徒然なか話

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南蛮文化と細川家

2015-10-18 15:46:27 | 歴史
 熊本県立美術館の「細川コレクション永青文庫展示室」で行われている「南蛮文化と細川家」展を観に行った。これまで見た細川コレクション展でも、細川忠興の南蛮趣味ぶりを示す展示物はいろいろあったが、今回、南蛮趣味を示す歴史資料や美術品等の文化財をまとめて観ていると、忠興の、西欧文化への関心を超えた強いあこがれのようなものを感じた。これから見て、キリシタンではなかったとされる忠興もキリスト教文化に強いシンパシーを感じていたことは間違いないだろう。しかし、名門細川家の家名を守るためにはそれは口が裂けても言えなかったに違いない。それはキリシタン大名の蒲生氏郷や高山右近らとの親交があったことや、小倉時代には、数ヶ所の礼拝堂を黙認していたこと、また毎年、七月十六日のガラシヤ祭には、胸に十字架をかけて参列していたと伝えられることなどから推察できる。忠興の跡を継いだ忠利は、幼い頃、母ガラシャによって洗礼を受けたとも伝えられ、中津時代にはキリスト教伝道所を保護していた記録が残る。また、今回の展示物の中には、母ガラシャの慰霊祭を行うに当たって、忠興から「禅寺で行うよう」と指示されたにもかかわらず、自分はキリスト教のしきたりに則ってやりたいという意思を認めた、極めて興味深い書状もあった。