ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

1917 命をかけた伝令1(ネタバレあり)

2020-02-24 13:25:00 | 日記
甲斐さんほどではありませんが、ボクもこの時期は若干「映画熱」が高くなっておりまして(笑)
先日観た「1917 命をかけた伝令」は、ナンとかして、もう一度劇場で観たいなあと…♪

最初は「全編ワンカット映像」という謳い文句に惹かれて
まあ、こう言ってはナンだけど、ストーリーは二の次で(苦笑)
その「ワンカットに見える映像」と「どうやって撮ってるんだろう?」に興味津々だったのが
いざ映画が始まると「あっ!」「おおっ!」「うわあ~!」とグイグイ引き込まれ(笑)
ドキドキハラハラで「スゲェ~!」の連続(笑)

その二の次にしてしまっていた(笑)ストーリーは…
第一次世界大戦中、ドイツ軍との睨み合いが続いていた西部戦線で
連合国軍のエリンモア将軍は、航空写真によって、ドイツ軍の退却が見せかけであり
その後を追うマッケンジー大佐率いる第2大隊を待ち構えていることを知り

翌朝に予定されている戦線突破を止めなければ
マッケンジー大佐と1600人の友軍は全滅してしまうと、若き2人の上等兵を伝令に選び
その選ばれし2人…スコフィールドとブレイク…は
「走れメロス」よろしく、この危険なミッションに挑む…というものなんだけど

そもそも、このアイデアは、サム・メンデス監督が
実際に第一次世界大戦に従軍していた祖父から聞いた体験談が元になっているらしく
当時は無線通信技術が未発達で、戦場での長距離の無線音声通話が難しく
有線の電話や電信も装置自体が、かさ張る上に
敵に電線を切断されてしまうことも多々あったことから「伝令」は極めて重要なものとされ

1人に何かあってもいいように(汗)2人1組を原則とし
同じ情報を携えた4~5組の伝令を、ルートを変えたり、時間差で送り出したりと
確実に先方へ届くよう配慮するのが普通だったみたいですが

この作品では、多くの兵士が犠牲となった「ディプヴァルの戦い」を経験し
惨状を繰り返さないよう、安全に任務を遂行しようとするスコフィールドと
派遣されたばかりで戦地での経験は少ないものの、地図を読むのが得意で
しかも、マッケンジー大佐率いる第2大隊に
実の兄が所属しているブレイク…という、凸凹バディが1組だけ
もっとも、そのぶん緊張感と「決死感」が高まりましたけど…

「第一次世界大戦を舞台とした『戦争映画』」と言うと
どうしても、苛酷で陰惨なイメージが先に立ち
…って、もちろん苛酷で陰惨なシーンや、哀しくやりきれない場面も当然あるし
改めて「戦争」というものを考えさせられるんですが

それより何より、全編途切れることなく、主人公たちを捉えた映像を観ている内に
彼らと一緒に戦場を走り、敵からの銃撃に怯えながら
タイムリミットが迫る中、早く任務を果たさなければ…と焦っている自分にビックリ!(笑)

かなり愛らしくなった「加藤諒」さんみたいな(失礼!)ブレイクと
顔立ちは違うものの「佐々木蔵之介」さん風に見えるスコフィールドは
その生い立ちなどのプロフィールを細かく語る訳じゃないのに
思いっきり感情移入してしまったのは、やはり彼らの目線で戦地を映し出す
「ワンカット映像」のためじゃないかと…?

奥さんは、映画の冒頭…凸凹バディが木陰でまどろむシーンで
1人が立ち上がり、いったんカメラから見切れても、そのあとを追わずに
再びフレームインして来るまで、じっとカメラが固定されたままだったことに
「情児さんが、ライブ中の甲斐さんのアップを撮ってる時みたいじゃね?」と高まったり(笑)

ドイツ軍の兵士が戦死した後のシーンで、凸凹バディの会話を捉えている最中
その後方にドイツ兵の遺体が映り込んだ時「ああ、まだちゃんと死んでるんだ」と(笑)
舞台を鑑賞しているかのような感覚を覚えたり

