今回は、前回に引き続き、株式会社フォーラムエイト主催の第7回ナショナル・レジリエンス・デザインアワードにて発表した内容の詳細をご紹介いたします。
弊社では各種構造物の耐震照査を実施しておりますが、実施していると構造物の性能照査手法において多くの課題が見えてきます。課題の例として、どれだけの荷重に耐えられるよう設計すべきなのか、構造物をどこまで正確にモデル化するべきなのか、既存の部材の耐力を過小評価してしまっていないかなどが挙げられます。
最適解を見つけることはとても難しいのです。
今回検討した水槽構造物などの設計においては、任意の位置で輪切りにした2次元断面モデルとして検討を行う場合が多いのですが、その形状が複雑な場合など、モデル化が妥当なのか疑問視される場合があります。
この業務においても、当初は従来通りの二次元断面モデル(単位幅あたりの骨組み構造)で検討を行いましたが、既設構造の耐力を過小評価してしまっている可能性が高かったため、実物通りの板要素を用いた三次元モデルによる解析を実施しました。
二次元解析では表現出来ない部材の耐力を考慮して三次元で解析することで、二次元モデルで応力度が許容値を満足しなかった部位が、三次元解析では許容値を満足する傾向が見られました。
また、二次元解析では解析が困難だった部材が、三次元での解析で許容値を満足しないことが確認できました。
三次元解析では、実際の形状に忠実な挙動を再現できるため、より的確な補強設計が実施できたと考えらえます。
土木構造物の設計においては、作用する荷重条件などについても慎重に検討する必要がありますが、解析手法によって結果が大きく変わることに留意しなければなりません。
近年は、多くの構造物が、フォーラムエイトさんの製品「Engineer's Studio」を使用して三次元解析によって設計されています。
一昔前では難しかった複雑な解析が比較的手軽に実施出来るようになりましたが、多くのノウハウが必要です。
弊社ではこのような専門的な技術を多く蓄積しております。お任せください!
西部支店 H