虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

大冒険(1965/日)

2004年10月29日 | 映画感想た行
 昨日の昼には「ファインディング・ニモ」を見ていました。
 すっごいきれいな画面でした。これは吹き替えだったので感想はもう一度、字幕版を見てから。

 夜中に目が覚めて、テレビつけたらクレイジーキャッツの「大冒険」やってたんですよ!チェックしてなかったのが大ショック!半分くらいしか見られなかった。
 植木等と谷啓の発明狂コンビが偽札事件に巻き込まれ、なんとその黒幕はナチスで実は生きていたヒトラーを向こうに回して地球を救ってしまうという、ハリウッドアクション顔負けの壮大なストーリーなんだけど、(今の眼で見てると)セットやなんかのチャチさがいかにもクレイジーキャッツ的な大風呂敷気分で、私はクレイジー映画の白眉だと思ってます。私の趣味によるんでしょうが、サラリーマンものより、見ていて楽しい。
でも、円谷流特撮バリバリで、最後のナチスの基地の島が崩壊するシーンなんて特撮的大屋台崩しの迫力満点。
 植木等の身体もすごく軽やかに動いてるし、谷啓のムードも良いし、前編うそみたいに明るいし、やはり最初から見直したくてたまらなくなった。

玄鳥 (藤沢周平著/文春文庫)

2004年10月28日 | 
藤沢周平の時代小説のうちでも、北陸 海坂藩を舞台に武士を描いた短編集。

藤沢周平の世界は風が吹いている。
読んだあとなんとなく清しい風に吹かれたような気分になる。
登場するのは、癖もあれば欠点もあり、変なところにこだわったりする身近な人間像だが、やはり「武士」であり、死に対する姿勢が現代人とは明らかに違う。

女性のあり方もまた然りで、自制心に富み、表面は穏やかで、その奥の揺れ動く心が何かの折にふと表面にこぼれでる。たとえば、「三月の鮠」のヒロインは、密かに恋している男が、自分の家族の仇を討って無事で帰ってきた姿を認めて、それでも夢中で飛びついたりせず、身じろぎもせず立っている。巫女姿白い小袖と緋の袴でりりしく。
そして男が近づくと、
「その目に盛り上がる涙が見えた。」

わ~、たまりません。
私とは別人種だな、とは思っても、文章からして実に端整でしびれます。

藤沢周平はクールです。
今度の「隠し剣 鬼の爪」映画化でも、「たそがれ静兵衛」みたいに山田監督調にウェットで重くなってないかとちょっと心配。

2004年悪役大賞

2004年10月28日 | 映画の話題
allcinema ONLINE のニュースから

>イギリスの Total Film 誌の読者およそ1万人の投票によって行なわれた2004年ムービー悪役賞の結果が明らかとなり、「スパイダーマン2」のドック・オクや「テキサス・チェーンソー」のレザーフェイス、さらには「キル・ビル」シリーズのエル・ドライバーら錚々たる候補が並ぶ中、みごと「華氏911」のジョージ・W・ブッシュ大統領がその栄冠に輝いた。

なかなかきついですね。
Total Film という雑誌はゴシップもバリバリのイギリスの映画雑誌らしいですけど、その読者層とかよくわからないのが残念。

それと、全米興行成績で
1位 THE JUON/呪怨(清水崇監督、サム・ライミほか製作)
2位 シャーク・テイル
3位 Shall We Dance?(原題)
日本映画もリメイク揃いとはいえ、がんばってるじゃないですか!

日本ではさすがジョニー・デップ「シークレット・ウィンドウ」がトップ「2046」「アイロボット」と続きます。「2046」は、トニー・レオンを見るために行ってもいいかな。

ところで、みんながこぞって酷評してる「デビルマン」も興行成績7位です。原作者がハリウッドのオファーを断り続けたのはわからないではないです。デビルマンのハリウッド正義風アレンジなんていったら眼も当てられないでしょう。私は見ていないのでどうこう言う立場にありませんが、(漫画は読んでます)「ロード・オブ・ザ・リング」では、自分の考えていたのと少し違っても、目の前に差し出された映像の息を呑むような見事さにまず感動しちゃいました。やっぱり今もまだ少しだけ「デビルマン」に期待してます。ほんとにどうしよう…

エクソシスト ディレクターズカット版(2000/米)

