知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

不受理処分とは

2007-08-21 06:29:33 | Weblog
事件番号 昭和45(行ウ)106
裁判年月日 昭和46年01月29日
裁判所名 東京地方裁判所
権利種別 実用新案権
訴訟類型 行政訴訟
(裁判官 荒木秀一 高林克巳 元木伸)

『 原告は、不受理処分なるものは現行実用新案法上これをしうる法的根拠がないと主張するのに対し、被告は、私人の申請行為が法律に定めた方式に違反する場合には、当該申請の相手方である行政庁がこれを不受理処分に付しうることは一般に認められているところであると争うので、この点について考える

 不受理処分とは、一般に、行政庁に対して申請をする権利、いわゆる申請権を認められた私人がする行政庁への申請行為に形式的な瑕疵があるため、当該行政庁が申請の実体について審理その他の行為をすることなく、形式的な瑕疵があることを理由にその申請を拒否する却下処分であると解すべきものである

 このように、不受理処分は、私人に権利として認められた申請という行為を拒否し、却下する処分であるから、その処分をするについては、法の根拠を必要とするものであることはいうまでもない。

 法の根拠を要するということは、しかしながら、かくかくの場合には却下処分としての不受理処分をすることができるといつたような法の具体的な明文の規定がなければならないということではない。
 申請が一応申請としての体裁を具えていながらも、申請が申請として成立するために法によつて要求される本質的要件を備えておらず、しかも、その瑕疵が補正によつて治癒されえないような場合には、不受理処分をしうることについての法律の明文の規定を要せず、申請を却下するという意味で、これを不受理処分に付しうるということは、けだし、法の当然に予定しているところとみるべきだからである。

 いかなる態様の瑕疵がある場合に、申請が申請としての本質的要件を欠き、またその追完が許されないものとすべきかについては、当該申請がいかなる法令によつて認められたものであるか、また当該申請によつて達せられるべき目的、その申請行為の性質等によつて異なり、一概に決めることはできず、各法令を検討解釈して決定すべき問題であるといわなければならない。』

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