さて、ここからライブは後半に突入し、9曲目は「コールドルーム」
甲斐さんは、またジャケットをお脱ぎになり、モニターに足を置かれ
「波止場の石原裕次郎(笑)」状態で歌われたり、マイクスタンドを蹴飛ばされたり
間奏部分では、階段の上でサックスを吹いていらした鈴木さんの前に立たれ
そのボディへエアパンチを連打なさったり(笑)…って
もちろん、奥さんは「めっちゃ可愛いんですけど~!(笑)」と萌え~♪(笑)
そのあと、階段を駆け降りて来られ、マイクスタンドに突進なさるご様子は
「翼あるもの」の間奏後のパフォーマンスを彷彿させましたが
続く「コールドブラッド(冷血)」の方が、客席は盛り上がっているような気が…?(苦笑)
もっとも、岩岡吾郎さんは「これ『コールドルーム』は、もうほとんど感情の溢れるまま
『コールド』『えもの』『レイン』『ナイト』…
甲斐よしひろの『言葉たち』が叫び声にからみ、一気に歌い終わるという感じです
以前の甲斐よしひろなら、たぶんもっと激しく生々しかったでしょうが、やはりこの曲も大人ですね
オシャレなアレンジでスピードのあるアフロっぽいリズムに乗せて
激しいジャズのようでワクワクします
甲斐さんは特に映画や映像に関心が強い人ですが
映画の重要なシーンやクライマックスに、そのまま使われそうな
緊迫した映像をイメージさせてくれます
撮影のため、前に3度ほど一緒にN.Y.C.へ行きましたが
私にとっては緊張したフォト・セッションだったことも手伝って
この曲を聴いていると、スリルなN.Y.C.の街角を思い出します
この曲は言ってみれば、映画のストーリーを語るようにではなく
甲斐よしひろ本人が映画の主人公となって、全編あばれ回っているような気がします」と記され
奥さんは、甲斐さんご自身が、その「大人」な歌詞を体現なさってるのか?とドギマギ(笑)
そして、11曲目には「イエローキャブ」が登場♪
甲斐さんは、アコギを肩から提げていらしたものの
かなりオリジナルに近いアレンジの演奏に合わせて「シンガー」に専念なさっていて
大サビ辺りから、ようやくギターを手にされたんですが
こうして甲斐さんもプレイヤーのお一人となるような曲を
ドラムレスのアコースティック編成で演奏なさった
ビルボードツアーのメンバーの皆さんは、改めてスゴイなあと…
奥さんは、この頃はまだ「すきっ歯」で、少し「出っ歯」気味いらした(失礼!)甲斐さんが
歌詞の切れ間に口を閉じて、時折、ギターネックに視線を落とされる表情が大好物らしく(笑)
映画「ボヘミアン・ラプソディー」で、フレディ・マーキュリー役を務めた
ラミ・マレックの「ロン毛&付け歯」姿に、若き日の甲斐さんを重ねて、大騒ぎしていたのは
「そういうことだったのか!」とナットクしました(笑)
ともあれ…続いて「安奈」が演奏されたんだけど
そのイントロを聴いた途端に「えっ!?これって…『安奈2012』?」とビックリ!
奥さんが、薬師寺ライブの前日リハーサルの中で唯一
「イントロ聴いて、ナンの曲か判らなかった」と言っていた、そのアレンジを
「このソロツアーで、もうやってたの!?」と思ったら
奥さんも「そう言えば『安奈2012』をリリースした時に
甲斐さんが『昔、一度試したことがある』アレンジだって言ってた」と思い至った模様…
そうそう!甲斐さんは、この「安奈」の時もアコギをお弾きになっていて
こういうライブ映像では珍しく?その甲斐さんの手元のアップ…
左手のストロークをとらえたカットが入っていたんですが
「ギターを弾く甲斐さん」好きな我が家の住人は
「♪違う、違う、そうじゃ、そうじゃない~♪」と口ずさんでおりました(笑)
「安奈」が終わると「サンキュー!」とおっしゃって、客席に向かって頭を下げられ
下手側の袖へ向かわれる甲斐さん…って、まあビルボードツアーでも
「(本編の)最後の曲になります」とラスト曲を歌われたあと
そのまま続けて「安奈」を歌われたことがあったような気が…?
