ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

1917 命をかけた伝令2(ネタバレあり)

2020-02-25 14:20:00 | 日記
イギリスの「曇り空」で思い出したんですが
以前に甲斐さんが「マイ・ムービー」のコーナーで「裏切りのサーカス」を紹介された際に
ラストの「誰が裏切り者か?大体判った段階で
フリオ・イグレシアスの【ラ・メール】が、いきなりかかる!しかも、ライブ版だよ!?(笑)」

…とおっしゃっていて、実際に「裏切りのサーカス」を観てみたら
その重要なシーンの内容にも、雨が降ってどんよりと暗い映像にも全くそぐわない(笑)
【ラ・メール】のギラギラ感に思わず吹いちゃったことがあったなあと…(笑)

ただ、この「裏切りのサーカス」は、英国諜報員が主人公のスパイ映画ということで
主演のゲイリー・オールドマンを始め、イギリス人俳優が多数出演しており
この「1917」のキャストとカブってる方もチラホラ(笑)

ゲイリー・オールドマンの妻と不倫する役だったコリン・ファースは
「伝令」を任命したエリンモア将軍だし
工作員役だったマーク・ストロングは、スコフィールドをヒッチハイク(笑)してくれ
別れ際に「必ず第三者の前で、マッケンジー大佐に手紙を渡せ」とアドバイスするスミス大尉で
その「血の気が多くカッとなりやすい」マッケンジー大佐は
「シャーロック」でもお馴染みのベネディクト・カンバーバッチが務めてます(笑)

そうそう!伝令たちが、エリンモア将軍から最初に会うように指示されたY連隊のレスリー中尉は
「シャーロック」のモリアーティ教授(笑)アンドリュー・スコットだし
ブレイク上等兵の兄、ブレイク中尉役のリチャード・マッデンは
「ロケットマン」で、ジョン・リードを演じてるし
英国を舞台にした作品の常連の皆さんは、共演の機会が多いのかなあと…?(笑)

それはともかく、メンデス監督は「全編ワンカット」について…
「この物語を映画にしようと決めた時点で
2時間を『ひと続き』で見せられたら、どんなにエキサイティングだろうと考えた
それは技術的な選択であると同時に
観客に主人公たちの感情に強くコネクトさせる手段だとも思ったんだ
すべての一歩、一歩を観客も一緒に進むことで
その肉体的感覚を共有して欲しかったのさ」…と話しているんだけど

アルフレッド・ヒッチコック監督は、1948年の「ロープ」で、この「ワンカットスタイル」
…すべてワンカットで撮影された、それぞれのシーンを切れ目なく繋ぎ
まるで1つの長回しシーンのように見せる技法…を導入し
更には「映画の本編」と「実際の時間」が同時に進むという実験的な試みを行ってます

ちなみに…この「1917」では、4月6日の「伝令」任命から
翌朝の戦線突破が開始されるまでが描かれていて
奥さんは「甲斐さんのお誕生日イブから当日にかけてなんだ♪」とアガっておりました(笑)

さて、その「ワンカットのように見える映像」が、どのように撮影されたか?ですが
ボクが最初に心配した(笑)のは、手持ちカメラで伝令を追うカメラマンはともかく
その後ろに控えているであろうアシスタントやレフ板を持った照明スタッフなど
いわゆる撮影クルー全員が、360度方向転換するとしたら

甲斐さんのお嫌いな(笑)運動会の行進のごとく
外側にいる人間ほど大きく速く動かないと、カメラに映り込んでしまうだろうし
まあ、このご時世だからCGでナンとかするのかなあ?…といったことだったんだけど(笑)
照明に関しては「曇り空」が解決してくれました(笑)

メンデス監督は「ワンカットのために時間をかけてカメラの動きを考える訳だが
結果的に複雑な動きを余儀なくされる
そうすると、俳優たちを邪魔することにもなり、彼らが演技に集中できない可能性も生まれた
素晴らしい演技の瞬間があっても、カメラの技術がついて行かなかったりする、その逆も然り
映像を優先するか、人物の感情を優先するか
その判断は、常にシーソーのように揺れ動いていたね

時にはカメラが主人公たちの『主観』の役割を果たし
時には客観的に彼らを捉えなければならない
更に、主人公たちが進む風景の広さを俯瞰で撮る必要もある
そのバランスを取ることが、最も難しかったかも知れない
これらの異なるショットを編集で繋ぎ合わせ
イメージ通りの仕上がりにすることが不可能だったからね

