知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

不正競争防止法2条1項2号における類似性

2009-01-18 14:43:10 | 不正競争防止法
事件番号 平成19(ワ)11899
事件名 不正競争行為差止等請求事件
裁判年月日 平成20年12月26日
裁判所名 東京地方裁判所
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 清水節

(2) 不正競争防止法2条1項2号における類似性について
上記1のとおり,原告商品表示については,著名性を認めることができないが,本件事案の性質に鑑み,仮に,原告商品表示が著名であるとした場合,原告商品と被告ら商品Bとの間に不正競争防止法2条1項2号における類似性を認めることができるのか否かについて検討を加える。

ア 類似性の判断基準について
不正競争防止法2条1項2号における類似性の判断基準も,同項1号におけるそれと基本的には同様であるが,両規定の趣旨に鑑み,同項1号においては,混同が発生する可能性があるのか否かが重視されるべきであるのに対し,同項2号にあっては,著名な商品等表示とそれを有する著名な事業主との一対一の対応関係を崩し,稀釈化を引き起こすような程度に類似しているような表示か否か,すなわち,容易に著名な商品等表示を想起させるほど類似しているような表示か否かを検討すべきものと解するのが相当である。

この点,原告は,同項2号の類似性判断においては,同項1号の場合よりも,広く類似性が認められる旨主張するが,上記のとおり,両者の類否判断は,その趣旨に対応した基準で行われるにすぎず,同項2号の場合において,常に広く類似性が肯定されるわけではないから,原告の上記主張を採用することはできない

イ 原告商品表示と被告ら商品表示Bの類似性について
上記(1)ウで検討した諸事情,すなわち,原告商品表示と被告ら商品表示Bとの間に,外観及び称呼の点で,大きな相違があると認められることに照らせば,需要者又は取引者において,被告ら商品表示Bを認識したとしても,(仮定的に)著名な原告商品表示自体を容易に想起するとまではいえない。

したがって,原告商品表示と被告ら商品表示Bとの間においては,不正競争防止法2条1項1号の場合と同様に,同項2号の類似性を認めることはできないというべきである。

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