今月の「セイヤング」も、甲斐さんのWOWOWキュレーターネタも書きたいんですが
ただでさえ、久しぶりの観劇だというのに、その余韻に浸たる間もなく…っていうか
終演直後に「甲斐バンド・プレジャープレジャー・プレミアムナイト」の配信がスタートし(笑)
観劇から早や1週間…少しでも奥さんの記憶が残っている内に…ということで
「スルース」ネタに取りかからせて頂きます
この作品は、英国リバプール生まれの劇作家アントニー・シェーファー作
数ある「二人芝居」の中でも屈指の呼び声高い戯曲であり
数多の俳優たちによって演じられて来たようだけど
奥さんが劇場に足を運んだのは、もちろん吉田鋼太郎さん演じる
アンドリュー・ワイクが観たかったからに他なりません(笑)
昨年はコロナのせいで、舞台に立つことがお出来にならなかったという吉田さんが
「やっぱり自分は演じたい人間なんだなと…
これだけ芝居がやりたいと思っているということは
ひょっとして俳優の仕事を選んで良かったのかも知れない」と改めて認識され
また「劇場の空気を浴びて喜んで頂くことで、閉塞感を少しでも緩和できるのではないか?」
と、お考えになり…というのは、甲斐さんが配信をお始めになったのと同様に
エンターテイメントを生業になさっている方の存在意義に根差した思いなんじゃないかと…?
で…「じゃあ今、何を観て頂くのか?」と吟味された結果、打ち出して来られた作品とあって
1部1時間の2部構成…シェイクスピア作品のように3時間超えの大作ではないにも関わらず…で
幕間に休憩が挟まれていたのは、場内の換気目的ばかりじゃなく
この二人芝居の濃密な内容によるものと思われたほど、それはそれは見応えがあったんだとか…
もっとも、この「スルース」が、東京の新国立劇場で初日を迎えた
まさにその日に、2回目の緊急事態宣言が発令され(汗)
吉田さんは「いつ中止になってもおかしくない」状況の中
「毎回、今日が最後だと思って」ステージにお立ちになっていたそうで
甲斐さんのおっしゃる「ワンナイト・スタンド」の精神を
更に突き詰めたような覚悟を持って演じられたものが
観客に伝わらないはずがないんじゃないかと…?
ともあれ…開幕初日に緊急事態宣言が出されたからといって
そう急に、延期や中止はもちろん、座席数を減らすことも出来なかったでしょうし
となると、感染拡大防止対策に全力を傾けるしか手はない訳で
奥さんが参加した大阪公演でも、それは例外ではなかったみたいです
大阪公演の会場は、昔々、ファンが殺到してオケピの床が抜け
甲斐バンドが出禁になった、旧サンケイホール(笑)
奥さんは、甲斐さんが、押尾コータローさんのクリスマスライブにゲスト出演なさって
別名「2人のビッグショー(笑)」となったライブ以来、久々に訪れたんですが
大阪駅から地下に降り、ビルボード大阪を横目に通り過ぎ
ブリーゼタワーの7階にある会場に到着すると
まず、ロビーに幾つも並べられた長机で、チケットの裏に名前と電話番号を記入し
入場口の脇に立っておられるスタッフの方に、そのチケット裏を見せてから場内に入り
3列に分かれたレーンに並び、それぞれのレーンの係員の方にチケットを見せ
日付や開演時間に間違いがないかのチェックが終わったら
自分でチケットの半券をモギって、所定の箱に入れ
検温と手指のアルコール消毒を済ませ、ようやく入場完了…(汗)
演劇の公演では、いつも入口で手渡される、ズシッと重い…
小振りなタウンページほどもある(笑)…チラシやフライヤーの束もなく
…って、これは、業界全体の公演数自体が減っているのか?
