知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

客観的真実に反する比較広告

2009-01-18 15:08:03 | 不正競争防止法
事件番号 平成19(ワ)11899
事件名 不正競争行為差止等請求事件
裁判年月日 平成20年12月26日
裁判所名 東京地方裁判所
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 清水節

不正競争防止法上2条1項14号にいう「他人の営業上の信用を害する虚偽の事実」とは,他人の社会的評価,すなわち,一般需要者の視点から見た評価を低下させ,又は低下させるおそれがあるような事実であり,かつ,それを告知又は流布する者の主観的認識とは関係なく,客観的真実に反する事実をいうものと解すべきである。

そして,本件各比較広告を一般需要者の視点から検討すると,・・・,被告ら商品Bに含まれるウーロン茶重合ポリフェノールの量や効能等について原告商品と比較しながら宣伝するものであり,
本件比較広告1では,被告ら商品Bのティーバッグ1包で350ミリリットル入りペットボトル5本半分の原告商品が含有する量よりも多くのウーロン茶重合ポリフェノールを含むウーロン茶を作れることを,
本件比較広告2では,被告ら商品Bの単位量当たりのウーロン茶重合ポリフェノール含有量が原告商品のそれの約70倍であり,原告商品のウーロン茶重合ポリフェノールの濃度が被告ら商品Bのそれに比して相当薄いことを,それぞれ示しているものと解釈することができる。

ところが,上記ア(カ),(キ)のとおり,一般需要者が,本件各比較広告が掲載されたウェブサイト又は被告ら商品Bの包装パッケージの各記載に基づき,通常認識するはずの方法によって作られた被告ら商品Bのウーロン茶重合ポリフェノールの含有量は,350ミリリットル当たり47.6ミリグラムであり,他方,原告商品のそれは,350ミリリットル当たり70ミリグラムであるから,両者の単位量当たりのウーロン茶重合ポリフェノール含有量を比較すると,原告商品の方が多く,よって,その濃度は原告商品の方が濃いといえる。

そうすると,上記のように解釈される本件比較広告1及び本件比較広告2は,いずれも,客観的真実に反する虚偽の事実であり,かつ,一般需要者に対して原告商品の品質が被告ら商品Bに劣るとの印象を与え,原告の社会的評価を低下させるおそれのある事実であると認められる。

・・・

6 争点(6) (被告オールライフサービスが,本件各登録商標を商標として使用しているか)について
(1) 商標としての使用の有無
 上記4で認定したところによれば,被告オールライフサービスは,本件各比較広告において,被告ら商品Bの含有成分の量と原告商品のそれとを比較し,前者の方が優れていることを示すことで,被告ら商品Bの宣伝を行うために,原告商品に付された本件各登録商標を使用したものと認められ,これに接した一般需要者も,そのように認識するのが通常であるといえる。

 したがって,被告オールライフサービスによる本件各登録商標の使用は,比較の対象である原告商品を示し,その宣伝内容を説明するための記述的表示であって,自他商品の識別機能を果たす態様で使用されたものではないというべきであり,商標として使用されたものとは認められない。

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