2004年10月27日 | 映画感想あ行
THE EXORCIST: DIRECTOR'S CUT
監督:ウィリアム・フリードキン
出演:マックス・フォン・シドー ジェイソン・ミラー リンダ・ブレア エレン・バーンステイン

 なんだか風邪引いたみたいです。関節が痛かったりしたので、毛布に包まってやはり風邪気味なもう一人とエクソシスト・ディレクターズカット版を見てました。友人が貸してくれたものですから。
 オリジナルが1973年ですから、30年も前で、当時のショッキングな映像も今ではもっとえげつないのが横行していては、その当時の衝撃度はなかなかわかりません。ちらちら浮かび上がる怖い映像も、無いなら無い方がもっと怖いかなと考えてしまう。
 それより病院の検査シーンが痛そうでいたそうで見てられない。十分拷問。今は超音波断層装置とかあるから、あそこまで苦しい検査はない…といいな。

 ラスト15分追加されてるそうだけど、忘れてることもあってどこが追加なのかあまりわからない。公開コピーに言うほど禁断、という気がしないのはすれっからした私の感性のせいでしょうか?

 リンダ・ブレアもすごいけど、主人公はカラス神父ですよね。彼が自分の神父として、人間としての役割と居場所への迷い、母への罪悪感などの葛藤を経て、悪霊との対決のなかで、自分の行動を選んでいくという、ホラーよりは、サイコサスペンスとしての傑作。

また人質事件ですが

2004年10月27日 | 日記・雑記
「旅行者?理解に苦しむ」 早くも人質に厳しい見方 (共同通信) - goo ニュース

あああ、やっぱり~
この前の人質事件で、帰った途端になんだかうやむやになっちゃいましたからねえ。
いわゆる「自己責任」とか「日本政府のすべきこと」も。
「危ないところへ行くのが悪い」、というのと「国家が自国民に対する暴力を許さない態度をとる」というのと、「国家として約束を守る」ってまた議論がぐちゃぐちゃにならないといいけど。

ブリガドーン (1954/米)

2004年10月26日 | 映画感想は行
BRIGADOON
監督: ヴィンセント・ミネリ
出演: ジーン・ケリー ヴァン・ジョンソン シド・チャリシー 

 ニューヨークのビジネスマン、トミーとジェフはスコットランド旅行で道に迷い、ある村へ迷いこむ。その村は100年に一度しか現れない不思議なところだった。トミーはその村のフィオナという娘と愛し合い、残ろうとするが…

 色彩とダンスの素敵な映画。
 オープニングはまるで泰西名画が動き出すよう。それぞれの絵が動き出して、人物が顔を上げるとちょっとメイクがアメリカ風かな、とは思う。しかしヒースとエリカの野から、ちょっとくすんだグレイの家、そして赤と黄、オレンジ、くすんだブルーの色合いが浮き立つような村人の衣装の色彩は見事。

 ヒロインの村娘、シド・チャリシーは、ニューヨークの先端美女より垢抜けていますが、例によってダンスの見事さはうっとりです。ジーン・ケリーとのダンスは優雅・洗練・ロマンチックの粋ですね。衣装の色彩もそれぞれのシーンの意味を表すよう。
 ストーリーは淡々と予想の範囲で進みますが、主役以外の歌とダンスナンバーもとてもロマンチック。結婚式シーンも素敵。
 今まで知りませんでしたが、ヴァン・ジョンソンも歌も歌うし、タップもするんですね!今まで見た記憶がなくてびっくりしました。ハリウッドスターなら当たり前?最後まで損な役回りでしたが…

続 悪名(1961/日)

2004年10月25日 | 映画感想さ行
監督:田中徳三
出演:勝新太郎 田宮二郎 中村玉緒 

「悪名」その後。満州事変のころの日本。
 ヤクザになじめないものを感じながらも、筋を通して行く行動でなぜか子分を預けられてしまう朝吉。しかしやはりヤクザの世界の底の汚さを知ることになり、そこへ召集令状がやってくる。

 朝吉さんは主役の貫禄がますます、でもやっぱりモートルの貞、田宮二郎の陽性に軽くてかっこいいところが好き。見ていると目が嬉しがってしまう。
 それに映画の色がとても素敵だ。前作より色が浮き上がらない感じがする。
 有名な貞が刺されるシーンでは、視点が上下にに切り替わり、しかも背景が道以外入ってこない。傘が取れて仰角での貞の戸惑ったような無念なような表情は忘れられない。そこから一気に真上から見下ろす映像へ…素晴らしい!

