知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

変更を加えた後続商品に対する不正競争防止法2条1項3号の適用事例

2011-07-31 09:29:30 | 不正競争防止法
事件番号 平成22(ワ)11899
事件名 不正競争行為差止等請求事件
裁判年月日 平成23年07月14日
裁判所名 大阪地方裁判所  
裁判長裁判官 山田陽三


(1) 法2条1項3号は,他人の商品形態を模倣した商品の譲渡行為等を他人の商品が最初に販売された日から3年間に限って不正競争行為に当たるとしたものである。その趣旨は,法1条の事業者間の公正な競争等を確保するという目的に鑑み,開発に時間も費用もかけず,先行投資した他人の商品形態を模倣した商品を製造販売し,投資に伴う危険負担を回避して市場に参入しようとすることは公正とはいえないから,そのような行為を不正競争行為として禁ずることにしたものと解される。
 このことからすれば,最初に販売された日の起算点となる他人の商品とは,保護を求める商品形態を具備した最初の商品を意味するのであって,このような商品形態を具備しつつ,若干の変更を加えた後続商品を意味するものではないと解すべきである。
 そして,仮に原告が主張するとおり,原告商品が原告先行商品の改良品や部分的な手直し品ではなく,新しい商品であるとすると,この場合に法2条1項3号による保護を求め得るのは,原告商品の形態のうち,原告先行商品の形態と共通する部分を除外した固有の部分に基礎をおくものでなければならないというべきである。
・・・

(3) 前記(2)からすると,原告が保護を求めている商品形態の構成の中心は,原告先行商品においても採用されていたものであると認めることができる。そして,原告先行商品と原告商品との形態上の差は,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができるほどの形状の差であるとは認められないか又は同種の商品に共通する何の特徴もないごくありふれた形状であるということができる。

 なお,原告商品と原告先行商品とでは商品の大きさが異なるから,そのことに由来する差違が存する。しかしながら,少なくとも全体的な商品の形態について従来品の形態を具備しながら,大きさのみを変更した場合に,従来品とは別の商品形態であるということはできない

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