日本水工コンサルタント 社員ブログ

自然との調和に配慮し、農村と都市の新たな風景を創造する

日本国際地域開発学会 2012年度春季大会

2012年05月28日 | 日本国際地域開発学会

平成24年5月19日、日本大学に於いて、日本国際地域開発学会2012年度春季大会が開催されました。

日本国際地域開発学会は,自然,人文,及び社会科学の諸領域にわたり,国際的な視野の下,諸地域における社会経済の持続的成長と福祉の向上に資するため,国の内外における開発と環境保全に関する諸問題について学際的・総合的研究を,会員相互の交流を通じ一層発展させようとするものです。

今大会は、3月11日に発生した東日本大震災、原発大惨事を含む未曽有の災害のからの復興と新たな地域開発を統一テーマに掲げ、取り行われました。

文系・理系を問わず、参加者各々の専門が実に広い分野にわたる講演会となっており、専門としない分野の発表に対し、自身の専門分野との関連を見つけ、意見・質問が活発に行われているのが印象的でした。専門分野に捉われるとどうしても視野が狭くなりがちですが、学術発表の場で視野を広くする試みが行われていることに感心しました。

弊社からは、「被災ため池の点検調査について」の発表を行いました。

Img_0044今回の発表は、東日本大震災により、弊社で実施したため池の被害点検調査の紹介です。
調査では100箇所のため池の調査結果が得られたため、被害状況の統計分析結果、変状発生のメカニズム、また構造的知見からの点検の要点等の説明を行いました。
点検調査の必要性・活用方法を示す事で、先の大震災により発生したような被害の未然防止に資する事が出来ると考え発表を行いましたが、ため池の機能・必要性・地震による被害について多くの質問が寄せられ、参加者の方々には関心を持っていただけたようでした。

 

By T.H

 

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武蔵水路改築工事現場見学会報告

2012年05月11日 | 研修

~武蔵水路改築工事現場見学会報告~

-武蔵水路とは-
 首都圏の人々の暮らしを支える水。
 それが遠く利根川から運ばれているのをご存知ですか?
 利根川の豊かな水を、埼玉、東京を経て東京湾へと注ぐ荒川へ。
 交わることなく流れる2つの川を結ぶのは、全長14.5kmの一本の水路。
 それが「武蔵水路」です。  ~(独)水資源機構 武蔵水路改築事業HPより抜粋~

 平成17年度に当社関東支店技術第1部において基本設計を行った武蔵水路改築工事の現場見学会が4月26日(木)に実施されました。

Kato_3
 武蔵水路は、昭和30~40年代に建設された利根川と荒川を結ぶ延長14.5kmのコンクリートライニング台形水路で、①都市用水の導水、②浄化用水の導水、③周辺地域の内水排除の役割を担う重要な施設です。
 近年においては、広域地盤沈下に伴う水路全線の沈下による通水断面の減少や水路縦断勾配の変化、コンクリートライニングの表面剥離や段差の発生等により、通水が阻害され流下能力が低下している状態にありました。そこで、地盤沈下や老朽化により低下した施設の機能回復(安定した都市用水の導水)を図り、また、水路を2連化することにより、導水しながらの維持補修が可能となる武蔵水路の改築計画が立案されることとなりました。

001_2・武蔵水路全景(撮影:下流→上流)
 奥に見えるのが、JR高崎線。
 よく見ると、コンクリートライニングが微妙に歪んでいるのが解かる。

 

 

002_2・半川締切上流端(撮影:上流→下流)
 漸縮断面変化部における水の乱れが、激しい。
 施工時対象流量は21m3/sである。(写真撮影時:16m3/s)

 

 

003_2・片側(左岸)フリューム流下状況
 流速がかなり大きい。
 施工直後のコンクリートは粗度係数が小さいため、設計で想定している流速よりもかなり大きくなる。

 

 

004_2・右岸フリューム施工状況
 中間壁(二次製品)、底版コンクリート打設完了。
 基本設計時は、両岸の土留め工は自立矢板で計画していたが、現場条件、土質条件等の見直しより、切梁、中間杭が必要となった。底版部の中間杭は、底版上部を切断し、埋殺しする。

 

005_2・半川締切下流端(撮影:下流→上流)
 漸拡断面変化部における水の乱れは、上流部に比べあまり大きくない。基本設計時における試算では、上流トランシジョンにおける水位変化量115mm、下流トランシジョンにおける水位変化量31mmであり、水位変化量の大小が水の乱れに影響を与えていることが解かる。

 

 武蔵水路の基本設計は、私が今まで担当した業務の中でも特に思い入れがあり、また苦労した業務でもあります。検討した数々の基本設計の内容が、実施設計、工事に反映されているのを確認できたことは、設計担当者として充実感と喜びを覚えました。また、水理的な面では、机上で計算したものと現場での実際の水の流れの相違(半川締切部上流側の水の乱れ、片側フリュームでの流速等)も実感することができ、現場を見ることの重要性を再認識しました。

 最後に今回の現場見学会において、工事の説明及び現場作業調整をして頂いた奥村組の大川所長をはじめ施工現場の方々、現場見学会の開催に尽力して頂いた技術第3部のN氏、H氏、基本設計時に各種検討及び技術的指導を頂いたW氏にお礼を申し上げます。

by T.K

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