秋田マニア愛好会 (秋田県が好きであり、川反を元気にする団体)

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コンパクトシティは失敗

2015-12-07 05:37:00 | 日記
 10年くらい前から全国でコンパクトシティという構想が取りざたされている。

 2005年ころから今後、人口減少や少子高齢化が進み、開発優先の時代ではなくなり、国や地方自治体の財政状況は悪化している状況であるので、効率的な財政運営が必要であるということで、都市における居住地の郊外分散を改善し、開発を抑制する手法である。

 結論からというと、多くの場合、コンパクトシティ構想は失敗している。現在、地方都市を中心にクルマ社会が広く浸透し、必ずしも鉄道やバス等の公共交通機関での移動が主流ではなくなってきている。安価な土地を求め、郊外へ住宅や人がシフトした結果、中心市街地から遠い場所に住宅が建設され、人が定住するようになった。

 青森市ではコンパクトシティのもとにJR青森駅から徒歩2分ほどの場所に、青森市が出資した第三セクターがアウガという再開発ビルを建設した。B1階には市場、1~4階には各種テナント、5階には公共施設、6~8階には青森市立図書館が入居している。

 アウガは赤字が続き、現在、運営会社は破たん寸前の状態である。抜本的な対策がない場合、会社は破たんすることとなるとみられる。アウガの土地の所有者が複雑であり、それも経営改善を妨げているといっていいだろう。

 秋田市では「エリアなかいち」という再開発に135億円が投じられた。市などの行政が8割を負担し、華々しく開業した。しかし、にぎわい交流館(AU)では開業2年もたたずにキーテナントが撤退するという非常事態となり、現在では開業当初とは異なるテナントが入居している。

 青森市や秋田市では人口が郊外へ流れ、現在、中心市街地にはさほど居住はしていない。地価が高いため、多くは郊外へ流れたのである。クルマ社会の進展により、バスの利用者が減少し、本数が減便されるということで、公共交通機関が利用されにくい環境となっている。

 青森市や秋田市にはイオンがあり、いわゆる郊外型大型店である。集客力が高く、中心市街地の空洞化にもつながっている。郊外型大型店は大型駐車場を備えていて、駐車料が無料であることも影響している。中心市街地の商業施設だと駐車料は有料であり、一定額の買物をしないと無料とはならないケースが多い。

 国は一律にコンパクトシティを掲げるのではなく、へき地に住んでいる人に対し、住宅地や中心市街地へ居住を促す政策を提唱するべきだ。これにより、郊外の開発は抑制され、へき地に居住する人は減ることとなり、道路や上下水道、公園、学校などのインフラ整備の負担を軽減することができ、公共投資の効率的配分が可能となる。

 平成の大合併により、行政コストは削減されたものの、コンパクトシティが成功はしていない。合併し、村であった場所が市になり、住所上は「市」になったものの、土地の形状や生活状態は実施的に「村」であるケースも多数存在する。

 へき地の居住者を住宅街や中心部へ誘導することで行政の効率化が必要である。国が進めるコンパクトシティは多くの郊外へ居住する人にとっては、必ずしも有益ではない。

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