 上田吉二郎の情けなさも、中村雁次郎の怖さも良いです。

新潟の地震

2004年10月24日 | 日記・雑記
ここ、横浜でも何度も揺れを感じました。
横にゆっくり、という感じの揺れではじめはいつものめまいかと思いました。

たまたま本のコラムに書こうかと思って読んでいた本が
「あなたのマンションが廃墟になる日」で、
阪神淡路大震災後のマンション再建の話などもあったのでなんだか間が悪いなあ、と思わざるを得ませんでした。

今まで被災地がこれほど孤立した例はなかったのではないかと思います。
鉄道でのアクセスが不可だそうです。海路もそんなにすぐには機能しないのでしょうか?
こういう非常時に、その地域がおかれた条件を改めて認識するというのはいささか駄目じゃないか、と自戒です。

一日も早い「普通の日常」の回復を願うものです。

それにしても、天災とはいえ、信じられないほど続きます。
こういう時は昔だったら、「為政者の徳」が疑われちゃったんでしょうね。

生きるべきか死ぬべきか

2004年10月23日 | 映画感想あ行
TO BE OR NOT TO BE
監督:エルンスト・ルビッチ
出演:キャロル・ロンバート ジャック・ベニー ロバート・スタック

 恐るべき映画でした。シェークスピアのセリフの実に効果的な使い方、ドキドキする一瞬も眼を離せないサスペンス、それなのにコメディであることを決してはずしていない、本当にショッキングなまでに良く出来た映画でした。
 キャロル・ロンバート、ロバート・スタックの美貌、ジャック・ベニーの舞台上のちょっとへぼ役者ぶりとナチス相手の空前絶後の名演。
 これが1942年の作品であること、ルビッチの祖国がドイツであること…絶句です。
 シャイロックのセリフのシーン、「飛べ!」のシーン…胸が痛くなるようでした。
 敬服です。

Movie Diary 生きるべきか死ぬべきか

シトロエンDS

2004年10月22日 | 日記・雑記
夜、BSでトリュフォーの「日曜日が待ち遠しい!」を見ていました。
トリュフォーの遺作で、ファニー・アルダンがヒロイン。
初めて見ました。
軽やかで、いかにも楽しさにあふれた、サスペンスはおまけ、みたいな映画でした。
エンドクレジットのバックの子どもたちがカメラのレンズフード(かな?)を足であっちこっちへやるシーンが象徴してるようです。

で、わあ~と喜んでたのが83年の映画なのに55年登場のシトロエンDSが出てきた!
一本スポークのステアリングの、デザインの圧倒的に美し~い車!
弁護士の乗ってるのがボルボで、やっぱトリュフォーのセンスじゃ!なんちゃって思ったのでした。

スウィングガールズ (2004/日)

2004年10月22日 | 映画感想さ行
監督: 矢口史靖
出演: 上野樹里 斉藤良江 本仮屋ユイカ 豊島由佳梨 平岡祐太

 高校野球の応援のブラスバンドに弁当を届けることで数学の補習を抜け出した高校1年の女子13人。思いっきり道草して傷んだ弁当の為に吹奏楽部員はお腹をこわし、その代役で全然経験のない彼女らはなぜかビッグバンドジャズに取り組むことに…

 映画としての出来から言ったら、「ウォーターボーイズ」には負けちゃうかな、と思います。全編ベタ、コテコテ、お約束どおり、みたいで。ウォーターボーイズがアラカルトならこっちはスイートディッシュ。そのつもりで見ました。
 竹中直人もいつもどおりだし、話の展開も、シーンのつなぎ目もあまりに予想したとおりで、いささかこっぱずかしいほどです。
 でも、朝見に行って、そのまま金融機関へ回るつもりが、一度家に帰って眼の周りのメイクを直さなきゃならないほど涙ぐんでしまった。あのフォークデュオには声だしちゃいかんと思いつつ大爆笑しちゃったし。
 何もわからない女子高生が、音楽もしくは手ごたえのあるものに目覚めて、自分でやったろうじゃないか!になるまで、いささか説得力弱いし、練習シーンが少なくていつの間にかうまくなってる。でもまあ、はじめは楽器でシャボン玉までやってたのが、「何が何でも手に入れたい」で入手した「個人もち」(部の備品じゃないぞ!)要修理中古楽器をダサい手作りの楽器ケースで持ち歩くようになるのが彼女らなりの愛情かな。
 わかりやすいキャラが多いです。主人公もかわいいけどこまったちゃんだし、惚れっぽいトランペットや、ここぞで決めるトロンボーンの関口さん、ピアノのなぜかいつも貧乏くじ君なんか、感情移入しやすいんじゃないでしょうか。
 ともかく、一日を幸せにしてくれた映画なのでありました。
 出演者が自力ですべての(ド下手なのも含めて)演奏をこなしきったのにも、この際拍手したい。映画館の画面と音響で見られてほんとに良かった。
 それにしても、いまどきの女の子たち、足がきれいだなあ。

