ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

ちょっと気になった言葉3

2021-03-22 15:10:00 | 日記
甲斐さんは、よくちあきなおみさんの歌唱力を絶賛なさってますが
そのちあきさんだからこそ成立したというか
今でも時折、物議を呼ぶことがある異色作「夜へ急ぐ人」
…って、奥さんは、この曲をテレビで初めて聴いた時
鬼気迫るちあきさんの表現を「イヤ、怖い怖い怖い!」と思ったみたいです(失礼!)

ボクは、この曲をお作りになった友川カズキさんが…
「日雇い暮らしをしていた頃は、色んな人がいましたから、そりゃドラマチックでしたよ
雨が降ると仕事もなくて、1日中、花札やりながら酒飲んで…
大部屋での雑魚寝でしたけど、読書や詩作は誰もいない風呂場でやってました」とか
「きつい仕事も結構やりましたよ。沖仲士っていう船の荷物の揚げ降ろしも…
2人1組で、勝手に休めなくて嫌でしたね」

…と振り返られているのを拝見して、甲斐さんが「ミュージックフェア」で歌われた
かぐや姫の「赤ちょうちん」の歌詞に出て来る
「キャベツばかりを噛ってた」…みたいな生活を思い浮かべたり
甲斐さんや松藤さんも経験されたという「沖仲士」に食いついたりしたんですが

友川さんによれば…「生きてるって言ってみろ」という曲をお作りになった翌日に
ちあきさんの事務所から「お会いしたい」との電話があり、出向いて行かれたところ
ちあきさんご本人から「曲を作って頂けませんか」とオファーされ

その後、ちあきさんのステージをご覧になったら
「ジャニス・ジョプリンを歌っていたんですよ。もう滂沱の涙で…
ジャニスをあんな風に歌える人はいないと…
で、わりと簡単に『夜へ急ぐ人』は作れた」そうだけど

「『これで大金持ちになるんだ』と思い
妙な期待を覚えながら、紅白歌合戦を見てました
そしたら、司会の人が『気持ちの悪い歌ですねぇ』って…あれは、台本にない言葉ですね」
…って、それは、その司会の方の正直な感想だったのかも知れない(失礼!)と思う一方で
会場であるNHKホールの空気が、何かコメントしないことには落ち着かない
みたいな雰囲気になっていたのかなあと…?

甲斐バンドが「ザ・ベストテン」に出演した時
NHKの番組の公開収録の場から、民放のカメラが生中継するという
前代未聞のスタイルを容認なさった、当のNHKのディレクターの方が

「はっきり言って異様でしたね。でも、その異様な感じを見て『あ、これで大丈夫
この異様な感じを出せれば、テレビに飲み込まれないで済む』って思った」
…と、おっしゃったのと、真逆の心理が働いたんじゃないかと…?

そうそう!友川さんは、大島渚監督から「訛りを直せますか?」と訊ねられ
「イヤ、これは直らないです」とお答えになったことがおありだそうですが
監督は「戦場のメリークリスマス」への出演をオファーなさるおつもりだったらしく

友川さんが、その試写会で、ご自身に予定されていた役をご覧になり
「相手はデヴィッド・ボウイで、あの色気、不良の匂い、存在感には太刀打ち出来ない
やはり無理だったと思いました」と話されていてビックリ!
友川さんの代わりが「教授」だったってこと!?あんなにハマって見えていたけど
監督が最初にイメージなさっていた「ヨノイ大尉」って、どんな感じだったんでしょうね?

映画繋がりで行くと…甲斐さん大絶賛の「孤狼の血」の第2弾を撮影中の白石和彌監督が
危険地帯ジャーナリストの丸山ゴンザレスさんのご指名で「SWITCH」に出演なさった際に
松坂桃李さん演じる刑事が、相棒のアパートを訪ねるシーンで…

その相棒「セシマ」の隣人役の俳優さんが
「セジマさん」と呼んでしまわれ、NGとなったものの
「『セシマ』が『セジマ』…アリかなあ?
『セジマさん?』『セシマです』…もうサラッと…」と白石監督
…って「大島さん?」「児嶋だよ!」みたいな展開にクスクス(笑)

でも、隣人役の俳優さんに「もう1回、間違って貰っていいですか?(笑)」とお願いされたのは…
「台本って、やっぱり、言い間違いとか噛んだりとかないじゃないですか
でも、僕らが生きてる世界は、そういうミステイクやアクシデントに溢れてるんで
邪魔にならない範囲で入れて行った方が、たぶん生々しくはなって来る
そういうのが、現場の良さで、楽しみでもある」…からだそうですが

その昔、上岡龍太郎さんも「パペポTV」の中で…
ドラマや映画のセリフは、噛んだり間違えたりすると撮り直しになるけど
ふだん我々が話をする時に、そんなに流暢に喋ってないでしょ?
つっかえたり言い間違ったりする方が自然ですよ…といった風におっしゃってましたし
この「セジマさん?」「セシマです」みたいに
「ナカジマ」さんとか「ヤマサキ」さんとか
お名前の「濁る」「濁らない」の訂正は、日常的にままあることですよね?