場内に置かれていたチラシの種類も少なかったようだけど…
プログラムを買おうと、グッズ売場に向かうと
お馴染みのディスタンス整列と、トレーでの金銭授受
お手洗いもディスタンス整列&入口出口が分けられた一方通行方式
座席に着くと「携帯電話の電源オフ」を呼びかけるアナウンスに続き
接触確認アプリCocoaの利用者は「サイレントモードでOK」という一言が添えられ
セイヤングの放送と重なったソワレの回には
「あ、リアルタイムで録音できる♪」と奥さんニンマリ(笑)
更に、終演後は混雑緩和のため、規制退場を行うので
すぐに席を立たないように…という注意が流れたらしく
日本で初めて「ブロック制」を導入した某バンドのファンは、またまたニンマリ(笑)
さて、その「スルース」は…アンドリュー・ワイクという、英国上流階級の推理小説家が
妻の愛人であるイタリア青年・マイロ・ディンドルを自宅に呼び寄せ
不貞を咎めるのかと思いきや、自分にも愛人がいて、妻と別れたいと思っていると打ち明け
マイロが、浪費家の妻・マーガリートと結婚したあと
経済的な問題で、マーガリートが舞い戻って来ないようにするため
今、屋敷の金庫の中に保管している宝石を盗み、それを売って生活しろ
自分は、宝石にかけてある保険金を受け取って、愛人と一緒になる…と狂言強盗を持ちかけ
…というトコから始まる騙し合いのサスペンスなんですが
1972年には、ローレンス・オリヴィエとマイケル・ケインで映画化
2007年のリメイク版では、かつてマイロ役を演じたマイケル・ケインがアンドリュー役
ジュード・ロウがマイロ役を務めていて、特に72年版には定評があるものの
主な登場人物は2人だけ、場所もアンドリュー邸から外へは出ないという設定は
やはり、映画より舞台向きなんじゃないかと…?
ちなみに…日本初の公演で、マイロを演じられたのは、中野渡頭取(笑)こと北大路欣也さん
一番最新の舞台で、アンドリュー役を務められたのは、西岡徳馬さんだそうです
第1幕が始まる直前、客電はもちろん、舞台上の照明も全て消され
真っ暗闇の中、おそらく?蛍光テープか何かを頼りに吉田さんが出て来られたらしい
小さな物音がしたと思ったら、照明が灯り、リビングの片側の壁際に置かれたデスクで
パソコンに向かっているアンドリューが登場…して以来、最後まで出ずっぱりだし(汗)
一方のマイロ役・柿澤勇人さんも、夜8時にアンドリュー邸を訪ねて来て
そのまま、ほぼほぼ邸内で過ごすことになる訳で
その滞在中、立ったり座ったり、階段を駆け上ったり、転げ落ちたり(汗)
もちろんその間、お二人とも膨大なセリフをやり取りなさっているそうで
奥さんは、舞台近くの席の時に、椅子に掛けられた吉田さんが
大きく息をなさっているのに気づいたものの
その演技には少しのよどみもなかったらしく
「さすが還暦でパパになるだけあるよ(笑)」とタフな身体づくりを絶賛(笑)
また、カッキーこと柿澤勇人さんのことは
船越英一郎さん主演の「新・吉永誠一」のシーズン2
…って、甲斐さんが俳優デビューなさった(笑)シーズン…のレギュラーメンバーでいらしたし
そのドラマのプロモーションで、船越さんとご一緒にバラエティ番組に出られた時に
船越さんから「君も早く結婚した方がいいよ、勇気があるなら…(笑)」
…と自虐ネタをブッ込まれて(笑)苦笑いなさっていたのが印象に残っていたみたいだけど
吉田さんが、蜷川幸雄さんの跡を継がれた
彩の国シェイクスピアシリーズの「アテネのタイモン」を観賞した際に
柿澤さんが、ミュージカル畑の方だと初めて知ったものの
その舞台でのストレートプレイを拝見して、凛と響く声の素晴らしさと
キレのある身のこなしにビックリしたらしく
今回、マイロ役で吉田さんとがっぷり四つに組まれるのを楽しみにしていたんだとか…
もっとも、奥さんによれば…黙って舞台の隅に立っておられるだけでも
観客の目を惹きつけるようなオーラ…というより、強い磁場そのものみたいな吉田さんと
タイマンで、同じ板の上に上がられるだけで「スゴイ役者さんだと思うよ」とのことでした