基礎をしっかりと学び、正当なピアノ教育を受けて、大変な努力を重ねてこられたかただ。だからこその魅力ともいえるのであろうが、こういう演奏に接することは、「演奏することとはなんなのだろう」という原点に立ち戻る機会を得ることになる。

こういう思いを常に大切にしていきたい。




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7 コメント

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私も拝見しました。 (minorun)
2005-12-18 21:28:36
現在の娘さんの活躍を、天国のお母さまがごらんになったら・・・・

びっくりなさるでしょうねぇ(笑)
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そうですよね~ (仮装ぴあにすと)
2005-12-19 01:06:34
ほんとに驚かれるでしょうね。

まさか娘さんがあのお年(失礼!)になってから大ブレイクするなんて。

しかも、ドラマで鬼のようなお母様として演じられたり、「グレートマザー」として自分自身が取り上げられるなんて・・・ですよね。

きっと、苦笑しながらも喜んでおいででしょうね。
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ちょっとだけ見ました (おきあがりこぼし)
2005-12-19 09:04:29
夕飯作りながら、かじりかじり見ました。

「愛の夢」お母さんに届いてるといいですね。

人生の重みがどっしりかかった音色に

きいてて胸が苦しくなりました。

厚生年○にまた来ないかな。

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Unknown (転妻よしこ)
2005-12-19 10:15:10
フジ子ヘミング、来年、来日公演がありますよね。

広島にも5月22日に公演が予定されていたと思います。

協奏曲で、昼がベートーヴェンの皇帝、

夜がショパンのホ短調。だったような。

間違っていたらすみません。



ここを読ませて頂いて、

改めてフジ子ヘミングの演奏を聴いてみたいなと思いました。
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たしか (仮装ぴあにすと)
2005-12-19 16:39:23
フジ子さん、来広の予定ありますよね。

実演に接すると、ひいてしまう可能性もなきにしもあらずなんですが、6歳より日に2時間×3回も母親に猛レッスンされ、その後の人生も波乱万丈、という演奏やはり聴いてみたい気持ちは抑えられません。

「音楽は付加価値で聴くものではない」という意見もありますが、私、ポゴレリチの場合はなんの予備知識もなしにテレビで聴いてのち「付加価値」をよしこさんからいただいた経緯(爆)もあり、順番が逆なのもけっして邪道とは思っていない次第です。
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Unknown (おきあがりこぼし)
2005-12-22 14:48:26
来広されるんですか~!情報チェックしてたのに

分からなかったです。

探してみます。ありがとうございました!
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Unknown (おきあがりこぼし )
2005-12-22 14:56:30
分かりました~!ありがとうございました。
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