~Agiato で Agitato に~

再開後約20年になるピアノを通して、地域やほかの世代とつながっていきたいと考えています。

チェンバロレッスン

2007年12月19日 12時20分38秒 | レッスン&セミナー
11月のステップでご縁のあったチェンバロの先生のもとに、隔月もしくは毎月通うことになり、本日午前行って参りました。
場所は、とあるお宅の3階で、グランドピアノとチェンバロがあるスペース(20畳くらい?)。
参加者はレッスン生2名、聴講2名。


チェンバロの種類・構造についての簡単なレクチャーのあと、2冊持っていった楽譜から原典版の方を選びレッスン開始。
バッハのフランス組曲5番から<ガボット>と<ブーレ>を用意していったのですが、原典版のみでは右も左も分からない私・・・。実はうちでは校訂版で練習し、その曲のチェンバロのCDを聴いて、適当にマネをして(殴)出掛けたのでした。

もともとこの時代においては、作曲者と演奏者が同一人物であり、楽譜には最低限のことしか書かれておらず、実演では即興も多かったとのこと。
「まずは、なにも書いてない楽譜にアーティキュレットを書き込みながら弾いていきましょう」とのことで、まずはオーソドックスに、小節線、その半分(かならずしもそうではないですが・・・要するに拍頭の前ですね)という区切りで弾く練習。
その際大事なのは、右手と左手はまったく別の楽器(たとえば右手はバイオリン、左手はビオラ・ダ・ガンバをイメージする)、別のものだという意識をもつこと。

基本的に小節線で切ればいいのなら、左右一緒だから簡単じゃん、と思うかもしれませんが、これがなかなか。
とにかく「左手はしっかりしゃべる」といわれ、それに気をとられて右がついレガートになってだらだら弾くとやり直しなので、悪戦苦闘です。
暗譜するくらいには弾いていったのですけど、大変でした。ピアノのレベルとしては小学生でも弾く曲ですが、こんなに大変な曲、小学生弾いちゃいけません(泣)。

アーティキュレットのやり方はいろいろあるようなのですが、その一つに、「離れた音でもわざと同じ指で弾く」というのがあって、これはピアノではまずありえない奏法と思いますし、子どもがやったら先生に怒られますけど、それによって醸し出される<間>が自然で良いそうです。・・・・なるほど・・・。

実際にガボットやメヌエットを踊っていただいたり、ステップを教えていただいたりして(メヌエットというのは実際の踊りは6拍子続きらしいです)、本日読譜にしても、楽器にしても初体験だらけで、実に新鮮でした。

でも、一番よくわかったのは、「脱力の仕方」(爆)。
なんでチェンバロで脱力?と思われるかもしれませんけど、チェンバロって触っただけで音が出ますよね、鍵盤軽いですよね。弾き方は腕も手の甲も動かす必要はなく、逆に動かすと音が濁ったりもするので、指先のコントロールが問われます。
要するに、一音一音をしっかりとらえて至近距離から確実に鳴らさなければならないわけです。
今日、私はよく手を抑えられて「動かさない、横にスライドされるだけ」みたいなことを言われ、さらに「左の指の独立の練習をしましょう!(てのひらごと動いている感じがあります)」と言われました。
自分でいうのもなんですけど、「独立ができてない」といっても、メチャメチャよたってるとか粒がそろってないとかそういうことではなくて(そういうこともあるかもしれせんが ^^;)、自分としては、弦をはじいた時の(ピアノと違ってハンマーがなく、中の爪みたいなのが弦を引っかけるわけですよね)、「チッ」という感覚がある指とない指があって、それがペダルや響きのない状態だと丸裸でなってしまい、音にムラが出るという感じなんです。
私は左3の指が弱く(ちなみに右は4)、ここのところその克服が課題だったのですが、思わぬところで、具体的トレーニング方法を教わることになりました。
先生は、いつもピシュナをされているようでした。

右手にしても、いきおいをつけずに平気で4545のトリルとか3434のトリルとかできないとダメなところ(しかも鍵盤が軽いのでたくさん入れられるはず・・・・らしい)がたくさんあって、ピアノで弾くにしても、このあたりがちゃんとできないでいて、バッハが弾けるわけもないよなあ・・・と大変反省いたしました。

レッスンの最中、「この感じ、なにかに似てる・・・どこかでやったことある・・」とずっと思い続けていたのですが、帰りのバスのなかで思い出しました。
私は学生の時、3年くらい日本舞踊をやったことがあるのですけど、中腰のまま、すべるようにささっと移動するのがほかの何よりも難しく、自分はなんて足腰が弱いのだろう・・・としみじみ思ったことがあります。
扇を飛ばしたり、見得を切ったりの派手な動きよりも、能に通じる一見静かな動きのほうがはるかに身体能力を問われ、ザツな部分が剥き出しになります。


11月のステップの時、アドバイザーの某先生(有名な古楽器の先生です)から「(ショパンのエチュードの)動きにムダが多いです」みたいなコメントをいただき、それなりに修正を試みていましたが、今日、チェンバロを再び弾いてみて逆にピアノで気をつけるべきこともなんとなくわかってきたような気がしました。



「・・・で、これからどうしましょうか?」
と先生に言われたのですけど、私バロックが特別好きというわけでもないし、バッハだけを深く勉強をしたいというわけでもないので、とりあえずは指の独立を図りつつ(泣)、フランス組曲5番をそれぞれのダンスのステップを習いながら、全曲をやっていきたいと思っています。