先日、映画「武士の献立」のDVDを見た時に思い出した山本周五郎の短編小説「よじょう」を再読してみた。何十年も前に一度読んだきりなのでディテールはほとんど忘れていた。まだ子どもだったせいか、ヒーローが登場するわけでもない、チャンバラがあるわけでもないこの小説の面白味は理解できなかった。しかし、この歳になって読み直してみると実に面白い。ほとんどドロップアウトしかかっている包丁侍の次男坊。博打と女と酒に身を持ち崩し、家も勘当され、ついには乞食生活を余儀なくされる。世間に対して斜に構えるこの主人公から見れば、剣聖・宮本武蔵もただの見栄っ張りのじじい。ところが父が起こした事件によって、心ならずもその武蔵を父の仇と狙う感心な息子に祭り上げられてしまう。そのことによって彼の身に起こる奇妙な逆転劇。
調べてみたらこの小説、ちょうど50年前に一度だけNHKでドラマ化されているようだ。主人公・岩太を演じたのはなんと渥美清。一度見てみたいものだ。
ところでこの物語の舞台は熊本城の城下町。実際の地名などが出てくる。すなわち、京町、水前寺、国分、千段畑、千葉城、坪井川、白川など。あくまでもフィクションだから、ちょっと位置関係がしっくりこない面があるのもご愛嬌か。
時代背景となった寛永年間の風俗(彦根屏風より)
調べてみたらこの小説、ちょうど50年前に一度だけNHKでドラマ化されているようだ。主人公・岩太を演じたのはなんと渥美清。一度見てみたいものだ。
ところでこの物語の舞台は熊本城の城下町。実際の地名などが出てくる。すなわち、京町、水前寺、国分、千段畑、千葉城、坪井川、白川など。あくまでもフィクションだから、ちょっと位置関係がしっくりこない面があるのもご愛嬌か。
時代背景となった寛永年間の風俗(彦根屏風より)