普段だったらまず観ないであろう重い社会派の映画「ムーンライト」と、合唱団の練習曜日だからと何となく毎年諦めていた聖金曜日のバッハ・コレギウム・ジャパンの「マタイ受難曲」に、行ってきました。同じ日の昼間と夜に。そんな重たいリレーは、体力的にも精神的にも負担が結構大きいので普段だったらしませんが、この時期、スケジュールがきついので止むを得ませんでした。「マタイ受難曲」はずっと行きたいと思っていたのだけど、そこまでしてどうして今回この映画に行こうとしたのか自分でも不思議。でもまぁ、「絶対観ないな」と思っていた気持ちが予告編を観た時に「観よう」と変化したので、「仕方ない観るか」といった感じでした。
結論から言うと、この2つを同じ日に受け取って良かったなぁ、と思っています。お互いが何か響き合って、自然と入ってきたようなそんな感覚でした。脈々と横たわる主人公の悲しみや繰り返される許し、裏切る側のつらい気持ち、群衆のひとりとして恐ろしい思想や行動に身をゆだねてしまうことの重たい責任、そしてそんな悲劇でしかない場所にも必ずある希望のようなものの存在……そんななんやかんやがとても近い感覚で。お腹いっぱい食べたけど、胃もたれはしない。そんな気持ちの良さで、飛び乗った最終列車でゴトゴトと帰ってきました。
お。思ったよりコトバ化できた。でも、私の中に残ったのはもっともっと大きな、不思議なくらいの充足感。前を向こう、ちゃんと食べて、立って、歩こう、よりカッコつけて言っちゃえば、生きようっていうほどの。
とても良い遠足させてもらいました。さて、と。働こう。