福島県双葉郡富岡町において、富岡町の農地・農業用の施設の復旧・整備を支援するため、農業用水路を対象に水路復旧整備調査測量設計業務をしています。
富岡町の舘山用水路常磐線及び県道36号を横断するサイホン内(延長104m、φ1000mm、土被り8m)にドイツ鯉とアメリカザリガニがいました。
たくましく生き延びています。
4月3日に事務所にて漏水調査を行いました。
(もちろん)業者さんに来てもらっての実施です。
H29年度南九発注の漏水調査業務では実に胃が痛い思いをした私なので、どのように四苦八苦するのかを少し期待して調査作業を見学させてもらいました。
結果・・・
1時間程度で見事に漏水箇所を発見しました!
差し込んだ音聴棒を引き抜くと水の滴る文句無しの位置特定です。
今度漏水調査する時はここに頼みましょう。農水は勘弁してくれと言われましたが・・・
口径(土被り)・延長・規模といった条件は大きく異なるものの、以下リポートします。
①元栓直下流のメーターを確認
宅内(事業所内)では水を使って無いのにメーターはクルクル廻り続けています。
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これは漏水があります!
②圧力計設置
元栓を閉めて、駐車場の蛇口を一つはずして圧力計を設置しました。指示値は0.4MPa程度からじわじわ下がります。
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やっぱり逃げ口がありそうです。
③コンプレッサ(空気)設置(写真1)
空気による加圧で内圧を0.4MPa程度を維持するように設定します。
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これが大事らしいです。
④路面音聴
カポカポと地面に聴診器をあてて音を聞きます。
↓
管内が水のみだった際には聞こえてこなかった通水音が、空気混じりになったことでうっすら聞こえるようになりました。私が聞いてもさっぱりでしたがさすがプロ。
これで管路線形を慨定。
さらに怪しい(激しい)音がする部分にマーキング。これは私でもわかる異音でした。イメージするブシューというのとはちょっと違うなんとも表現するのが難しい音。
⑤ドリル削孔・音聴棒挿入(写真2)
舗装に孔開けて音聴棒を挿して音を聞きます。土被りは0.4m程度、やっぱり音がする。引き抜いてみたら先端がビショビショでした。確定・調査終了!
参考に0.6m程度離れた位置(おそらく管路上)にも削孔して音を聞いてみました。(写真3:左が漏水位置、右が離れた位置)
1mも離れていないのに音聴棒では音がわかりません。・・・シビアです。
また、空気加圧を止めて元栓開けて水圧だけかけたら漏水音は小っっさく聞こえるような、というか通水音なのか漏水音なのかわかりませんでした。。
以上が調査のあらましです。
今回の件から得るべき教訓は・・・なんでしょう?
倍以上に大きいであろう口径だと空気混入による音量の増加は期待できるか?
土被りがより深い条件で路面音聴は意味があるのか?
路線延長が1kmにわたる範囲でも同じように神経を尖らせて音を聴き続けられるものか?
そう簡単に解決出来るものではないようですね。
現地調査で水路トンネルに入ってきました。トンネルの水源は、ため池で下流の田んぼまで導水しています。
トンネルは、泥岩を人力で掘った素掘りで、高さ約1.4m×幅約1.2mのホロ形です。
トンネル内は当然ながら照明などはなく、懐中電灯の光を頼りに進んで行きました。
中間付近まで来たかなと思った時に、突然コウモリの大群(と言っても5~6匹です)が襲ってきました。
コウモリの大群が襲撃
コウモリも自分達のすみかに突然人間が進入してきて驚いたのでしょう。何度も攻撃(威圧)を仕掛けてきました。コウモリは、羽を広げても15cmくらいの大きさで、到底人間の敵ではありませんので、なるべく触れないように注意して調査を続けました。
トンネルの途中には開削部と思われる箇所に800mmの管が設置されており、くぐり抜けるのがやっとでした。また、余水吐と思われる横坑が途中にあり、その上下流はコンクリートで覆工されていました。
800mmの管を抜ける調査員
横坑付近のコンクリート覆工状況
トンネルの終点はサイホンになっており、水が充満していたため、調査終了後は来た道を戻るしかありません。地上に出た時には、脚・腰ともガクガクで“数日は回復しないな~”と思いました。
トンネルの総延長は約1kmと長く、改めて先人の偉業に触れて“よく作ったな~”と感慨を新たにしました。
東日本大震災からまもなく6年が経とうとしていますが、被災地の復興が少しずつ進んでいると思います。
今回、震災復興業務の一環として、福島県富岡町(避難指示区域)で農業用施設の被災状況調査を行いました。まだ住人の方々は戻ってきていないようですが、町の復旧作業は進められています。
「JRの線路や駅のホームも作られてきています」
「農地にたくさんのソーラーパネルが建てられていました。使われなくなった農地を太陽光発電に活用しようということでしょうか」
「津波の跡が未だ残っています。ガードレールがひしゃげてすごいことになっています。」
町の復旧作業はまだまだ続きますが、少しでも復興の手助けができればと思います。
福島県の帰還困難区域で東日本大震災による農道の被災調査を行っています。帰還困難区域は放射線量が高く、仙台市内の100倍程度です。このため、安全管理には十分注意して調査を行っています。
具体的には、防護服・マスク・ゴム手袋+軍手等を着用して放射物質が衣服等に付着しないように注意しています。また、調査地区でも放射線量の濃度に差があるため、携帯線量計と個人線量計を携帯して、放射線量の高い地区では長時間の作業は行わないようにするなど、国で決めた被ばく線量を超えないように安全管理を行っています。1日の調査終了後には、スクリーニング会場で検査を受けて、身体及び作業車両の内外の放射線量を計測してもらい基準値以下であることを確認した後に帰社しています。
また、調査地区内では飲食を行わす、作業終了後に帰還困難区域外で食事を取っています。力仕事の作業を行う場合には、お腹が空いて力が入らない時もあります。
調査地区へは、東北自動車道~常磐自動車道を通って行きますが、途中には放射線量を表示した電光掲示板が設置されています。高速道路にこの電光掲示板があるのは、ここだけではないでしょうか。
帰還困難区域に中間貯蔵施設の建設が本格的に始まる中、住民の方々が自宅に帰れる日はいつになるのだろうかと思いながら、少しでもお役に立てるように頑張ろうと思っています。