ただ、本来は予定していなかったことを「現場」の空気や流れによって採り入れる方って
往々にして、突拍子もないことを思いつかれる訳で(笑)
白石監督は、松坂さんが「『ガッチャマン』の時に、7階から飛んだことあります」
…と話されたのを覚えていらして「3階くらいだったら、自力で行けるかなって…(笑)」と
主演俳優に3階からパトカーの上に飛び降りるシーンを要求(汗)

「あまり、監督の前で軽い話は出来ないんです
しっかり聴いて覚えてるんで…(笑)」と苦笑いなさる松坂さんを横目に
「基本的に(台本に)書いてあるものは、あくまで土台として、更に、よりブラッシュアップ…
どう出来るか?…ってことは、すごい考えます」とおっしゃっていて
レコーディングスタジオには「欠片のようなものだけを持って入る」という
某ミュージシャンの方を思い浮かべてしまいました(笑)

ともあれ…前作の「孤狼の血」は、オープニングから強烈で
まあ、映画館に足を運ばれた場合はいざ知らず
配信やDVDでご覧になったら、思わず視聴を中止なさる方もおられたんじゃないかと…?(汗)

役所広司さん演じるダーティーな刑事が
反社の方から「警察がこんなことしてええんか!」と言われ
「警察じゃけぇ、何をしてもええんじゃ!」と返すシーンがあったり(苦笑)
「日本で一番悪い奴ら」では、拳銃の検挙数を上げるため、暴力団と手を組み
麻薬密売に手を染めた、実在の北海道警察の刑事を取り上げられたり
「凶悪」も実際の連続殺人事件のノンフィクションを原作になさっていたり…と

「悪人を描かせたら天下一品!」な白石監督いわく…
「悪は、誰の中にも存在するものだし、でも完全な悪の人って、僕はまだ見たことがなくて
『凶悪』で、ピエール瀧が演じた須藤って男は
平気で…自分のコミュニティ以外の人間だったら、平気で殺すんだけど

家に帰ると、子供たちに優しくて、きっと良いおじさんだったりするじゃないですか
本当の悪って、そういうもんなんじゃないか?
単なる…やっぱりあの…一面的な悪じゃなくて多面的な人間
悪ければ悪いほど、多面的な人間を見せるようにしてますね」

…って、確かに、かつて成田三樹夫さんが演じられた、背中に絵のある強面の男性も
自宅では、幼い娘に相好を崩し、赤ちゃん言葉で話しかけるという(笑)
そのメロメロぶりにニンマリしてしまったことがアリマス(笑)

ただ、監督は…「今の日本映画って、社会をほぼ描かないって、よく言われる…
僕、すごいそう感じるんですけど、それってやっぱ
それを観たがる人がいるかどうかだけの問題なんですよ
昔は、そういうのを観たい人たちがいっぱいいたから、そういう映画を沢山作ってたんであって

だから、映画って『社会を映す鏡』って、よく言うんですけど
ちょっと前に気づいたのは、映画界が社会を撮さないんじゃなくて
日本の国民とか民衆が、社会に興味を失ってないか?っていう…
その社会派の映画が作れるか作れないかっていうことに、大きく関わっているなと
個人的にはすごい思ってます」…と憂いておられたんですが

それは、甲斐さんが「三つ数えろ」をお書きになった際に
そのきっかけとなった「梅川事件」に触れようとなさると
慌てて話題を変えようとしたDJの方がいらしたみたいに
コンプライアンスにピリピリしているマスコミが、民衆に情報が行き渡らないように
フタを閉めまくっているせいもあるんじゃないかと…?(汗)

でも…我が家の購読紙に「社会の不条理 いまヤクザ映画で」という見出しで
「義理と人情を描き、かつて一大ジャンルを築いたものの、今や数えるほどに減ったヤクザ映画
そのヤクザを題材に現代社会を映し出す注目作の公開が相次ぐ
社会から排除された、はみ出し者の物語から見えて来るものとは…」という記事が掲載されていて

「美化する訳でもなく、悪と決めつけるのでもない
リアリティーを持った作品で暗く沈むが、どうしようもない現実を見せつけてくれる」という
「ヤクザと家族 The Family」の河村エグゼクティブプロデューサーは…

「時代が変わり、新自由主義が進むに連れ、相互監視や同調圧力が強まった
ヤクザの排除は、そんな社会を象徴している
義理や人情、繋がり、絆が、今は断絶、分断されている
ヤクザ映画は、一種のタブーだが『新聞記者』同様
ジャンルを超えて行く作品にしたかった」と話され

また「殺人罪での服役を終え、今度こそ更生しようともがく
元ヤクザの主人公の姿を通して、社会の不条理や生きづらさをあぶり出す」
「すばらしき世界」の西川美和監督は…
「社会から忘れ去られた側、排除される側を描くと
個人に焦点を当てても、それを取り囲む世界が見えて来る」…とおっしゃっています

ただ…「ヤクザの在り方自体が変わった現代
作り手も観客も敏感になり、描くとしても美化することは許されない
北野武監督の『アウトレイジ』白石和彌監督の『孤狼の血』など
近年も話題作はあるが、その数は減っている」中

WOWOWの映画キュレーター・甲斐さんのインタビュアーを務めておられる
映画評論家の松崎健夫さんは…「(上記の2作品は)昔ながらのヤクザ映画とは違うけれど
注目の監督が共に取り上げたのは、社会に描くべきことがあるから。
アプローチは異なるが、両方とも刑務所を経て
突然現代社会に出て来ることで、時代の変化を提示し
世界的なテーマにもなっている格差社会の流れを、はみ出し者を通して新たな視点で描いている」
…と紹介なさっていて「社会を映す鏡」の在り方が変わって来たんだなあと…

余談ですが…前述の「SWITCH」後半、丸山さんのパートになり
丸山さんが、無職でいらした頃「3食チキンラーメンで過ごしてました」とおっしゃったんだけど
朝ドラ「まんぷく」効果なのか?(笑)録画映像なのに特に修正やお詫びなどはなく
奥さんは「甲斐さんが生放送で、商品名と知らずに『へちまコロン』って言った時は
『へちまのコロンですね』って訂正されたのに…」とクスクス(笑)
今や、ある意味、民放より自由度が高いのかも知れませんね?(笑)
コメント
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