徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

国境のはなし。

2015-10-15 18:46:46 | 歴史
 下の写真は旧藩時代肥後國(ひごのくに)と豊後國(ぶんごのくに)の国境(くにざかい)に近い矢谷番所があった辺りである。前方に見える山々の向こうは豊後國だ。
 今では、ここら辺一帯の棚田は秋の実りのシーズンになると、こがね色の稲穂と真紅の彼岸花の見事なコントラストが美しい「番所の棚田」として有名な観光スポットとなっている。
 ところで、「国境」といえば、川端康成の小説「雪国」の有名な書き出し、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」の「国境」という言葉が「こっきょう」と読むのか「くにざかい」と読むのか、いまだに論争が続いているらしい。この小説の背景となった時代は昭和9、10年頃。そもそも行政区域として「國(くに)」というのはないが、川端はあえて古風な趣のある「国境」という言葉を使ったのだろう。読み方について川端自身はどちらとも示していないらしく、おそらく読み手の感性に委ねるということなのか。ちなみに、古書によれば矢谷番所などは「くにざかいのばんしょ」と言っていたらしい。