事件番号 平成23(行ケ)10243
事件名 審決取消請求事件(商標)
裁判年月日 平成24年02月21日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 中野哲弘
本件商標の通常使用権者であるフルーツキングミズノ(梅田店)は,「ももいちご」「百壱五」の文字が入った商品タグ(甲33,66の写真参照)を用いていたところ,同商品タグでは,「百壱五」の文字が「ももいちご」の文字に比べて小さい上,他の文字(「登録第4323578号」等)も使われるなど,本件商標において「ももいちご」「百壱五」の文字をほぼ同じ大きさで二段に並べたものとは,使用態様が異なる。
しかし,不使用商標登録取消審判における商標の使用とは,商標法50条1項が明示するように,必ずしも登録された商標と同一の商標の使用でなくても社会通念上同一と認められる商標の使用であれば足りると解されている。これは,現実の社会では,願書添付の商標見本と厳密な意味での同一の商標を,営業上絶えず同じ態様で固定して用いることはむしろまれであり,登録商標の使用の解釈を社会通念に合致するように行う必要があるためである。
そこで検討するに,上記商品タグにおいて,文字の色や大きさから,「ももいちご」の部分が最も大きな自他識別能力を有することは明らかであり,「佐那河内の」の部分は,それに次いで自他識別能力を有するといえる。他方で,文字の大きさや内容からすれば,「登録第4323578号」「平成10年商標登録願第30450号」「百壱五」の部分は,いずれも自他識別能力は非常に小さいといえる。
しかし,原告は,「百壱五」の部分につき,単に登録要件を充足するために本件商標に付加したものであり,客観的にみても,本件商標において漢数字である「百壱五」の部分は,「ひゃくいちご」のほか「ももいちご」とも一応読み得るものであり,ここから,数字の100と1と5,又は何らかの「いちご」との観念が生じ得るものの,あくまで平仮名の「ももいちご」を補足する部分であり,「百壱五」の部分自体が顕著な自他識別能力を有することは期待されていないと解されることからすれば,「ももいちご」「百壱五」の両方の文言が,文字の変更や欠落などなく,共に用いられていれば,字体や字の大きさに違いがあるとしても,本件商標を表す「登録第4323578号」「平成10年商標登録願第30450号」も表示されていることも併せ考慮すると,社会通念上,本件商標と同一の商標が使用されていると解すべきである。
そして,本件での商品タグ(甲33,66参照)において,「百壱五」の文字が小さいとしても,判読できないほど小さいわけではなく,他の文言が入っていても,「ももいちご」「百壱五」の両方の文言が上下二段に並べて用いられているものである。
以上からすれば,甲33(写真)の赤丸で囲まれた商品タグにおいて,本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているものと認めるのが相当である(なお,その写真内容からして,本件商標の指定商品である第31類「いちご」について使用されていることは明らかである。)。
事件名 審決取消請求事件(商標)
裁判年月日 平成24年02月21日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 中野哲弘
本件商標の通常使用権者であるフルーツキングミズノ(梅田店)は,「ももいちご」「百壱五」の文字が入った商品タグ(甲33,66の写真参照)を用いていたところ,同商品タグでは,「百壱五」の文字が「ももいちご」の文字に比べて小さい上,他の文字(「登録第4323578号」等)も使われるなど,本件商標において「ももいちご」「百壱五」の文字をほぼ同じ大きさで二段に並べたものとは,使用態様が異なる。
しかし,不使用商標登録取消審判における商標の使用とは,商標法50条1項が明示するように,必ずしも登録された商標と同一の商標の使用でなくても社会通念上同一と認められる商標の使用であれば足りると解されている。これは,現実の社会では,願書添付の商標見本と厳密な意味での同一の商標を,営業上絶えず同じ態様で固定して用いることはむしろまれであり,登録商標の使用の解釈を社会通念に合致するように行う必要があるためである。
そこで検討するに,上記商品タグにおいて,文字の色や大きさから,「ももいちご」の部分が最も大きな自他識別能力を有することは明らかであり,「佐那河内の」の部分は,それに次いで自他識別能力を有するといえる。他方で,文字の大きさや内容からすれば,「登録第4323578号」「平成10年商標登録願第30450号」「百壱五」の部分は,いずれも自他識別能力は非常に小さいといえる。
しかし,原告は,「百壱五」の部分につき,単に登録要件を充足するために本件商標に付加したものであり,客観的にみても,本件商標において漢数字である「百壱五」の部分は,「ひゃくいちご」のほか「ももいちご」とも一応読み得るものであり,ここから,数字の100と1と5,又は何らかの「いちご」との観念が生じ得るものの,あくまで平仮名の「ももいちご」を補足する部分であり,「百壱五」の部分自体が顕著な自他識別能力を有することは期待されていないと解されることからすれば,「ももいちご」「百壱五」の両方の文言が,文字の変更や欠落などなく,共に用いられていれば,字体や字の大きさに違いがあるとしても,本件商標を表す「登録第4323578号」「平成10年商標登録願第30450号」も表示されていることも併せ考慮すると,社会通念上,本件商標と同一の商標が使用されていると解すべきである。
そして,本件での商品タグ(甲33,66参照)において,「百壱五」の文字が小さいとしても,判読できないほど小さいわけではなく,他の文言が入っていても,「ももいちご」「百壱五」の両方の文言が上下二段に並べて用いられているものである。
以上からすれば,甲33(写真)の赤丸で囲まれた商品タグにおいて,本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているものと認めるのが相当である(なお,その写真内容からして,本件商標の指定商品である第31類「いちご」について使用されていることは明らかである。)。