引き続き…「CHAPTER3…『スポットライト 世紀のスクープ』のスタッフについて」
次の項目は「臨場感あふれる撮影技法について」
「こういうジャーナリスティックな映画って
つまり、観てる人たちも…自分もその一員のように(感じ)させるのが1番!
やっぱり、強い衝動を覚えるからね」と甲斐さん
「で、あと、僕、もっと思ったのは、その…マーク・ラファロが、あの資料を見つけるために
バーッて通りを走って行くところに、すごい低い位置でカメラ構えててね
で、で、こう…歩道の下を写しながら、彼がバーッと走って行くところとか
あのー、タクシーを急に捕まえる時に、やっぱそれもカメラがすごい低いんですけど
独特な…ナンか撮り方してんなっていう風に…
ナンかこう…すごく、ある種の…そのクローズアップされてる人物以外の色んな…
他にも色んな気配が入り込むような…その方が緊張感あるからね
そういう、ナンかこう…配慮をした撮り方をしてますよね
カメラ、良いカメラだなあと思って見たら、日本人だったんで…」
…って、ボクはそのシーンを覚えていたものの
どんなカメラワークだったか?は記憶になく…
というか、そもそもカメラの位置なんて気にしてなかったんですが(苦笑)
続いては「この映画のカメラマン マサノブ・タカヤナギについて」
甲斐さんが「まあ、あの『ウォーリアー』の時の
あの目まぐるしいカメラワークもすごいですけどね」と話し始められると
画面下に「『ウォーリアー』…製作:2011年 監督:ギャヴィン・オコナー
『マッドマックス 怒りのデスロード』のT・ハーディと男の魅力に満ちた出演陣が集結
総合格闘技で対決する兄弟を描いたヒューマン・スポーツドラマ」とクレジットが出て
ここで、インタビュアーの松崎健夫さんが
「『世界にひとつのプレイブック』…」とおっしゃる声がした途端
甲斐さんは「そう!そうそう!あれもそうです!」と
松島さんがいらっしゃるとおぼしき辺りを指差されながらハゲ同(笑)
「移動撮影が上手い!」との声にも「上手い!この人、上手い!
だから、あのー、あの映画の時は、あのダンスシーンとかも上手いもんねぇ
そこに映ってない…(それ)以外の気配を感じるというようなことって
すごくナンか重要な感じしますけどね」と反応されてましたが
以前に、甲斐さんがドラマの話をなさった際に…
「テレビは、今、セリフを口にしている人をアップで映すけど
その場面に出ている他の役者の人は、自分が映ってなくても
その役の人間として、その場にいなきゃダメでしょ?」
…といったことをおっしゃったのと通じるものがあるんじゃないかと?
舞台演劇観賞ビギナーの奥さんが、最初にビックリ…というか目ウロコだったのも
その場面に登場されている役者さんは、たとえセリフがなくても
ご自身の役柄で、その場面にふさわしい佇まいで、舞台に立っておられる…という
考えてみれば、当たり前のことだったんですが
ドラマや映画でのお芝居しか観たことがなかった人間には、新鮮な驚きだったみたいです(笑)
まあ、甲斐さんのライブなら、数え切れないくらい観ているとはいえ
楽器をお持ちにならず、コーラスを担当される訳でもないミュージシャンの方が
ステージにいらっしゃることはないでしょうし(笑)
もし、そんな方がおられたら、違和感しかないですよねぇ?(笑)
それはさておき…「カメラワークとしては、ナンかこう…たぶん、それは…
監督がやっぱり、それを感じてて、指示出してることもあると思うんですけど
ナンかこう…ある種の、良い意味の緊迫感を生んでますよね」と甲斐さん
「素晴らしい作品に出会ったスタッフ・キャストの心境」について
「こんなに良い映画撮ったあとって、もう…
だいたい、アンサンブル劇なんで、ハーモニーって判るじゃないですか?やってる人たちって…
終わったあと、他の映画、行きたくないだろうね
『もう終わりかー!』っていう感じに、やっぱりなりますよね、きっと…」と話されてましたが
役者さんや映画に関わられるスタッフの方って
音楽業界でいえば、サポートメンバーやツアースタッフの方みたいなスタンスで
1つの現場が終われば、また次の現場へ…というのが普通なんでしょうけど
「MEETS」ツアーの時の押尾コータローさんのように
ツアー後半に入った辺りから、残り何本で寂しいと呟かれたり、最終日の開演前に涙ぐまれたり…
と、やはり「離れがたい現場」はおありなんじゃないかと…?