これは、映画やドラマだとセリフを話しているキャストの表情を捉えがちなので
本来、その場面にいるはずの他のキャストの表情が見えなかったり
その姿自体が画面から見切れていたりするのに対し

舞台だとセリフの有無に関係なく、板の上のキャストは全員
その場面に応じた演技を続けているということを指しているみたいだけど
同じ作品を観ても、印象に残る場面が全く違うことも「いとをかし」でした(笑)

ただ、メンデス監督は知る人ぞ知る「舞台演出家」で…
って、奥さんは知らなかったようですが(笑)
メンデス監督が、ロンドンの劇場内全体をキャバレーにしつらえ
観客が各テーブルでアルコールなどを飲みながら「キャバレー」を楽しむという演出をし
その舞台を観たスピルバーグが、映画監督にスカウトしたという経緯を思えば

この「1917」で、映画の常套手段であるカットの切り替えを極力使わず
観客に、スクリーンの中の俳優たちと「時間」を共有させるというのは
いかにも舞台演出家らしい発想というか
映画に舞台と近い効果をもたらしたいという考えが先にあったのかも知れませんね?

その大いなるチャレンジのためには、14回に渡るノミネートの果てに
「ブレードランナー2049」でアカデミー賞撮影賞を獲得した
撮影監督のロジャー・ディーキンスの手腕と
撮影開始1週間前に届けられたという最軽量のデジタルシネマカメラが
大きく貢献しているのはもちろんでしょうけど

通常の映画で普通に行われていること
…映像をカットしたり、カメラの位置を変えたり
編集のペース、演技のタイミング、リズム、セリフを調整したり
広角で撮影して地形を見せたり、被写で撮ってキャラクターに共感を抱かせたりすること…が
全て禁じ手になっているにも関わらず、同じ効果を得るには、どんな工夫がされたのか?という
鑑賞前のボクの一番の興味は、次回ご紹介するとして(笑)

もう一つの大きな問題は「予測不能なイギリスの天候」だったらしく
ディーキンス撮影監督は…「晴天下では時間によって影の出方が変わるから
シーン同士の間を滑らかに繋ぐためには曇り空が必要だった
それに塹壕の中を走り抜け、360度方向転換させることもあるから
照明もレフ板も画に映り込むので使用できない
だから、屋外では照明なしで撮影したんだ
1日中曇り空になるよう、天に祈ったよ」…と明かしてますが

プロダクション・デザインを手がけたデニス・ガスナーのチームは…
長期間に渡る天候を予測した季刊紙「ファーマーズ・アルマナック」や「weather.com」などを入手し
長期予想、日ごとの予想、時間ごとの予想といった具合に、複数の天気予報を研究(汗)
太陽、雲、雨、みぞれ、雪などに翻弄されたスタッフたちも
翌日の天候について毎晩祈りを捧げたらしい

その甲斐あってか?65日という決して長くはない製作期間…限られた予備日しか取れない中
ディーキンスが、シーンに統一性をもたらすのに必要な「どんより雲がかかった乾燥した気候」は
日程の大部分を占めたようです

でも、ディーキンスが話している通り「イギリスは元々、曇りの日が多いが
もし撮影が2018年だったら大変だっただろう
2ヶ月間も日照り続きだったんだから…」という事態も有り得た訳で
キャストやスタッフの祈りはもちろん、メンデス監督の執念が
「晴れない」天候を呼んだのかなあと…?
まさか、甲斐さんみたいに「貼れないカイロ」のおかげじゃないですよね?(笑)

もっとも、ブレイク役のディーン・チャールズ・チャップマンは…
「塹壕のセットにいた時に大雨が降り始め、止むまで、その場で待つしかなかった
塹壕には遮るものがほとんどなく、その場に立っていた時
(スコフィールド役の)ジョージ(・マッケイ)が
僕の肩を叩き、僕の後方にいるエキストラたちを指差した

彼らは軍服を着たまま、少しでも雨を避けようと、小さな金属片の下に密集していた
その時に、100年前もまさに同じ風景だったんだと痛感したよ
兵士たちも雨をやり過ごそうと、寒さと退屈さに疲弊しながら待つしかなかったんだ」
…と話していて、曇り空待ちの間にリアリティある役作りが出来たんじゃないかと…?
コメント
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