のすたる爺や

文明の果てなる地からのメッセージ

一理あるかもね

2013年08月02日 | 日記・エッセイ・コラム

 日本在住のロシア人の奥さんとのロシア文学の話題。

 
 最近、レフ・トルストイの心情が理解できるというのか自分には心地よいのですが、チェーホフやツルゲーネフはどうにも好きになれないというようなことを言ったら、「アンナ・カレーニナ」のヴロンスキーみたいな登場人物は嫌いでしょうというので、そいつと「戦争と平和」のボルコンスキーは大嫌いな奴だと答えました。
 なんでも、レフ・トルストイは大地主であちこちに妾がいたそうですが、実際はブ男で女性には全くもてない野暮な男だったとか。銭やねん。きっと、銭やねん。
 そのために小説の中でも美男子は浮気者で卑怯で女癖が悪くて、最後はロクでもない末路をたどりますが、「戦争と平和」のピエールや「アンナ・カレーニナ」のレービンなど、ブサイクで女にふられる登場人物は最後には幸福で穏やかな人生になるストーリーが特徴なのだそうです。
 ツルゲーネフやチェーホフは自分自身美男子でさんざん浮名を流したもので、登場人物が不道徳な人間であっても、もてる男がいい思いをするストーリーなのだそうです。
 もてない男の心の叫びを描かせたら秀逸なドストエフスキーやもてる男に厳しくもてない男に寛大なレフ・トルストイの小説は長編が多いのにたいして、ツルゲーネフやチェーホフの作品が短いのは、女性を口説くのに時間がかからなかったためとロシアでは言われているようです。
 作品の長さとモテ方が比例するのだろうか?そういえば私も手紙などけっこう長くなるタイプです。

 「きっとあなたもブサイクだから、ブサイク同士でレフ・トルストイと心が通じ合う部分があるのですよ。」
 外国の方は物事はっきり言うとわかってはいても、面と向かってここまであっさり言われるとなんと返してよいやらわからなくなります。「あんたの亭主だって・・・」

 ロシア社会の混沌に嫌気がさし、郊外の自分の領地のヤースナヤ・パリャーナに引きこもり、土から生まれた者は土に帰ると説く晩年のレフ・トルストイの心情に感銘していると思っているのですが、ブサイク仲間が相憐れんでいるように思われているようです。

 妙に悔しい。

コメント
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