杉原のロシア語は perfect だったらしい、それが何を意味するかは語学をやった者なら分かるだろう。
ロシア語の発音の微妙さについては門外漢だが、子音の連続するイギリス語の困難さは知っている、アメリカのインテリ集団が日本に来て、
「今日のガイドは まあまあだった」
すると、ほとんどが「まあまあ」以下か、例えば、" class room "は " class loom " に聞こえるらしい。
ワタクシなんかは、早々に、あきらめてしまった、あきらめたら気が楽になった、だから進歩がない、それでも文学の方に進出、W.H.Hudson の、
”I came upon two skeltons of deer with the hornes interlocked ."
「with 以下がいいなあー」
だから、カタカナ英語を聞くと、
「ああ この人はいい人だ」
三菱商事の何代か前の会長が、ハーバード大学に留学したのだが、アメリカの友人や教授が驚いた、それは、彼の発音が、
「ロンドンの一画で使われている宝石のような言葉」
本人には、全く自覚がない、ただ、父親の仕事でイギリスで幼少期を過ごした、その折、交際していたイギリス人の「品のいい山の手言葉」、それが、身についていたのだ。
こういうのが、本当の語学学習なんだろう、最近、語学教育について言われるが、このくらいにまで踏み込んでほしい、それこそが、日本の財産になる。
ところで杉原のロシア語、彼は若者になってから学習したはずだ、ものにしていた、そこにこそ杉原理解の重大なヒントがあった。