日本の人口減が、日本の国の全土で、この数年で急速に進んでいるようだ。どうしてなんだろう?
*
我が集落もこの人口減少傾向は顕著である。数年先には限界集落を迎えてしまいそうだ。ヒトゴトだと思っていたのだが、そうではなかったようだ。
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住んでいる人はほぼ高齢者。独居老人家庭も多い。若い人が残らない。結婚しない男女がかなりの数に上っている。
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日本の国の未来が、我が住む集落の未来が、どうなってしまうのか。心配でたまらない。
日本の人口減が、日本の国の全土で、この数年で急速に進んでいるようだ。どうしてなんだろう?
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我が集落もこの人口減少傾向は顕著である。数年先には限界集落を迎えてしまいそうだ。ヒトゴトだと思っていたのだが、そうではなかったようだ。
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住んでいる人はほぼ高齢者。独居老人家庭も多い。若い人が残らない。結婚しない男女がかなりの数に上っている。
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日本の国の未来が、我が住む集落の未来が、どうなってしまうのか。心配でたまらない。
午前8時50分のスリップ事故。橋の上で。凍っていたのだろう。長い大型トラックとキャンピングカーのようなものが、衝突していた。遠くからはよくは見えなかったが、どちらも橋の欄干にまで乗り上げていた。上下線とも通行が不能になった。迂回路はない。たちまち交通渋滞が生じた。恐い事故現場を見た。双方に怪我がなかったらいいけど。事故に遭ってしまった人は、この寒空でいかにも心細かっただろう。
僕は9時に約束していたので、ルートを変更して先を急いだ。
雪降りの日は恐ろしい。橋の上は夜の内にすぐに凍ってしまう。
77歳のお爺さん、僕は。でも、それでも、僕を好きだと言ってくれる人が一人欲しいと思っている。アテがあるわけではない。アテなんかない。近寄って来てくれなくてもいい。遠くにいてもいい。姿を見せなくていい。
でも、一人の人には僕は好かれていたいと思っている。100人1000人が嫌いだと言おうとも、その一人がいてくれることで、僕の絶望の氷は、解けてしまえるように思う。
そんな少年少女のような、あまっちょろの願望を、77歳になるお爺さんがいまだに抱いているなんて、おかしいだろう。おかしいだろうと思う。
雪が吹雪いている。その人が雪女でもいい。雪の原野の小屋の扉を開けて、そこにいる僕を見つけて、「わたしはあなたにお会いしたくて雪の原野を長い長い間彷徨っていました。いまここであなたに愛を告白できたら、わたしの雪女の人生は終わりを迎えます」と言ってその人は消えてしまう。僕も消えてしまう。
童話の世界だ、これは。童話のような想像の世界の、一人の人でいい。
吹雪になっている。午後4時。畑は白くなっているが、積もっているようではない。風がある。真横に吹いている。風が、積もろうとする雪を吹き上げているようだ。
お爺ちゃんは、一日のお喋り語数が7000語なのに、お婆ちゃんのそれは20000語に達しているらしい。そんなことが書いてあった。そんなに違うのかあ。
お爺ちゃんの一人の僕は、人と会わないのだから、1000語にもならないかもしれない。独り言以外はほとんど黙っているばかりだから。
もうすぐ午後二時。うどん粉のような雪が降りしきっている。
おれはそれを眺めている、ひとりで。何にもすることがないので、ぼんやりとして。
ここは山里の村。ひっそりしている。物音がない。誰も居ない。
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時計の秒針の立てる時間の音が立ち止まらないで進んでいる。
何処へ進んで行っているのか、それは分からないのだが、それでも立ち止まらないで。
粉雪が降りしきっている。天空の宮殿に住んでいられなくなった雪が、降りて降りて、降りて来る。
「いい一生でございました」なんじゃないのかなあ、すべての人が。この世に生まれて来ることができたんだから。
それで締め括っていいのじゃないのかなあ。それで締め括るとその通りになるんじゃ何のかなあ、いい一生を過ごせたことになるんじゃないのかなあ。
そんなふうに己の一生をプラスに肯定できた人には、その次がプレゼントされて与えられて行くんじゃないのかなあ。
いやいや、否定してマイナス評価をした人にも等しくプレゼントがあるに違いない。宇宙の永遠のいのちの道は、次へ次へと続いているんだから。
おれは満足しなかった、などとほざいて、死んで行く小鳥はいるだろうか?
いまい。
そもそも、満足、不満足などという感情の受け取りがあるまい。
小鳥には不必要かもしれない、そんなものは。
じゃ、人間さまにはどうしてそれが必要なんだろう?
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人間は、足りたり足りなかったりして暮らしている。満ち足り満ち足りなかったりして過ごしている。来る日も来る日も。足し算引き算とさんざんに勘定して、あれこれの比較をして、それを評価していないと、生きている気分になれないところがある。面倒なことをしている。
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小鳥たちのようにして生きるのは、まずいことなのか。ふっと疑問に落ちる。
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いやいや、小鳥たちだって、「ああ、いい一生だった」などとにっこりして死んで行くものもあるかもしれない。「ああ、つまらない一生だった」などと悔恨を抱いて死ぬ小鳥も、あるいは、いるかもしれない。でもそれを文字にして記録には残していない。
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小鳥も人間も生まれて生きて死んで行く。100歳まで生きているのは人間だけだけど。
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生まれて来たということがそれで完成なのであり、生きているということがそのまま完成であり、死んで行くということがパーフェクトな完成である。それをひっくるめて総合的に、小鳥も人間も、絶対満足の評価を与えていていいのかもしれない。
(とりとめもない推論になってしまったけど)
外が荒れている。風の音が高い。怒ったように吹きつけている。お日様も渋い顔だ。(何か、怒ることがあるのだろうか?)
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粉雪が横殴りに降りつけている。かと思ったら、急に風が止んで、牡丹雪がふわふわ彷徨うように漂う。明日は24日、外国の風習ではクリスマスだ。
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ま、日本にもこの風習は根付いているから、クリスマスを祝う人も多い。我が家ではケーキを楽しむくらいだが。しかも一日遅れで、少し安くなったものを買って来て。
高菜の一夜漬けが美味しい。鰹の削り節を一袋加えて、醤油を落とす。香りがまたおいしい。
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高菜は我が家の畑で育ったもの。間引き菜だから、ちょうどいい位の大きさだ。一日、日当たりに置いて干しておく。塩を加えて漬け込む。数日で水が上がる。一週間経てばおいしくなっている。
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古いのは今日のお昼ご飯で食べ尽くした。次のがすでに漬けてある。明日、明後日頃には食べ頃になりそう。安価だ。料理法も簡単。塩があれば漬けられる。
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炊き立てのご飯にのせる。寒い冬の日にも、こんなにおいしいものが食べられる。有り難いと思う。そんなものは、ちっともご馳走とは言えない、とやじられそうだが、これもまた素朴で味わい深い。