これは大げさではなく、通常の映画の50倍くらいリハーサルに時間をかけた
私は俳優を信じて任せるタイプだから、普段はそんなにリハーサルをしない」と話しているんですが
2008年の「レボリューショナリー・ロード」に出演したレオ様は
「リハーサルの多さと順撮りにこだわるメンデス監督の演出」を賞賛したらしい(笑)

レオ様の基準では「多い」けど、監督の基準では…ってことなのか?(笑)
それとも「役者に演技指導するのではなく
リハーサルを積み重ねて作品に仕上げて行く演劇的スタイル」の名残りなのか?はさておき…

スコフィールド役のジョージ・マッケイは…
「冒頭の塹壕のセットのリハーサルでは、まずサム(・メンデス)が
脚本を手にセリフを読みながら歩いて、塹壕のラフな形を決めた
その後、ディーン(・チャールズ・チャップマン)と僕も同じことをしたよ

『セリフの間にこれだけ進むから、角はこの辺り』と印を付けるんだ
それからロジャー(・ディーキンス)とサムがカメラワークを決めて
それを踏まえて自然な動作を考えて行った」と明かし

メンデス監督も「今回は、セットを作る前からリハーサルを開始した
まず更地の状態で、俳優たちに歩きながらセリフを言って貰い
その距離に合わせて、旗などで地面に印を付ける

例えば『農場に至る果樹園で、このセリフが必要』となったら
リハーサルで距離を確認し、その長さで果樹園を作る訳だ
リハーサルを繰り返しながら、セットを徐々に完成させる感じだね…と同様の説明をしていて
ワンカット映像が、緻密な「逆算」によって支えられていたことが判明した一方で

この映画のストーリー展開を考えれば、同じセットや同じロケ地が
再びスクリーンに登場することはあり得ない訳だし
その「ワンカット」「ワンカット」にかかった手間や時間を考えると
「よくぞ最後まで撮りきってくれました!」って感謝しかないです(笑)

さて、そんな「ワンカット映像」のキーパーソンであるディーキンス撮影監督は…
「ワンカットでの撮影の技術的な難しさは、個人的な物語になりがちなことだ
客観的に登場人物を見せながら、彼らを身近に感じさせなければならない
2人を背後から追うだけの映像にはしたくなかった

だから、物語を描写する方法を模索したんだ
スケッチをしたり、絵コンテを何通りも書いて貰ったりした
どのタイミングで引き画を入れるか、どうカメラを動かせば周囲を見渡せるか
その瞬間をどう強調できるか、どうすればこれ見よがしに見えないか、などをね」
…と、ただの長回し映像に堕さないために苦心したようだし

更に「カメラや色々な要素を、俳優の演技にピッタリ合わせる必要があった
例えば、壊れた橋をスコフィールドが渡るシーンでは
カメラをワイヤーに吊るして、ジョージ(・マッケイ)と一緒に橋を渡らせた
橋を渡りきると、カメラはワイヤーを伝って降下する

カメラはジンバルという回転台の上に載っていて、ワイヤーには固定されていない
だから、撮影助手がカメラをワイヤーから降ろし
そのまま持って見張り台まで、ジョージの後ろを走ったんだ
カメラは私が車で並走して、すべて遠隔操作した…撮影助手がカメラを持ってる間もね」
…と「編集さえ出来れば(笑)」さして難しくないはずのシーンの裏話を披露してるんだけど

ブレイク役のディーン・チャールズ・チャップマンは…「無人地帯」のシーンでも
「空中のワイヤーに沿って動いていたカメラが、突然地上まで降りて僕とジョージを追う
その間は、撮影助手が手持ちして、またワイヤーに戻す
砲弾穴を降りるブレイクとスコフィールドを、滑らかに飛びながら映している
俳優が映らない無人のショットも印象深かった
とにかく美しいんだ
ロジャーという人は本当に驚異的だし熟練している」…と大絶賛

そのディーキンスが…「ワンカットでの撮影の効果は
スクリーンで観ると全編がひとつに繋がって見えることだ
観ている人を映画へと引き込む、すごいテクニックで
観ている間、ワンカットだと気づかない」ほどの「没入感」をもたらすと言っているにも関わらず
2度目の鑑賞の機会があれば、今度こそ(笑)
このワイヤー撮影の妙に注目したいと思っております♪
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