そして…「アフタートーク」のエンディングは
お馴染みの「FILM GARAGE メモ」で、トーク内容のおさらい
「『スポットライト 世紀のスクープ』の映画としての魅力」とのタイトルの下には
「緻密に計算された構成で、事実を描くストーリーの素晴らしさ」
「豪華なキャスティング」という文字
そのあと「『スポットライト 世紀のスクープ』をきっかけに甲斐さんが観た作品」が表示され
その左側の画面では…「今作の『9.11』の表現方法について語る甲斐さん」…の映像
「やっぱり、あれ、象徴的なシーンだよね
ナンか、でも、トム・マッカーシー、やっぱり偉いなと思うのは
そういうことも、この空気感さえも…さっきも言ったけど、その煽る材料…
あのー、その記者たちがマイアミに行って『9.11』の取材してるんだけど
彼らはずっと片時も…大変な出来事の中でもずっと(頭の)片隅に
この事件のことを…児童虐待のことをずっと、やっぱどこかで考えてますよね
平凡な監督は出来ない」とおっしゃると
「2001年9月11日って出しちゃいますよね」と松崎さん
甲斐さんが「そう!そう!出しちゃう!出しちゃいけないのよ、アレ…
あの…だって、アレで判るもんね、もう…
(テレビで『9.11』のニュース映像を観ながら)
『事故だって言ってます…でも、事故じゃないですよね』(と話すシーン)とかね
チラッと会話が…でもホントに僅かなシーンじゃないですか、アレ」と返されると
「アレを言うだけで、その…その…アレが、あとになって放送されたものであって
ライブで観てるっていうことも、あれだけで判ります」と補足なさってましたが
そのニュースの続きに「祈りを捧げる神父」の映像が流れていて
ちょっとフクザツな気分になったことを思い出しました(汗)
ともあれ…「しかも、2001年なのにアレを入れないとおかしいよね
(ましてや)新聞社で…っていうのもあるしね(笑)」と甲斐さん
これは、去年「町山智浩情報なんですけど…」と話されていたこと…
「ハリウッドはナンとですね、あの…プロットの中心に、えー、コロナはもう置かないと…
うがいするシーンとか、手洗いシーンは挟むけど…
そういうシーンは出て来るけど、物語の中心は、えー、そういう風にしない、と…
ナンでか?来年になると、あっという間に時代遅れになるかも知んないじゃないですか
だから、プロットの中心には絶対置かないっていうのが
今、ハリウッドの暗黙的了解らしく…」…と同様に
時代背景として捉えつつも、ストーリーの軸は絶対にズラさないということなんでしょうね?
実際、この作品を観た時に…「ボストングローブ」も当然、同時多発テロ中心の紙面になるため
「スポットライト」の取材が、いったん棚上げされるのは仕方ないと思いつつ
その間にも、被害に遭う子供がいるかも知れない
今、この瞬間にも助けを求めているかも知れない
もし、自分の子供が被害者になったら…といった記者たちの焦りを感じたし
「スポットライト」が休止したことで「僕らを見捨てるんだ」と被害者に責められた時
「何も諦めてはいない」「私は逃げない」と答えるシーンがあったし
甲斐さんのおっしゃるように、この事件が頭から離れることはなかったんじゃないかと…?
余談ですが…ボクの一番印象に残っているシーンは、加害者と思われる神父に取材に行くシーン
神父が「イタズラした」ことをすんなり認め、驚く記者に
「イタズラしただけで、レイプはしていない。レイプとイタズラは違う」と話し…って
まるで、レイプじゃなければいいと言わんばかりの口振りに「ああん!?」とムカついていたら
「判るんだ…私はレイプされたから…」と続き
親から暴力を受けて育った子供の中には、自分が親になった時
子供を虐待するようになる人がいる…という話を思い出し、暗澹たる気分になりました(汗)
もっとも、比較的早い時間帯のシーンだったので
記事が世に出たシーンが、その暗澹たる気分を吹き飛ばしてくれて良かったです