湿原に咲くコオニユリ(小鬼百合)です。よく人里でも見かけるオニユリ(鬼百合)とは別の種類です。
オニユリを漢字で「鬼百合」と書くと、”あのおっかない奥さん」と思い当たる人がいますが、オニユリとコオニユリの違いは大きさなどばかりではなく、繁殖機能が違います。
コオニユリは花が終わった後に実をつけますが、オニユリは染色体が三倍体なので種をつけません。その代わり、葉っぱの付け根にムカゴと呼ばれる、自らの分身になる塊をつけます。つまり、実と種をつけない代わりに、自分のクローンを産み落としていくんですね。基本的に百合ですから球根や茎にはえた球根のような根でも増えますが、種の変わりにムカゴをばら撒いて生息範囲を広げていくのがオニユリです。ご近所の鬼百合奥様は子供がいますか?いればコオニユリです。
染色体の話題になりますが、一倍体(半数体)、二倍体、三倍体、四倍体というのはゲノムのセット数で、通常の健全な生物はおよそ二倍体です。
一倍体とか半数体と呼ばれるのはアリやミツバチの労働者を思い出してください。このものたちはゲノムが一組なので、」繁殖する能力がなく自らのクローンを作る能力もありません。なぜか「女王バチ」「女王アリ」と女王が目立ちますが、こいつらは普通にゲノムを二つ持っているので繁殖能力があります。
オニユリの場合日本古来の植物だったコオニユリは普通に繁殖できる二媒体ですが、中国あたりから渡来してきたとされるオニユリは種も実もない三倍体ゲノムです。
二倍、三倍、倍返しの半沢直樹にも、おねえ言葉のなぞの国税査察官が出てきます。耕地派に媒体なのか?三倍体なのか?と問われれば生物的には普通に二倍体で、心は?