知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

先願明細書に記載されているに等しい事項

2013-08-25 21:31:32 | 特許法29条の2
事件番号  平成25(行ケ)10022
事件名  審決取消請求事件
裁判年月日 平成25年08月09日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 設樂隆一、裁判官 西理香,神谷厚毅
特許法29条の2

(4) 一応の相違点に関する判断について
ア 前記(2)に認定した先願発明の内容及び先願発明における求職クライアント信用評価情報の内容に照らすと,先願発明においても,求職クライアント信用評価情報記憶部には記憶容量の限りがあること,及び,古い求職クライアント信用評価情報は現実性を失い価値が無くなるため常にデータを新鮮にする必要があることが認められる。そうすると,先願発明においてこれらに対処することは,先願明細書に明示されていなくても当然に行われるものであるといえ,先願発明に本件周知技術を付加し,あらかじめ設定された蓄積期間が経過した古い求職クライアント信用評価情報を削除し,常にデータを新鮮なものとする構成とすることは,先願明細書に記載されているに等しい事項といえる。

イ そして,本願発明と上記ア認定の先願発明に本件周知技術を付加した構成とを対比すると,
・・・

ウ 以上によれば,本願発明と先願発明との一応の相違点に係る構成は,先願発明に上記周知技術を単に付加した程度のものであり,かつ,新たな作用効果を奏するものでもない。したがって,本願発明と先願発明とは実質的に同一であるとした審決の判断の結論に誤りがあるとはいえない。
・・・

オ 原告らは,先願発明に何ら記載も示唆もない本件周知技術を先願発明に足し合わせることによって,本願発明と同一であるという帰結を導くことは特許法29条の2に該当するかどうかを判断する際には許されない旨主張する。
しかし,前記(4)アに認定したところによれば,原告らの上記主張を採用することはできない

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