建設CALSの話しになると必ず出てくるのが「標準化」であり「国際標準」という言葉です。
これは、日本が1997年11月にWTO政府調達協定の締結を行い、この締結により本格的な日本市場の開放、市場の国際化の加速が始まったのと無関係ではありません。
WTO政府調達協定の締結がなぜ、公共事業を取り巻く環境を大きく変えていったのか、それは、政府調達協定においては、「国際規格が存在するときは該当国際規格、国際規格が存在しないときは国内強制規格、認められた国内任意規格又は建築基準に基づいて定める」となっており、技術基準としてISOなどの国際規格の使用が義務づけられたからです。
ISO[International Organization for Standardization]は、国際標準化機構と呼ばれ、国際連合の諮問機関として1947年に設立され、科学技術に関する国際規格の制定を目的としています。
ISOが定めた規格で広く一般に普及しているものには、SI単位系と呼ばれる単位(m、Kg、s、N)や、カメラのフィルム感度、そして、品質保証規格(ISO9000シリーズ)等があります。
少し難しくなりますが、このISOには、STEP[Standard for the Exchange of Product Model Data]という製品モデルデータ交換規格のISO10303があります、これは、製品のライフサイクルを通じ、個々の独立したシステムに依存しない形式で情報の共有、交換を可能とする標準のインターフェイスを提供する規格となっています。
AP201(二次元製図)、AP202(製品モデルと図面表現)、AP203(構成管理設計)といった主に形状モデルを対象にした規格の他、おのおのの産業ごとに製品モデルを交換するための規格からなっています。
つまり、CADのデータ交換・納品においても市場の国際化に伴い国際規格であるISO10303の仕様に沿って納めなければならないということになるのです。
CADデータ交換の際にしばしば出てくる語句のAP202とは、ISO10303 Part202のことで、APはApplication Protocolの略となっています。
なぜ、国際規格なのか? 各国において品物やサービスが取り引きされる際に、規格がそれぞれで異なっていると困った問題が起こります。例えば、1メートルと言っても、国によって長さが異なっていたら、物事が上手く運びません。そんなときに「1メートルは、この長さ」という取り決めがあれば、共通のルールのもとに取引を行うことができるからです。そしてこれを守らないと外国から市場を開放していない、技術的障害から外国の参入を排除していると言われることになるわけです。