先日、熊本県の菊陽町にある馬場楠井手の鼻ぐり(通称「鼻ぐり井手」)を見に行きました。
「現在の鼻ぐり井手の様子」
馬場楠井手は、菊陽町から熊本市まで続く農業用水路で、現在でも利用されています。白川の南側に広がる「白水台地」は高い土地であったため、ポンプや機械がない当時はお米や野菜を栽培することが困難でした。そのため、上流側から人工的な水路が計画され、完成後には農作物の収穫量が飛躍的に増加したそうです。当時の記録は残されていませんが、加藤清正の肥後統治時代(慶長13 年(1608)ごろ)に築造されたと伝えられています。
「鼻ぐり」とは人工構造物で、水を通すトンネル状の溝穴です。水路予定地は、①固い岩盤が続く山であったこと、②水路に土砂がつまると除去が難しいことが課題でしたが、課題解決のために考案されたのが「鼻ぐり」でした。
「鼻ぐりの構造(菊陽町HPより)」
https://www.kikuyotsu-rizumu.jp/hanaguri/
岩盤掘削時に一部を壁のように残し、その下辺に半円型の高さ約2m の穴をくり貫いてトンネル状にしました。これにより掘る岩の量を減らすことで、費用と工期を短くすることができました。また、水流が穴の壁にぶつかった際に、渦を巻き上げ土砂と一緒にはき出されることにより、川底に土砂を溜めない仕組みが生れました。
「鼻ぐりの実物大模型」
鼻ぐり井手は熊本県の史跡に指定され、周辺には実物大模型、展望台などが整備されていて、誰でも気軽に立ち寄れるスポットになっています。今回の見学は、先人の知恵に触れるよい機会となりました。興味のある方は一度訪れてみてはいかがでしょうか。
鼻ぐり見学の帰りに物産館で「いきなり団子」を買って帰りました。いきなり団子は、熊本の郷土菓子で、サツマイモと餡子を生地で包んで蒸してつくります。菊陽町は芋類の生産が盛んで、物産館では団子のほかに地元産のサツマイモを使った焼き芋なども売られていました。うちに帰ってレンジでチンして食べましたが、程よい甘さで美味でした。
「いきなり団子」
By 西部 R,.K.