ちなみに…このツアーのセットリストを調べてみたら
「翼あるもの」→「インジュリィタイム」→「カオス」→「ハートをROCK」→「レッドスター」
→「I.L.Y.V.M.」→『ナイトウェイヴ~破れたハートを売り物に』→「ミッドナイト・プラスワン」
→『シーズン~感触』→『WORD』→「コールドルーム」→『25時の追跡』→「冷血」
→「イエローキャブ」→「安奈」…アンコールの1曲目は『THANK YOU』となっていて
『』の曲やメドレーが編集されてるんだけど
このライブ映像のアンコール1曲目は、ナンと!「ダイナマイトが150屯」
地上波放送じゃないから、オンエアー出来た!?そんな訳ないか?(笑)
ともあれ…白いシャツ姿の甲斐さんが、マイクスタンドを蹴り上げられたり
バトントワラーよろしく、クルクル回されたり…というパフォーマンスで
観客を煽られるご様子は、かつても、この当時も、今もお変わりなく…(笑)
続いて、松下さんの緊張感あふれるアコギソロから始まる「100万$ナイト」
奥さんの記憶では、甲斐さんが「あっという間に作って来たんだよ!」と
この松下さんのアレンジを大絶賛なさっていたんだとか…
その甲斐さんと松下さんのお姿を、2分割画面でとらえたカットが入ったりしつつ
いよいよ、最後の「咆哮」のシーンと思いきや
ステージ中央の階段の上リ口…下手側脇に置いてあった
鈴木さんや松下さんが使っていらしたのとは別のキーボードをお弾きになる甲斐さん!?
甲斐バンドがデビュー間もない頃、まだ豊島修一さんがツアーメンバーになられる以前に
甲斐さんが「吟遊詩人の唄」のイントロを弾いておられたとは聴いてましたが
最初からずっと気になっていた、このキーボードの出番が、まさかここでやって来るとは!?
もっとも、甲斐さんは常々「こういう小編成では
誰もがユーティリティープレイヤーにならないといけない」とおっしゃってましたもんね?
あっ!もちろん、このキーボード演奏のあとに
ミラーボールが回る中で「咆哮」シーンがあり
ラストナンバーは、甲斐さんの弾き語りバージョンの「HERO」
このスタイルも、その後のツアーで採用されてますし
この甲斐よしひろ第1次ソロ期のツアーでは
色んな「お試し」にチャレンジなさっていたんだなあと…
まあ、奥さんは、ハーモニカホルダーをお着けになり
アコギ1本で歌われる甲斐さんの「おぐし」の長さが
かつて、雑誌で見たアマチュア時代の「カイヨシヒロくん」と同じくらいだったため
「照和」に出演していらした頃の甲斐さんをイメージして、勝手に萌え~♪(笑)
それはともかく…
甲斐さんのお召し物が、黒い袖なしTシャツに変わっているのは
Wアンコールだからなのか?白いシャツをお脱ぎになったものなのか?は定かじゃないんだけど
セットリストを見ると、この「HERO」のあとの「レイン」が大ラス曲みたいですし
「THANK YOU」と「100万$ナイト」で、いったんステージを降りられ
甲斐さんお一人で「HERO」そしてメンバー全員で「レイン」って流れかなあと…?
ただ、セトリには「HERO」ではなく「ダイナマイトが150屯」と記されているので
この日のスペシャルセトリということかも知れませんね?
