知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

安定同位体比質量分析装置の分析結果に基づき原産地誤認表示が主張された事例

2012-11-03 21:04:01 | 不正競争防止法
事件番号 平成22(ワ)47173
事件名 不正競争行為差止等請求事件
裁判年月日 平成24年10月25日
裁判所名 東京地方裁判所  
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 大鷹一郎、裁判官 高橋彩,石神有吾
不正競争防止法2条1項13号

 原告らは,被告各商品の桜葉の原産地は「中国」であるから,被告各商品に「国産」ないし「伊豆産」と表示(被告各表示)をすることは,原産地誤認表示に当たり,被告らによる被告各表示を包装袋に付した被告各商品の販売行為及び被告各商品の広告に被告各表示をする行為は,不正競争防止法2条1項13号の不正競争行為に該当する旨(請求原因(2)ウ及びエ)主張する。
 原告らは,被告各商品の桜葉の原産地が「中国」であることの根拠として,X社作成の平成22年6月8日付け本件分析試験報告書の分析結果を挙げるので,以下において,その分析結果の有効性ないし信頼性について検討する
・・・
(イ) 次に,本件分析試験報告書に係る判別方法による産地の判別は,産地別の安定同位体比データベースを基に算出された判別式によって行われているので,判別結果の有効性ないし信頼性は,産地別の安定同位体比データベースが信頼できるものかどうか,そのデータベースから算出された判別式が合理性のあるものかどうかに依存しているといえるものであり,これらの検討が必要である。
 具体的には,産地別の安定同位体比データベースの基礎データとされた検体を採取した具体的な地域,採取した検体の数,採取した検体の安定同位体比の分布状況等を確認し,これらを基に行われた産地別のグループ分けが適切なものであるか,安定同位体比の地理的な分布に明瞭な勾配があるかどうかを確認し,さらには,グループ分けの基準とされた判別式が合理的なものかどうかを確認する必要がある
・・・
 しかるところ,原告らは,本件分析試験報告書に係る産地別のグループ分けが適切なものであるか,安定同位体比の地理的な分布に明瞭な勾配があるかどうかを確認し得る分布図等のデータを提出していないから,グループ分けの基準とされた判別式,ひいてはその判別式によって導出された判別得点が合理的なものかどうかを確認することはできない

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