知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

不競法2条1項3号の請求主体の要件

2012-04-07 09:48:36 | 不正競争防止法
事件番号 平成21(ワ)43952
事件名 損害賠償等請求事件
裁判年月日 平成24年03月28日
裁判所名 東京地方裁判所  
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 岡本岳

イ 競法2条1項3号は,商品化のために資金や労力を投下した者の開発利益を,当該商品の形態を模倣するという行為を競争上不正な行為とすることにより保護することを目的とするものであり,このような目的からすれば,本号の不正競争につき損害賠償を請求することができる者は,当該商品を自ら開発,商品化した者又はこれと同様の固有かつ正当な利益を有する者と解すべきである。

 これを本件についてみるに,・・・。

 以上によれば,本件ジュースについては,その内容物,商品名,容器デザインのいずれについても,原告が独自の費用,労力を掛けてこれを開発,商品化したということはできない(原告は,本件ジュースが原告の開発,商品化した商品であることの根拠として,原告によるJANコード等の取得や,食品衛生法に基づく輸入届出,関税の納付をも主張するが,これらはいずれも本件ジュースの開発,商品化に関するものとはいえず,採用することができない。)。

 したがって,本件ジュースについて,原告は,自ら開発,商品化した者と認めることはできず,また,これと同様の固有かつ正当な利益を有する者と認めることもできないから,不競法2条1項3号の不正競争につき損害賠償を請求することができる者ということはできない。

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