徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

小町のはなし。

2015-05-14 20:27:02 | 歴史
 建設業に携わる女性のことを「けんせつ小町」と呼ぶそうだ。日本建設業連合会では、建設現場を女性たちが働きやすい環境にするため「環境整備マニュアル」を策定し、併せてロゴマークも設定した。
 さて、小町というのは言うまでもなく美人の誉れ高い平安時代前期の女流歌人「小野小町」のこと。今日でも「○○小町」「××小町」という呼び名は数多いが、もともとは小野小町のような才色兼備の女性のことをいう。「けんせつ小町」というネーミングがふさわしいかどうかはさておき、この小野小町ほど謎に包まれた人物も珍しいといわれる。これほど有名なのに古文書等の史料にほとんどその名が登場しない。一方では全国いたるところに生誕地や墓など小野小町ゆかりの地が存在する。わが熊本も例外ではなく、熊本市の北部、植木町には小野小町が産湯を使ったという「小野泉水」があり、現地の案内板には次のように記されている。

小野小町(平安時代の女流歌人、六歌仙の一人)の生誕地です。出羽郡司(秋田県)小野良実(小町の父)は、養父小野篁(たかむら)の罪に連座して、肥後のこの地へ流罪に処せられました。七国神社は、本国帰参の祈願のため良実が勧進したものであると伝えられています。配処の月を眺めること11年、この間に長女龍子、次女小町が生まれました。小町こそ世にいう絶世の美人小野小町のことです。生まれた時、ここの泉水の水を産湯に使ったと伝えられています。岩の隙間や池底から湧出する水は豊富であり、古庭園名ごりの池畔には、小町堂があり、小野小町像が安置されています。


小野泉水


七国神社


 日本民俗学の父、柳田國男はその著書「妹の力」の中で、「小野氏の伝承を語り歩く一群の巫女たち」の存在の可能性を指摘している。「小野小町は、そうした巫女たち自身と同一化して全国で伝説化したのではないか」という。
 能楽(謡曲)でも小野小町を題材とした、関寺小町、鸚鵡小町、卒都婆小町、通小町、草子洗小町、雨乞小町、清水小町の7作品は「七小町」と呼ばれ、古より根強い人気を誇る。

花の色はうつりにけりないたずらにわが身世にふるながめせしまに(小野小町)


▼おまけ
左は昨年の京都葵祭で小野小町に扮した祇園舞妓のまめ藤さん。右は秋田県産米「あきたこまち」のイメージポスター(イメージキャラクターは壇密さん)