事件番号 平成24(行ケ)10413
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成24年12月17日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 塩月秀平、裁判官 真辺朋子,田邉実
特許法29条2項
すなわち,有価証券情報の印字部外周に施された抜き型による加工はプリペイドカードを抜き取り可能とするためのものであるところ,これは,プリペイドカードが単に有価証券情報をカード購入者に通知するのみならず,利用者による携帯を予定しているため,有価証券情報が記載されているとともに有価証券情報を隠蔽してもいる折畳み対向紙片から分離させる必要があるために設けられたものと解される。
すなわち,購入者に交付されるシートからプリペイドカードを分離して使用できるようにすることも,請求項1~8にその構成が包含されているのみならず,考案の詳細な説明の段落・・・にその構成が独立して説明されている事項であり,甲1発明において技術的課題の一つとされていたというべきである。
そうすると,甲1発明は,折畳み対向紙片の内側面に印字された部分が有価証券情報のように隠蔽される必要のないものであっても,折畳み対向紙片の内側面の一部分を独立して抜き取る(折畳み対向紙片から分離させる)必要性があれば,プリペイドカードに代えてかかる分離させる必要があるものを採用するについての動機付けを包含するものというべきである。
かかる見地から見るに,広告の一部に返信用葉書を切取り可能に設けることは,本件出願前に既に周知の技術であったと認められる(・・・)。そして,広告の一部に返信用葉書を設ける場合,返信のために葉書部分を分離させる必要があることは明らかである。したがって,消費者等が受領したシートや紙面から分離して使用するものとして,甲1発明の「プリぺイドカード」に代えて「葉書」を採用することは当業者にとって容易想到であるというべきである。
・・・
(5) なお,審決は,「プリペイドカード」を筆記性が要求され,さらに大きさや厚さの基準が定められている「葉書」に代える動機が甲1発明には見出せないとした。しかし,筆記性や大きさや厚さといった基準の差異については,「分離して使用されるもの」の単なる物品特性上の相違にすぎない。また,甲1発明が,プリペイドカード付きシートが購入者によって受領された後はプリペイドカードを分離させることに意義があり,そこに技術的課題を見出したことからしても,「葉書」に筆記性が要求され,大きさや,厚さといった基準があるからといって,「プリペイドカード」を「葉書」に代える動機がないということはできないというべきである。
<関連事件>
事件番号 平成24(行ケ)10414
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成24年12月17日
裁判所名 知的財産高等裁判所
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成24年12月17日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 塩月秀平、裁判官 真辺朋子,田邉実
特許法29条2項
すなわち,有価証券情報の印字部外周に施された抜き型による加工はプリペイドカードを抜き取り可能とするためのものであるところ,これは,プリペイドカードが単に有価証券情報をカード購入者に通知するのみならず,利用者による携帯を予定しているため,有価証券情報が記載されているとともに有価証券情報を隠蔽してもいる折畳み対向紙片から分離させる必要があるために設けられたものと解される。
すなわち,購入者に交付されるシートからプリペイドカードを分離して使用できるようにすることも,請求項1~8にその構成が包含されているのみならず,考案の詳細な説明の段落・・・にその構成が独立して説明されている事項であり,甲1発明において技術的課題の一つとされていたというべきである。
そうすると,甲1発明は,折畳み対向紙片の内側面に印字された部分が有価証券情報のように隠蔽される必要のないものであっても,折畳み対向紙片の内側面の一部分を独立して抜き取る(折畳み対向紙片から分離させる)必要性があれば,プリペイドカードに代えてかかる分離させる必要があるものを採用するについての動機付けを包含するものというべきである。
かかる見地から見るに,広告の一部に返信用葉書を切取り可能に設けることは,本件出願前に既に周知の技術であったと認められる(・・・)。そして,広告の一部に返信用葉書を設ける場合,返信のために葉書部分を分離させる必要があることは明らかである。したがって,消費者等が受領したシートや紙面から分離して使用するものとして,甲1発明の「プリぺイドカード」に代えて「葉書」を採用することは当業者にとって容易想到であるというべきである。
・・・
(5) なお,審決は,「プリペイドカード」を筆記性が要求され,さらに大きさや厚さの基準が定められている「葉書」に代える動機が甲1発明には見出せないとした。しかし,筆記性や大きさや厚さといった基準の差異については,「分離して使用されるもの」の単なる物品特性上の相違にすぎない。また,甲1発明が,プリペイドカード付きシートが購入者によって受領された後はプリペイドカードを分離させることに意義があり,そこに技術的課題を見出したことからしても,「葉書」に筆記性が要求され,大きさや,厚さといった基準があるからといって,「プリペイドカード」を「葉書」に代える動機がないということはできないというべきである。
<関連事件>
事件番号 平成24(行ケ)10414
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成24年12月17日
裁判所名 知的財産高等裁判所