movie diary スウィング・ガールズ

学校図書館のお薦め

2004年10月21日 | 
高校生が、今日学校図書館の司書の先生に薦められたと言って小川洋子「博士の愛した数式」を借りてきた。
へええ~、と思った。
高校の学校図書館で推薦されるんだあ。
胸がキューっとする切なさを感じる本だし、確かにお薦めできる本。
数学への親しみがわくかも知れないから学校向きの本かもしれないな…
でもちょっと違うか。

我が家で一番理系で、数学に強い人間にはこの本あんまり受けなかったなあ。
彼が感動してたのは吉田武「オイラーの贈り物」
私の持ってた文庫を見て、ハードカバー探し出して買ってたっけ。
やっぱり感動するとこがちょっと違うのかも。

ところで、これは図書館カウンターで司書の先生に個人的にお薦めされたそうだけど、その司書の先生は2000人(中高一貫なのでこのくらいいる)からいる生徒のそれぞれを見て本を薦めてるのでしょうか?まさかね?

月曜日に乾杯! (2002/伊・仏)

2004年10月20日 | 映画感想か行
LUNDI MATIN
監督: オタール・イオセリアーニ
出演: ジャック・ビドウ アンヌ・クラヴズ=タルナヴスキ ナルダ・ブランシェ マニュ・ド・ショヴィニ

 フランスの小さな村に住む中年男ヴァンサンは毎朝5時に起き、1時間半かけて勤務先の工場に通っている。単調な仕事、ストレスのたまる日常。彼はある日、突然工場への通勤途中で踵を返し、旅にでる。

 「素敵な歌と船は行く」で、シビアな現実をしれっと、かつファンタスティックに描いた挙句に不思議な結末で結んでしまったイオセリアーニ監督が、やっぱり同じ調子でやってくださいました。
 誰しも、どこへ行っても日常というのはそんなに面白いものでもエキサイティングなものでもありません。そうであったら不幸な例のほうが多いくらい。だからといって単調な日常だから幸福だなんて思うのも無理があります。
 そして彼は旅先で金をすられ、なんだか心通じる友を見つけ、旅先で日常を暮らす人を見て、帰ってきます。
 波乱万丈ではないけれど、旅をして、そして帰ってくるところがポイントなんですね。

 すごく今の私の気持ちのありようににはまったみたいで、かなり胸に響いてしまった。ヴェニスの屋根からの眺めのシーンでは不覚にも涙が…
 老若男女を問わず日常に疲れている人は多い、というかほとんどそうだと思うんだけれど、四方を壁に囲まれたような閉塞感に窓を開ける「ちょっとした思い切りの一歩」へ通じる道を照らしてくれるような気分。
 近いうちに、一日でも日常から脱出してみようと思う。前から見たかった安土城でも見てこようかな。

 主演のおじさんがすごく良いんですが、本職は役者でなくプロデューサーだそうです。監督の演じたボロ丸出しの貴族もおかしかった。
 この映画でも音楽が素敵。酒場で酔ったおじさんたちの合唱する歌が素晴らしいです。ヨーロッパのおじさんたちはみんなあんなに見事にハモれるんでしょうか?
 カメラが、本当に人間の目が自然に追うようです。言い古された言葉ながら、流れるようなカメラワークというのはこういうものでしょうか。

高校生 meets Deep Purple

2004年10月20日 | エンタテインメント
うちの高校生が先生のお薦めでディープ・パープル(Deepest Purple)を借りてきました。

感想「缶コーヒーのCMじゃん!」
お父さんが「ディープ・パープルってあの海の映画か?」
(それはたぶん、ディープ・ブルーだと思いますです)

それに一緒にお薦めはジェフ・ベック!渋いなあ!

この際アース・ウィンド・アンド・ファイアーとレッドツェッペリンまで手を広げてみよう!