余談ですが…アルバム「カオス」収録曲であり
このツアーのセトリに入っているにも関わらず
残念ながら、ライブ映像ではカットされていた(苦笑)2曲に関するコメントをご紹介します
まず「WORD」については、萩尾望都さんが
「初めてこの曲を聴いた時には、ややパニック的な不安を感じた。踏み込むとヤバい感じ
足元をすくわれてバッタリ倒れてしまうようなリズムで
おまけに歌詞がまた、ヤバくって、ハードで
『レイプされてる真夜中』なんて、社会犯罪ですよ、これは
しかし、個人のイメージの中において、受身にレイプされているのは
おそらく甲斐さん自身なんだろう」とおっしゃってますけど
「レイプされてる真夜中」のあとには「GO GO HEAVEN」という歌詞が続いてます(笑)
もっとも「受身」という意味では、アルバム「太陽は死んじゃいない」に収録されている
「GET!」の中にある「のばした手で 俺のズボンまさぐりながら
壁におしつけて俺に何をする気だい」という歌詞の方が「狩られる側」って感じが…(笑)
また、亀和田武さんは「この数年間、ぼく(たち)は
変わり続ける甲斐よしひろに眼を奪われ続けてきたが
『カオス』では逆に変わらない甲斐よしひろがぼく(たち)の前に浮上してきた
だから結局、とぼく(たち)は思う
ミュージシャンはデビュー以来のその長い音楽生活において
たったひとつのことを歌い続けるのに違いない、と…
『WORD』も『一世紀前のセックス・シンボル』を連想させる懐かしさのある曲だけど
『秘密もタブーも 二人のものさ 震えがくるぜ』という女声コーラスとの
セクシーな掛け合いの部分にくると、俄然元気に、そしてエッチな気分になれて、ぼくは好きです」
…と、最後だけは「ぼく(たち)」じゃなく「ぼく」と記されてますけど(笑)
奥さんも、甲斐さんのソロ35周年記念ベストにも収録されているこの曲を
今秋のツアーに参加予定の「TOKIEさんのコーラスで聴きたい!」と熱望しております(笑)
もう1曲の「THANK YOU」についても、亀和田さんが
「なんだか古い友人から届いた手紙みたいな懐かしさを覚えながら
何度も何度も『カオス』のテープをオート・リターンで聴いている
ぼくたちの耳と身体に馴染んだ甲斐よしひろらしさが、このアルバムにはふんだんに込められていて
それがぼくを懐かしい気分に誘うのだと思う
タイトル・チューンの『カオス』『ミッドナイト・プラスワン』も大いに気に入っているけど
やっぱり『THANK YOU』と『WORD』がいかにも甲斐よしひろっぽくて、ぼくは好きだ
メロディー、ボーカル、どれをとっても、ぼくたちの大好きなあの甲斐よしひろが
『THANK YOU』と『WORD』にはいる
特に『少し疲れて・しまった』という『THANK YOU』の一節、あれはいいなあ
甲斐バンド時代の名曲の幾つかもあの瞬間ダブってきて、泣ける」と語られたかと思えば
西岡文彦さんが「突然の話で恐縮ながら私は、山崎豊子原作のTVシリーズ
『白い巨塔』の熱狂的なファンであった
今は亡き田宮二郎が、ほとんど主人公になりきってそのまま自殺してしまったという名演で
野望に取り憑かれた男が束の間に見せる子供のようないじらしさがたまらなかった
で、その田宮二郎の鬼気迫る演技の中でも一番好きなセリフがひとことある
妻も友人も義父もすべて野望の達成のための道具でしかない
そんな彼がただひとりだけ心を許せる相手である愛人の前で、ぼーっと宙を見つめているシーン
着々と登りつめていく権力への階段…しかし、何か思い出しかけていることが
思い出せないようなもどかしさの中で、ふと立ち止まり
大切な何かを失ってしまったような思いにとらわれることがある…そういうシーン
愛人が訊く『…どうしたの?』答える『…え、ああ…少し…疲れた』そして、微笑む
このセリフなのだ。たまらなく僕の胸をしめつけるのは
大人が『疲れる』というのは、こういうことをいうのだ
疲れた心とは生きていけない。しかし、疲れることを忘れた心には生きていく資格がない
『THANK YOU』の『少し、疲れてしまった』というフレーズには
同じような痛みがうずいている。だから、僕は好きなのだ」と綴られていて
奇しくも「少し、疲れてしまった」という歌詞が、お二方に刺さったみたいだけど
皆さんご存知の通り、この曲は明石家さんまさんのために書かれたもので
ちょうど、たけしさんがヤル気を失くされ「幽霊が出たから」などという理由で(苦笑)
「ひょうきん族」をお休みになることが増えていた時期に
孤軍奮闘なさっているさんまさんをイメージされて、お書きになったんですよね?
そして、平山雄一さんは「ぼくが最初に甲斐よしひろに対して持っていたイメージというのは
『ダメを売り物にする奴』というものだった
コンサートでトバしまくり、やがてボロボロになっていく姿にリアリティーがある、と受けとめていた
しかし、それはそうなのだが、コンサートが大団円を迎える時
彼はオーディエンスに向かって全身で感謝を表わす
マイクから離れた口から、感謝の言葉がそのまなざしとともに語られる
ぼくはこの『THANK YOU』という小品に、そのことを感じてしまった
甲斐の『Thank you』は、心からのポップなのだ。それが彼の最大の魅力のひとつだ」
…と記されていて、「昔は『ありがとう!ありがとう!』って、何度も言ってたのに…
『サンキュー!』って、ナンか軽くない?」と
アンチ「サンキュー!」派(笑)の奥さんには
そこそこ目ウロコなご意見だったみたいです(笑)